受験に失敗する親子共依存!合格への家庭の対策を心療内科医が解説【受験専門の心療内科】
親子共依存で入試に落ちる受験生が増加!
親子共依存の精神状態が脳に悪影響を及ぼし、それで入試に落ちてしまう受験生が、今、増加しています。
しかも、親子共依存の様相が、以前とはかけ離れたケースも急増しているために、多くの親子が自覚がない状態となっています。
「うちは親子共依存とは正反対だ」と思っているご家庭は、逆に、実際には親子共依存に陥っている危険性が高い場合が多く、ぜひ、注意していただきたいです。
親子共依存とは、親子がお互いを欠かせない存在だと思う心理が、本来のあるべき水準を超えて高まってしまい、精神的に必要以上に依存しあっている状況です。
こうした心理状態が過剰に高まってしまうと、親も子どもも、共に脳の扁桃体と呼ばれる部分が暴走してしまいます。
これによって、入試直前の精神的に厳しい状況を自分の力で乗り越えるということができなくなってしまうのです。
さらに、親子の間でストレスをお互いに拡大しながら悪影響を与えあってしまうため、受験生がイライラしたり無気力になって勉強できなくなってしまいます。
また、入試の真っ最中に頭が真っ白になってしまう受験パニックを引き起こす原因にもなります。
最悪の場合は、受験期のうつ症状「受験うつ」を発症し、入試会場に行くことさえできない・・・という場合もあるのです。
受験生に急増している「新型の親子共依存」とは?
注意していただきたいのは、今、受験生に急増している「新型の親子共依存」についてです。
「新型の親子共依存」の場合には、ほとんどの親子がお互いに共依存の状態に陥っていることに自覚はありません。
それどころか、「うちは、その正反対の状況だ」と思っているケースが圧倒的に多く、これが親子共依存を見落としてしまう危険な落とし穴になっているのです。
従来の親子共依存は、親が子供に対して過剰に干渉し、その結果として、子供は自主性がなくなって全て親のいいなりといったケースになるのが典型的でした。
ところが、受験生に関して言うと、今、こういうケースとは、一見、正反対に見える親子共依存が急増しているのです。
子供は、親の言うことを全く聞かない・・・。
むしろ、親に対して、あれこれと無理な命令をする・・・。
親に対して暴言を吐く・・・。
さらには、最悪の場合、親に対して暴力を振るう・・・・
このようなケースが受験生の間で増えています。
実は、こうした親子に対して、心療内科クリニックで丁寧に検査と問診を行うと、原因が親子共依存にある場合がとても多いのです。
これが、「新型の親子共依存」の実態なのです。
親を困らせることで依存する子供の脳!
では、「新型の親子共依存」は、従来の親子共依存とは正反対のように見えるのに、どうしてこれが共依存だと言えるのでしょうか?
子供は、成長とともに精神が成熟し、徐々に自分の力で自分の次の行動を決定していけるようになります。
ところが、親子共依存の状態になると、このプロセスが阻まれ、従来は親の言いなりになるケースが大半でした。
しかし、今の子供達は、物質的に豊かな幼年期を過ごし、さらに、スマホなど脳に心地よい刺激を与えるものに常日頃からに触れています。
そのため、自分の思い通りにならない状況に対して粘り強く適用するという能力が、以前の世代よりも低下しているのです。
これが親子共依存の精神病理と脳内で化学反応を起こすと、親に迷惑をかけるという形で精神的に依存するようになるのです。
親の言いなりになるのも依存ですが、親に迷惑をかけてということで精神的な安らぎを得るということも、やはり依存の形態だということです。
実際、親に暴言を吐いたり、親に暴力をふるったりしても、そのこと自体で子供が楽しいと感じるわけではありません。
親に迷惑をかけているという感覚によって、ある意味、親への依存状態であることを心の底で感じ取り、精神的な安らぎを得ているわけです。
これは、幼児の段階で、精神的なストレスを受けると、わざと親に迷惑をかけ愛情をつなげ止めようとする「試し行動」を行うのと、精神的な構造は全く同じです。
それが、現在では、大学受験の年代でも生じているわけです。
原因は母親の生きがいの喪失感!
では、「新型の親子共依存」に陥る親の側の原因は、どこにあるのでしょうか?
原因として圧倒的に多いのは、母親の生きがいの喪失感です。
この社会の中で生きている親御様は、本来は、様々な側面を持っているはずです。
会社の中での役割や、地域社会の中での役割もあるでしょう。
もちろん、親としての役割も重要な役割なのですが、他の役割に関して自分の存在価値を感じにくくなってしまうと、子供の教育や子育てのみが、自分の唯一の価値だと感じてしまうようになります。
その結果、子供への過干渉や執着心が過剰に高まってしまい、母親としての自分しか持つことができなくなってしまうわけです。
これにより、子供の問題から離れることが精神的な恐怖心につながることもあります。
実際、詳しく問診を行うと、子供から暴言を吐かれたり、暴力を受けることさえ、本人は「大変困っている」と言うものの、心の奥底にそれを求めている部分も垣間見えてくることさえあります。
子供の側でも、こうした母親の心理を見透かし、母親への暴言や暴力で心の安寧を得ようとして「新型の親子共依存」が成立するということです。
親子分離は入試に合格した後で!
では、こうした親子共依存の状態に対し、問題を解決するには、具体的にはどうしたらよいのでしょうか?
多くの医師は、親子が精神的に分離するということを勧めています。
場合によっては、子供に一人暮らしをさせるという「親子分離療法」も行われています。
これは、親子共依存の対策として、一般論としては正しいと私自身も考えています。
ただし、子供が受験生であった場合、これはとても危険だと私は声を大にして言いたいです。
確かに、子どもの自立を促す効果はありますが、これによって入試には落ちてしまう場合がとても多いのです。
そして、入試に落ちることで、子供の精神的な混乱はますます深くなるということが圧倒的に多いのです。
実際、毎年3月になると、そのような泥沼にはまってしまった親子が、私の心療内科クリニックに多数、ご来院になります。
精神的な成熟が遅れている今の子供は、突き放してそれて自分の力で成長していくということはとても困難です。
しかも、心身ともにストレスが高まる受験の時期に、このような荒療治に踏み出すのは、とても無謀なことです。
私がおすすめするのは、まずは最新の脳医学を活用して、当面は受験生のお子さんの精神的なストレスの部分だけを改善し、脳機能を高めて志望校の合格を先に確保しておくことです。
その上で、親子共依存を改善するのは、志望校に入学したあとで、じっくりと取り組めばいいのです。
つまり、親子共依存の根本的な解決は、入試に合格した後に良い意味で先送りするわけです。
実際、受験に成功するとお子さんの気分はポジティブになるため、親子分離は、ほどんどのケースでうまくいきます。
暴言や暴力を乗り越えて合格を勝ち取るには!
ただし、親への暴言や暴力は、子供の脳が発するSOSサインなので、それを無視して先送りするということ自体が、合格を勝ち取る上でも、妥当な判断だとは言えません。
まず、暴言や暴力に駆り立てた脳の異変を正しく検査であぶり出し、そこを治すことが、受験で合格をつかむためには欠くことのできない条件なのです。
まずは、私のクリニックのホームページのうち、「家庭内暴力(受験生)」のページをご参照ください。
冒頭だけ、以下、こちらのブログでもご紹介しておきますが、心当たりのある方は、必ずホームページを見てください!
https://www.akamon-clinic.com/家庭内暴力(受験生)/
このページの要点は?
✓ 若い世代を中心にメンタル面が脆弱になった影響で、受験生の家庭内暴力は急速に拡大しています。
✓ もともとは性格的に優しく、考え方も理知的であった子どもに多い傾向があり、従来の一般的な家庭内暴力とは正反対の特徴を持っています。
✓ 根本的な性格(気質)は遺伝でかなりが決定されており、受験生が親に対し暴力を振るうようになった場合、それは性格が変わったためではなく、脳機能に異常が生じた可能性が高いと捉えるべきです!
✓ 「受験うつ」を中心に、受験ストレスは気合や精神力で対処できるものだといった誤解と古い偏見が、家庭内暴力を招く元凶となっています!
✓ 受験に特化した光トポグラフィー検査を受診し、受験生の脳にどのような問題が起こっているのかを解き明かすことが、家庭内暴力の解消と志望校への合格を勝ち取る上で最良の方法です。
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