受験生がスランプから回復する食事とは?心療内科医が教える脳を支えるメニュー
成績急落の受験生が回復する食事
スランプはすべての受験生に訪れる!
スランプの時期はスポーツ選手のほぼ全員に訪れると言われていますが、これは受験生も例外ではありません。
スランプは来ないに越したことはありませんが、それ以上に大事なのは、たとえスタンプになってしまったとしても、それを上手に受け流して早期に回復させることです。
多くの受験生が、スランプそのものよりも、スランプに陥ったことで焦ってしまって精神的に追い込まれるダメージの方がより深刻です。
それによって重度の無気力になったり、パニックを起こしたり、場合によっては受験期のうつ症状「受験うつ」などになってしまうこともありるのです。
実際、スランプそのものではなく、スランプに陥ったときの対応の誤りが直接の原因になって、入試に落ちてしまうケースがとても多いのです。
受験生ご本人も、受験生の親御様も、スランプに陥った時の初期の対応に、是非、注意していただきたいと思います。
スランプに陥ったら、まずは食事!
スランプに陥ったら、まずは食事をたっぷり取ることです。
受験生の多くが、スランプに陥ったら、知らず知らずのうちに食事の量が減ってしまっています。
もちろん、現在の日本の栄養事情では、少々食事が減ったからといって、それで栄養失調などの健康上の問題が生じることはありません。
ただし、スランプに陥った受験生にとっては、わずかな食事量の減少でも、脳による精神状態への悪影響は生じてしまいます。
食事が減っただけで、脳の中にある扁桃体という部分が刺激を受けやすくなります。
これによって、イライラや焦燥感、あるいは入試に落ちるかもしれないと言う恐怖心が脳内で高まってしまうのです。
こうした作用が生じるため、スランプの後に食事が減って、それをきっかけにしてメンタル面のトラブルを深めてしまうという受験生がとても多いのです。
「やけ食い」が脳に及ぼす作用とは?
一方、試験の成績が悪くて、「やけ食い」をしてしまうという受験生も多いのが特徴です。
心療内科の医者から見ると、こちらの方がはるかに安心できます。
実は、「やけ食い」というのは、食事によるストレス緩和作用を、無意識のうちに脳が感じているために起こる現象です。
また、「やけ食い」によって脳内のA10神経がドーパミンを供給するため、その快感で心を立て直す作用もしょうじます。
つまり、「やけ食い」は、脳が不調から回復するのに望ましい側面も大きいということです。
もちろん、恒常的に「やけ食い」を続けていると、過食症などの摂食障害になってしまう心配があります。
しかし、スランプのような一過性の出来事に対する対策としては、脳医学的には、「やけ食い」の方が食事が減るよりはるかに望ましいといえるのです。
ただし、スランプから早期に回復させるには、もちろん「やけ食い」をしましょうというわけではなく、食事が脳に与える効果を最大限に与える食事がベストです。
単に「やけ食い」をすれば良いというわけではなく、スランプ回復のための適切な食事があるのです。
受験生の親御様には、ぜひ、おこさんに、そんな食事を出してあげていただきたいです。
スランプ回復には「消化の良さ+腸内環境」
スランプから回復するための食事の大原則は、「消化の良さ」と「腸内環境を改善する」という二つの目的を同時に達成することです。
この2つの条件を満たす食事が、受験生をスランプから救うことができる理想の食事だといえます。
まず、「消化の良さ」がなぜ必要か?
精神的ストレスが消化器官に悪影響を及ぼしているので、胃腸の消化能力が低下してしまいます。
よく、ゲンをかついで、受験に勝つためにカツ丼を食べさせる親御様がいらっしゃいますが、これは論外です。
そもそも落ち込んでいる時は、消化が大変な食べ物を胃が受け付けなくなってしまっています。
また、消化器官の負担が脳に作用して、スランプを悪化させる原因にもなってしまいます。
消化に良い食事を食べさせるというのは、スランプに陥った時の大原則のその1です。
ただし、気をつけていただきたいのは、安易に「消化の良さ」に傾いた食事を摂ると、スランプを悪化させる副作用が出るということです。
「消化の良さ」に偏るとスランプが悪化するため、これを回避しながら消化の良さを実現させる必要があります。
「消化の良さ」に偏るとスランプが悪化!
スランプに陥った受験生にとって、確かに消化に良い食事は胃に与える負担が軽くなるため、この部分はとても望ましいことです。
しかし、消化の良い食事の中には、腸内環境を悪化させるという副作用を持っている場合も少なくないので、こちらについては注意が必要です。
医学では「脳腸相関」と呼ばれていますが、腸の状態と脳の状態は互いに影響を与えあっています。
これは、スランプに陥った受験生には、とりわけ重要です。
腸内環境が悪化するとメンタルも悪化し、腸内環境が改善するとメンタルも改善するという関係になっているからです。
ですから、スランプから回復させるには消化の良さと同時に、腸内環境の改善をはかる必要があります。
お菓子のやけ食いが焦燥感を生み出す理由とは?
実は、腸内環境の悪化によって、イライラや焦燥感がより深まってしまうということは、多くの方が経験していることです。
それが、まさしく、やけ食いによってお菓子を大量に食べてしまったときのことです。
お菓子は、胃の負担が軽いという点で、メンタル面の改善の条件その1を満たしています。
しかし、腸内環境は悪化させてしまうので、二つ目の条件は満たしていないどころか、その正反対です。
お菓子を大量に食べた瞬間は、 A 10神経がドーパミンを供給するため脳内で快感が高まり。一時的にストレスは緩和されます。
ところが、しばらく時間が経つと、イライラや焦燥感がより高まってくるということを多くの方が経験しているのではないでしょうか。
それは、腸内環境を悪化させるという副作用が、時間差で訪れるためです・
これは、お菓子のやけ食いだけで生じることではなく、普通の食事であっても同じです。
ただ消化が良いだけというものを大量に食べてしまうと、これにこれと同じような現象が脳に生じてしまうのです。
スランプから回復できる理想の食事とは?
では、受験生がスランプから早期に回復できる食事とは、具体的にはどのようなものでしょうか?
ご説明してきた通り、消化が良いという第一条件、そして腸内環境を回復させると言う第2条件・・・。
この二つを満たした食事が理想的です。
この点でお勧めするのが、きのこ類や海藻類がたくさん入ったうどんです。
普段の食事では、主食はお米のご飯の方が血糖値が安定するので、麺類よりもが望ましいといえます。
ただし、スランプに陥った時は、うどんの方が消化が良いので、脳への効果を考えるとこちらの方が望ましいといえます。
同時に、エノキダケでもマイタケでも何でも良いので、きのこ類をたっぷり加えてあげることをお勧めします。
また、ワカメなど海藻類もたっぷり加えてあげて下さい。
こうして食物繊維を供給する事で、腸内環境にもプラスの側面が出てきます。
ただ、中高年とは違って若い世代では、これだけでは料理としてあまりにも魅力がないでしょう。
なんだか年寄りくさい感じがして、食欲が湧いてこないと思います。
エビフライを乗せるとか、かき揚げを加える、あるいは肉を加えるなど、受験生ご本人が好きな食べ物をトッピングとして加えていただければ良いでしょう。
もちろん、きのこ海藻たっぷりうどん以外でも、消化が良くて腸内環境も改善させるというものであれば何を食べさせてあげても結構です。
また、食後のデザートは、バナナとヨーグルトの組み合わせがベストです。
ヨーグルトは腸内環境を改善させてくれる上に、バナナに含まれるオリゴ糖が腸の中で乳酸菌のえさになってくれるので、二重に効果が上がります。
「自己効力感トレーニング勉強法」でスランプを克服しよう!
今回は食事についてご紹介しましたが、これに加え、スランプから回復するには、勉強法も変える必要があります。
スランプの対策として、特に効果が高いことが実証されているのが、自己効力感を高めることで、これを受験勉強に組み込んだのが、「自己効力感トレーニング勉強法」です。
具体的にどのように実践したら良いのかについては、クリニックのホームページに書いておきました。
「自己効力感トレーニング勉強法」については、次の4つの見出しの部分で重点的に解説しています。
① ご自分で簡単にできる自己効力感トレーニングで、スランプから脱出!
まずは、以下の要点だけでも、ご一読ください。
Academic Slump
このページの要点は?
✓ 勉強のスランプは、「心理学的な不調によるスランプ」と「脳医学的な不調によるスランプ」という、まったく異なる二種類のタイプがることがわかってきました。
✓ 「心理学的な不調によるスランプ」は、試験で悪い点数を取る ⇒ 焦りと不安が生じる ⇒ さらに悪い点数 ⇒ さらに焦りと不安 ⇒ ⇒ ⇒という心理的な悪循環で生じます。
✓ 誰でもご自宅で自分一人でスランプから回復できる「自己効力感トレーニング勉強法」をご紹介します。
✓ 「脳医学的な不調によるスランプ」の場合は、脳の背外側前頭前野や扁桃体の機能を回復させると、ごく短期間のうちに成績は飛躍的に高まり、志望校への合格に役立ちます!
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