成績が落ちた子どもの心が回復!心療内科医が教える親子のオヤツ時間のメンタル効果
落ち込んだときのスイーツの脳への効果!
今回の記事は、試験の成績が落ちてメンタルが悪化している受験生が、親子で一緒にスイーツを取れば、メンタルが回復するということをお伝えするのが目的です。
ただし、その場合に注意しておきたいのが、受験生一人でスイーツをヤケ食いすることはとても危険で、しかも、これが逆効果になるということです。
落ち込んだりイライラした時に、スイーツなど甘いおやつを食べると心が落ち着く…というのは、私のような心療内科医が言うまでもなく、皆さん、常識だと思います。
だから、入試に落ちた時に、おやつやスイーツをヤケ食いするという受験生が少なくありません。
確かに、甘い味覚による脳への刺激と、血糖値が上がることによる神経への作用で、おやつを食べている時はイライラした感情や落ち込んだ感情が回復する効果はあります。
しかし、これは脳の A 10神経を一時的に興奮させ、ドーパミンによって脳のネガティブな感情をごまかしているだけに過ぎません。
逆に、食べ終わった瞬間に、そのしわ寄せのぶんだけイライラした感情や落ち込んだ感情は、余計に大きくなってしまうことが分かっています。
そこで、多くの受験生がさらに甘いスイーツを食べ続けることによって、ドーパミンて感情をごまかそうとします。
その結果として、多くの受験生が過食症になってしまいます。
また、太ってしまうことを恐れて嘔吐することにより、最終的には拒食症になるというケースがとても多いのです。
成績が落ちた時に甘いスイーツを一人で食べるということは。絶対にやめていただきたいと思います。
親子でスイーツを食べると、なぜ良いのか?
一方、同じスイーツを食べるということであっても、親子で一緒に食べた場合は、脳や心に及ぼす効果は、まったく違ったものになってきます。
このことは、摂食障害に対する研究で解明されたものなのです。
過食症になった人にとって、おやつの食べ過ぎを自分の意志で抑えることは、とても難しいことです。
そこで、そのための対策として、親子など家族で一緒に食べるという取り組みが行われ、大きな治療効果をあげています。
親子で会話しながらおやつを食べる場合は、喋るということに口を使うので、一人で食べる場合に比べて、ゆっくりとした速度で食べることになります。
脳の満腹中枢は、食べ始めてから20分間はあまり働かず、それまでの時間に過食してしまうことが大きな問題点です。
親子で一緒に会話しながらおやつを食べた場合は、この20分間を無理なく使うことができます。
また親子で対話した場合は、脳の A 10神経がスイーツの甘さや血糖値だけではなく、会話の内容に対しても反応するので、暴走を抑えることができるのです。
また、家族愛を感じると、脳内では癒しホルモンのセロトニンの分泌が高まり、ドーパミンの暴走を抑える効果も発揮してくれます。
こうした効果は、成績が落ちてイライラしたり落ち込んでいる受験生の脳にも、まったく同じように生じます。
なぜなら、成績が落ちた受験生は、摂食障害のような病気ではありませんが、脳は一時的にストレス性の機能障害に陥っているのです。
つまり、脳で起こっている現象はとても良く似ているので、その対策も、同じことが効果を持つわけです。
成績が落ちてイライラしたり落ち込んだりしたときに、同じおやつを食べた場合でも、一人で食べるのと家族と一緒に話し会話しながら食べるのでは、大きな差が生じるということは、ぜひ、知っておいていただきたいです。
効果を高める親子オヤツ時間の会話の極意!
成績が落ちて落ち込んでいる受験生の心を回復させる上で、親子のおやつ時間はとても効果的なのですが、さらに効果を確実に得るためには、会話の内容も重要です。
多くの親御様が、落ち込んだ受験生を、すぐに励まそうとします。
励まされることは、落ち込んでいる受験生の脳にとっては、エネルギーを費やすことなので、タイミングを間違えると逆効果になってしまいます。
会話の中身は次のような順番で、少しずつステップアップさせていくというのが適切な対応です。
① 純粋に食べているスイーツについての話題
② 一般的な世間話
③ 入試の総括
④ 今後の展望
どのぐらいのタイミングで次のステップに行ったらいいのかは、受験生が心に受けたダメージの大きさによって変わります。
親御様は、様子を見ながら、焦らず、少しずつ上のステップに進んでいくということが必要です。
オヤツを食べているときにチェックすべきこと!
オヤツを食べながら親子で会話をしているときに、もう一つ、親御様にやっていただきたいことがあります。
それは、我が子の受験ストレスが問題のある状態になっていないか、チェックしてあげることです。
近年、受験うつを始めとした受験ストレス性の疾患になるケースが増えていますが、このような場合に、受験生がご自分で積極的に医療機関を受診するというのは、残念ながら少数派です。
自分の精神状態を客観的に判断する能力自体が、メンタル面の不調のために低下しているわけですから、致し方ないのです。
現実問題としては、親御様に気づいていただくしかありません。
そこで、オヤツを一緒に食べながら会話をして、受験生の心身の問題をチェックしてあげていただきたいのです。
チェック項目については、私のクリニックのホーページで、こちらのページを設けています。
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