模擬テストの成績が悪く、それが元で「受験の燃え尽き症候群(Examination burn-out syndrome)」になってしまう受験生が、今、増加しています。
燃え尽き症候群というと、入試が終わった後になるものだという先入観をお持ちの方が多いと思います。
でも、メンタルがデリケートな今どきの受験生の間では、模擬試験の段階で受験燃え尽き症候群になってしまう場合が少なくないのです。
この場合は、受験に失敗してしまう原因になってしまいますので、入試が終わった後の燃え尽き症候群より、受験生へのダメージははるかに深刻です。
受験の燃え尽き症候は、どのような状態が危ないのか?
どうすれば、受験燃え尽き症候を予防できるのか?
受験生を専門に診療している心療内科医としての経験と専門知識をもとに、わかりやすく解説します。
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模擬テストをキッカケに一気に無気力に・・・
多くの受験生が、志望校に合格したいという気持ちが強くなると、一段階も二段階もギアを上げて、意欲的に受験勉強に取り組みます。
その結果、学んだ知識が増えて、今まで解けなかった問題も解けるようになるため、それなりに勉強の成果に対して手応えを感じ取るものです。
ところが、模擬試験を受けると、必ずしも本人が感じる勉強の手応えの通りの結果が出るというわけではありません。
当然、模擬試験を受けている時に脳のコンディションが悪かったり、問題との相性が悪かったりすると、悪い成績を取ってしまうこともあります。
それをきっかけに、受験勉強のやる気が、まるで燃え尽きてしまったかのように消えてなくなってしまう場合があるのです。
これが「受験の燃え尽き症候群(Examination burn-out syndrome)」です。
受験燃え尽き症候群の症状とは?
受験の燃え尽き症候群とは、一般的な常識としては、長い間、受験勉強を一生懸命に続け、その結果、入試に臨んだ後に生じるものだという認識でしょう。
実際、そのような場合も少なくはありません。
しかし、今どきの若い世代の受験生は、メンタル面がとてもデリケートにできていて、入試が終わるよりも前の段階で、模擬試験の成績にショックを受けることによって受験燃え尽き症候群になってしまうことが多いのです。
「受験の燃え尽き症候群」の特徴は、脳内て意欲の枯渇や消耗(Emotional Exhaustion)が起きることです。
具体的には、模擬試験を受けたあと、あるいは模擬試験の成績が返ってきたあとに、
・明らかに生きる気力が低下している・・・。
・気が抜けたような感じになっている状態がいつまでも続く・・・。
・まったく勉強をしなくなり、ぼんやりとスマホばかり眺めている・・・。
以上のような状態になることです。
受験生の親御様は、ぜひ、受験生にこのような様子がみられたら、受験燃え尽き症候群かもしれないということを頭の中に入れておいて、しっかりお子さんを見守ってあげてほしいのです。
受験燃え尽き症候群の脳では何が起きるのか?
燃え尽き症候群は、入試の後に起こるよりも、入試の前の段階で起こった方が、受験生にとってのダメージははるかに深刻です。
入試の前に起こってしまうと、入試の合否の結果に深刻な悪影響を与えてしまうからです。
もちろん、受験勉強自体が頑張れなくなると、それに伴って学力が低下していくのは言うまでもありません。
ただし、それ以上に怖いのは、試験を受けている最中に意欲が低下してしまうことです。
意欲が低下していると、答えを引き出すための気力の粘りが出なくなってしまうのです。
試験会場で起こる脳の機能変化とは?
実は、人間の脳は、普段の日常生活では、無意識のうちに脳の機能にストッパーをかけ、能力を70%くらいにセーブしています。
これによって、脳の負担が過剰に大きくならないようにするという安全装置のような働きをしています。
この脳の働きに制限をかけているストッパーが、試験を受けているだけはずれます。
だから、この作用だけに限ると、自宅で勉強している時よりも問題を解く能力は高まります。
一方で、試験では緊張しますので、こちらの作用によって能力は低下します。
トータルでいうと、どちらの作用が上回るかで、本番に強いタイプになるか、本番に弱いタイプになるかが決まるのです。
試験会場に行くことさえできなくなる受験生の脳!
しかし、受験無気力症候群になると、試験で頑張るということができなくなってしまうので、どちらの作用もマイナス方向に働きます。
だから、学力の低下以上に成績は壊滅的になってしまうわけです。
特に、複雑な情報を脳内で根気強く分析をしないと正解まで至ることができない応用問題については、正解率がとりわけ低下してしまうのが特徴です。
また、症状が重篤化すると、入試の会場に行くことすらできなくなります。
入試の会場は、受験生が人生をかけた戦いを行う戦場のようなもので、ピンと張り詰めた空気が広がっています。
それに負けない意欲がないと、入試を受ける以前の問題として、そこから逃げ出したくなる衝動に取り憑かれてしまうのです。
受験燃え尽き症候群は、早期に見つけ、早期に治しておくということが、志望校への合格には不可欠なのです。
受験燃え尽き症候群を防ぐ親の声掛けとは?
受験生が燃え尽き症候群に陥ってしまって勉強を放棄したとき、親はどう対処したらよいのか?
こちらについては、クリニックのホームページの 「受験生が勉強を放棄! 脳を蝕む燃え尽き症候群の対処法」のページで詳しく解説しています。
気になる異変を感じた親御様は、ぜひ、今すぐ対処をしていただきたいです。
「受験生が勉強を放棄! 脳を蝕む燃え尽き症候群の対処法」
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燃え尽き症候群には「受験うつ」の危険性!
受験燃え尽き症候群に陥った場合、単なるメンタルの問題ではなく、根本的な原因が「受験うつ」だという危険性があります。
受験燃え尽き症候群をはじめ、受験無気力症候群、ストレス性記憶障害、読解力低下症など、「受験うつ」を網羅した総合解説のページ、「受験うつ対策ガイド 合格への道を開く情報が満載 Dr.吉田の受験うつ総合解説」を設けています。
こちらも、ぜひ、ご一読ください。
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また、受験燃え尽き症候群は、決して放置はしてはいけないものです。