受験の緊張が消える親子のハグのメンタル効果【受験の心療内科】
入試は、誰もが落ちるという危険性を抱えており、すべての受験生が大なり小なり、心の中に恐怖心を抱えながら入試を受けることになります。
その恐怖心が病的なほど拡大した場合には、頭が真っ白になって問題が解けなくなってしまう、あるいは、女子は過呼吸を起こす、男子は下痢を起こすなどの症状が出て、大幅な得点ダウンにつながってしまいます。
これが「受験恐怖症」です。
もちろん病的に強い症状が出る方は受験生の一部に限られます。
しかし、そこまでいかなくても、大半の受験生が心の中に恐怖心を抱え込んています。
これが試験の点数の低下につながってしまうというのは、受験生のほぼ全員に起きていることです。
逆に言えば、そのメンタル面の対策をしっかり行えば、合格率のアップにとても効果があるということです。
親が子どもをハグすれば、受験恐怖が消える!
受験恐怖の心理対策として、ぜひ、受験生の親御様に行っていただきたいのが、強くハグしていただくことです。
もちろん、単なる精神論やイメージ論でお勧めしているのではありません。
オキシトシンとコルチゾールという重要なホルモンに関する脳医学の実験データによって効果が実証されているので、おすすめしているのです。
アメリカのウィスコンシン大学で行われた実験を簡単に説明しておきましょう。
入試と同じように、大勢の人の前で演説をするスピーチコンテストも、子どもにとってはとても大きな心理的プレッシャーを受けるものですね。
子どもがスピーチコンテストに臨む前に、①親は何もしない、②親が電話で子供と話す、③親が子どもをハグしてあげる・・・というこの三つのケースで、恐怖心や緊張感に関連するホルモンの変化が測定されました。
ハグでストレスホルモンが低下!
測定されたホルモンの一つが、コルチゾールです。
コルチゾールは代表的なストレスホルモンで、プレッシャーを感じたり、恐怖心が芽生えると、それに応じて増加してくるものです。
この量が限界を超えてしまうと、脳内で正常な情報処理が行われなくなるため、過呼吸の発作を起こしたり、下痢をしたり、頭が真っ白になるとい言った症状が出てしまうのです。
このコルチゾールが、①親が何もしないケースでは高い状態になってしまい、これがスピーチの出来にも悪影響を及ぼしていました。
一方、②親が電話で話した場合は、それによってコルチゾールの増加が抑えられたため、一定の効果はあったのですが、その効果は短時間のうちに消えてしまいました。
これに対し、③親が子どもをハグしてあげた場合は、コルチゾールの低下の効果が大きく、さらにこれが長い時間持続していたのです。
親子の絆で増加するオキシトシン!
では、ハグによって、どうしてストレスホルモンのコルチゾールが低下したのか?
その鍵を握っていたのが、もう一つの大事なホルモン、オキシトシンだったのです。
オキシトシンとは、親子関係など、人と人の絆を作る働きをしているホルモンです。
実験では、オキシトシンも測定されましたが、③親がはぐしてあげた場合にオキシトシンが増加していました。
オキシトシンが増加すると、ストレスホルモンのコルチゾールが抑制されることは、すでに別の実験で実証されていることです。
つまり、ハグすることで脳が親子の絆を再認識することでオキシトシンが増加し、これによってコルチゾールが低下してくれたわけです。
入試の朝は親子のハグで合格をゲット!
ご紹介した研究は、子どもがスピーチコンテストを受けるという状況を実験対象にしていますが、入試の場合も、まったく同じことが起こるのは、間違いありません。
ですから、入試を受ける日は、これから会場に向かうという時に、しっかりとお子さんを抱きしめてあげて送り出してあげたほうが合格率が上がるということです。
あるいは、試験会場まで親が一緒に連れて行ってあげることができるという状況でしたら、試験会場の門の前で抱きしめてあげて、それで試験に送り出してあげたほうが、より効果が高まるということです。
ハグの効果を倍増するテクニックとは?
この場合にさらにこのハグの効果を高められる、ちょっとした工夫があります。
ハグは、日本人にとっては多少は照れくさい気持ちがあります。
照れくさい気持ちを持つと、ハグをしたときに親子の絆を実感する心理が抑制されてしまうので、オキシトシンの分泌量が抑えられてしまいます。
そうならないように、入試の朝を迎える前に、普段から親子でハグをする習慣を身に着けて、脳を慣らしておきましょう。
ハグをするとき親はどんな言葉をかければいいのか?
また、ハグをするときに、ほとんどの親が「頑張って!」と、励ましの言葉をかけます。
しかし、これはオキシトシンの効果を低下させてしまうことが多いので、控えたほうが良いでしょう。
相手に努力を促す言葉がかけられると、やはり、親子の絆の認識が抑制されてしまうからです。
最悪な声掛けは、「絶対に受かってね」です。
結果を要求する言葉をかけたら、逆にストレスホルモンのコルチゾールは増加してしまいます。
では、親が受験生をはぐしながらかけてあげる言葉は、何がいいのか?
おすすめは、「お母さんが応援しているよ」、あるいは「お母さんが付いているからね!」などです。
いずれも、親子の絆にこだわった言葉です。
これによってストレスホルモンを低下させる効果は、より高まってくれます。
入試にたいするプレッシャーが大きいときは?
ただし、入試に対するプレッシャーがとても大きいときは、合格を確実につかみ取るためには、最新医学の力を使う必要があります。
私のクリニックでは、5つの特別診療を行い、合格が勝ち取れるよう、万全の体制で入試に臨んでもらっています。
ただし、その前に真っ先に行うべきことは、受験生ご本人もご家族も、試験恐怖症のことを正しく知ることです。
それだけで、症状がかなり軽減する場合が少なくありません。
ぜひ、以下の試験恐怖症についての解説記事も、ぜひ、お読みください。
志望校への合格を勝ち取るためのメンタル面の対策について、解説しています!
このページの要点は?
・入試に合格するには「試験恐怖症」が大きな障害になりますが、メンタル医学の研究が進み、早期に回復させることが可能になってきました。
・「なんとしても合格してほしい…」というアセリを伴った親の心理が、子どもの症状を悪化させている場合が多いので、注意が必要です!
・「試験恐怖症」の症状に関して一覧表を掲載したので、該当する項目はないか、まずは自己チェックをしましょう!
・受験生に特有にみられる脳機能の障害を分析し、それをダイレクトに回復させることによって、薬に頼らなくても治せます!
ポイント!
「試験場で頭が真っ白になり、問題が頭に入ってこなくなってしまった・・・」
「緊張のあまり、文字が変な記号のように見えてきて、問題が解けなくなった・・・」
これらは、試験恐怖症(Exam Phobia)の典型的な症状です。
毎年、多くの受験生が、本試験で実力を発揮できず、悔し涙を流しています。
私は、試験恐怖症だとされる数多くの受験生に対して、カウンセリングを行ってきました。
その経験を通し、この症状への治療が、志望校への合格につながるのはもちろん、子どもの今後の’人生そのものにも、大きな福音をもたらすという現実を数多く目の当たりにしています。
試験恐怖症を放置してはいけません。
適切な治療が、未来を切り開く大きな礎になってくれるのです。
現実から目を背けず、ほんの少しだけ勇気を出して、治療に踏み出してください。
吉田たかよし院長のおすすめ記事