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犯人は定職につかず、引きこもり生活!
岸田総理大臣が衆議院補欠選挙の応援演説に訪れた和歌山市で、爆発物が投げ込まれる事件が起こりました。
事件に関与したとして、威力業務妨害の疑いで逮捕されたのが、川西市に住む木村隆二容疑者です。
事件後、警察は容疑者の最近の状況を把握するために、家族に聞き取り調査を行いました。
すると、容疑者は定職に就いておらず、数年間家に閉じこもる生活を送っていたことが判明しました。
受験生や受験生の親子様に心のケアに関する秘訣を理解していただくために重要となるのは、犯人の脳と心を読み取る上で、長い引きこもり生活を行っていたということが、重要な鍵になるということです。
調査が進展するにつれ、その真相が明らかになってきましたが、私が引きこもりの受験生を数多く診療している心療内科医として最も注目しているのは、周囲の人から見える犯人の人物像が、小学校と中学校で大きく転換していることです。
中学で人物像が豹変した犯人の脳と心!
小学生時代は、周囲の人からとても明るく、対人関係においてもムードメーカー的な存在だったと証言されていた犯人。
彼は将来の夢についても、パティシエなど、人に喜んでもらえる仕事に就きたいと小学校の卒業文集に書いていたことから、人を楽しませることに興味と関心を持っていたのは確かなようです。
しかし、中学に入ると周囲との交流がなくなり、長い時間机にうつぶせになった状態で過ごすようになりました。
このような変化は一体何が原因で起こったのでしょうか?
実は、こうした人物像の変化は私のクリニックを訪れる受験生で数多く見られる現象です。
消してごく少数の人だけに現れる変わった現象というわけではありません。
多くの中学校の同級生が、犯人は周囲と人とのコミュニケーションを拒絶していたと証言していますが、心療内科の立場から言えば、これは間違いです。
いや、正確ではないと言った方がいいでしょう。
人間の根本的な性格は、すでに小学校の時代に完成しており、根本的に変わることはありません。
彼は、心の奥底では、中学校になっても周囲の人と交流を持ち、ムードメーカーになりたかったというのが私の見立てです。
では、中学校に入ると、どうして彼は周囲の人と交流を持たず、机にうつぶせになって時間を過ごすようになったのでしょうか?
なぜ彼は交流を持たず、自分自身に閉じこもってしまったのでしょうか?
新しい環境に適応できない脳と心の苦悩!
私自身は、木村容疑者について直接診察したわけではありません。
なので、ここから先は、同じような心の変化に苦しむ私のクリニックを訪れた受験生についての話です。
周囲から見て、木村容疑者と同じような人物像の変化を経験している受験生の場合、ほとんどのケースで新しい環境への適応に心が困難さを抱えているということがあります。
人間の脳は、周囲の環境に無意識のうちに適応して、判断や行動を行っています。
ただし、どれだけ周囲に合わせるかということには、一人一人の脳にとって個人差が非常に大きいのです。
さらに、このようなケースでは、周囲への承認欲求が強く、これが暴走する形でトラブルを起こすケースが多いというのも、一般的に見られる特徴です。
今回の事件で木村容疑者が一国の総理大臣に対して爆発物を投げ込んだことも、承認欲求の暴走だと考えれば、納得がいきます。
人気者が新たな環境で孤立する理由!
自己意識があまり強くなく、周囲の人に適当に合わせて行ける人は、対人関係のストレスを受けにくい傾向があります。
一方で、自分自身が新たな情報を生み出すということは苦手にしている場合があります。
これに対し、明確で強い自己意識を持っている人は、周囲の人に無意識のうちに適応することが困難です。
このようなタイプは、周囲の人との歯車がうまくかみ合うと、その集団のリーダーになります。
なぜなら、リーダーになると自分が周囲に合わせる必要があるのではなく、周囲の人が自分に合わせてくれるからです。
私は、木村容疑者の小学校時代はこのフェーズにあったのではないかと考えています。
一方で、このタイプは、一旦周囲の人との歯車が合わなくなると、集団から孤立してしまう傾向があります。
特に、長い期間リーダーとして人間関係の中心にいた人が、リーダーに従うという行動をあまり経験していない場合、孤立を一層深めてしまうことが多いのです。
こうしたタイプの人たちは、人間関係において苦手な面があります。
特に長い時期、リーダーとして人間関係の中心にいた人は、リーダーに従うという行動をあまり経験していないので、孤立を一層深めてしまうことが多いのです。
承認欲求が暴走してしまう理由とは?
また、長くリーダー的な存在でいると、周囲の人から承認されて当然だというマインドが形成されます。
それが、あるときから孤立してしまうと、脳の中で膨張している承認欲求が満たされず、その事自体が大きな精神的ストレスになるのです。
さらに、こうした承認欲求の膨張は、リーダー的な存在を経験していない人にも急増しています。
それは、褒めて育てる教育の行き過ぎです。
褒めて育てること自体は、自己肯定感を高め、学力アップにも役立つのですが、そのためには、いくつか条件があります。
このブログで何度か解説しているので、ここでは省略しますが、特に大事なのは、子どもが頑張ったときだけ褒めるということです。
頑張っていないときまで、やたらめったに褒めてしまうと、承認欲求の膨張だけが脳に植え付けられてしまうのです。
幼い頃は親に褒めてもらって心地よい・・・。
成長していったら、周囲の人に尊重されて、心地よい感覚を味わいたい・・・。
さらに大人になったら、社会から大きな存在と認められて、心地よさを味わいたい・・・。
これは、自己向上欲の原動力になる一方で、歯止めを失うと今回の事件に結びついてしまうわけです。
受験エリートに多い木村容疑者タイプ!
実は、私はこのような木村容疑者と同じような経験をしている受験生を数多くカウンセリングしています。
なぜなら、先ほど2つに分類した人間の性格で言うと、周囲の人に適当に合わせることが苦手な人の方が受験エリートになりやすいという性質があるからです。
学力を高め、難しい問題に対して解答を出す能力は、高度な自己意識のもとに成り立つものです。
ですから、何事に対しても脳に入ってきた情報に対して良くも悪くも適当に対処してしまうというのは、そもそも学力が上がらず、受験エリートになりにくいという性質があるのです。
一方で、自己意識の高いタイプの受験生は、対人関係だけでなく、受験という困難な環境に対しても適当に対処することができず、ストレスを深めてしまうという問題点も抱えています。
これによって、適応障害や受験うつなどのメンタル面の病気に陥ることも多いのです。
こうした受験生が私の心療内科クリニックに数多く受診することになるわけです。
受験エリートとして輝かしい人生を送るか、引きこもりになるか!
現在、何らかのメンタル面のトラブルに苦しんでいる受験生や受験生の親子の方に、私が強く申し上げたいのは、そもそもメンタル面のトラブルに陥りやすいというのは、受験エリートになる大きな長所の裏返しの場合が多いということです。
うまく軌道修正すれば、一流大学に合格し、そしてその後、輝かしい人生を手中に収めることができるでしょう。
一方で、対処を誤ると引きこもり生活が定着してしまい、一生社会に適用できないという大きな落とし穴も待ち構えています。
いわば、現在はその成功か失敗かの人生の分水嶺にあるということです。
決して対処を先延ばしにしてはいけません。
まずは、受験適応障害を知ること!
多くの受験生が、勉強のストレスと入試に落ちるかもしれないという不安で、受験うつ、受験無気力症候群、受験燃え尽き症候群に陥ってしまいますが、その初期に起こる症状として、受験適応障害があります。
この段階で対処すると、脳も心も、一過性の不調で終わり、受験の成功に結びつきます。
逆に対処を先延ばしすると、重篤な脳の機能障害に発展することも多いのです。
受験適応障害は、対人関係が中心に起こる一般的な適応障害と異なる部分が多いので、注意が必要です。
この場合、志望校に合格するには、それに合わせた対策が必要です。
実は、以前、女優の深田恭子さんを苦しめた適応障害が、受験適応障害とよく似たタイプであることがわかっています。
ぜひ、以下の解説も必ずご参照いただきたいと思います。
✓ それまで真面目に勉強していたのに、急にゲームやスマホで時間を浪費したり、塾を休んだりした場合、今、急増している「受験適応障害(Exam Adjustment Disorder)」に陥っている危険があります。
✓ 親は単なるサボりだと勘違いする場合が多いのですが、受験適応障害は心の病で、放置しておくと重度の受験うつに移行することも多いので注意が必要です。
✓ 親が「勉強しなさい」と注意すると、「うるさい!」などと大声で怒鳴り返してくることが多く、これは大人が適応障害になったときに、深酒をして暴れたり危険な運転をして事故を起こすのと本質は同じです。
✓ 女優の深田恭子さんが適応障害になりドラマを降板されましたが、受験適応障害に陥る受験生は深田さんと共通点が多いという特徴があります。
✓ 脳の状態を見極める検査法と、メンタル面を立て直して志望校への合格を勝ち取る治療法についてもご紹介しています。
それまでコツコツと真面目に勉強していたのに、急に勉強を投げ出して、ゲームやスマホばかりやっている・・・。
以前は、塾を休むことなんてなかったのに、今は出席率が0%・・・。
親が「勉強しなさい」と注意すると、鬼のような形相で「うるさい!」と怒鳴り返す・・・。
受験生にこのような症状が現れたら、今、急増している「受験適応障害(Exam Adjustment Disorder)」に陥っている危険があります。