親が自分のイライラを抑えると子どもが合格?心療内科医が教える家族のメンタル対策!
受験の心療内科
親のイライラ対策で受験生が志望校に合格!
我が子は受験生なのに、ちっとも勉強しない・・・。
「勉強しなさい!」と注意しても、ゲームとスマホをやり続けるばかり・・・。
受験生の親御様は、なにかとイライラする機会が増えるものですね。
しかし、気をつけていただきたいのは、そのイライラの中に、親自身のメンタルの問題が含まれている場合が少なくないということです。
特に心配なのは、受験生の親御様自身が「うつ症状」になっている場合が少なくないということです。
「うつ症状」というと、心がふさぎ込むことだと思いこんでいる方が多いようですが、イライラも「うつ症状」の重要な兆候なのです。
受験生の親御様が、たとえごくごく軽い「うつ症状」であったとしても、メンタルの不安定さが親子の間で増幅しあって、その結果として受験生が志望校に合格できなくなる・・・ということが、多数、起こっています。
受験生を専門に診療している心療内科医としての経験をもとに、どうすれば親子共に前向きで安定したメンタルを取り戻し、受験生を合格に導けるのかアドバイスしたいと思います
親子でメンタルが悪化する「親子受験うつ」!
受験生が「受験うつ」に陥ってしまうと、メンタルが不安定になって、不安で心が押しつぶされて勉強ができなくなったり、イライラが抑えきれなくなって勉強に集中できなくなってしまいます。
そんな受験生を日々診療しているわけですが、親子カウンセリングを行っていると、お子さんだけではなく、親御様自身も「うつ症状」になっている場合が少なくないのです。
さらに、その前段階に相当するメンタルが不安定な状態まで拡大すると、ほぼ全例の親御様が該当します。
親子は心理的に密接に結びついていますので、親御様のメンタルが不安定になると、それがお子様にも投影されます。
その結果、お子様のメンタルも不安定となり、粘り強く勉強することができなくて、ゲームやスマホに現実逃避する場合が少なくありません。
そうすると親御様は、当然、余計にイライラを募らせるということになります。
その結果、親御様はますますイライラを募らせる・・・ということが起こるわけです。
こうして親子でメンタル面メンタル面の悪循環が生じ、このスパイラルの帰結がお子様の「受験うつ」、あるいは親御様も含めた「親子受験うつ」なのです。
カウンセリングを行うと、もとを正せば、はじめは親御様のごく軽いイライラであった場合も多く、この段階でうまくメンタルをコントロールしておけば、お子さんも受験に成功できたのでは・・・と悔やまれるケースもよくあることです。
受験生の親御様のイライラは、たとえ軽いものであっても、放置するというのは得策ではありません。
親御様をイライラさせる元凶は、性ホルモンのギャップ!
受験生の親御様のイライラをコントロールしていくためには、まず、そのイライラがなぜ起こるのか、正しく理解をしておく必要があります。
もちろん、イライラする直接の原因は、お子さんの成績が悪化しているのにちっとも勉強しない・・・、スマホやゲームばかりしている・・・などといったことでしょう。
しかし、これは表面的な理由でしかありません。
受験生の親御様がイライラする原因として、本質的な理由として構造的な問題があるということを理解しておくと、イライラをコントロールするのに役立ちます。
本来、子どもは思春期を迎えると性ホルモンが急増し、これによって親に反抗し、独り立ちをしていてように、脳の機能が設計されています。
ところが、社会が複雑になり、さらに情報化社会になって脳に入ってくる情報量が急増した結果、相対的に心の成熟が遅くなり、思春期の段階でも心はまだまだ幼いのが現状です。・
例えば大学受験を行う18歳は、鎌倉時代や室町時代であれば、すでに精神的には大人です。
でも、現在の18歳は、中世の時代と比べると十歳ぐらいの感覚だと指摘されています。
受験生の心が未熟で、自分一人では自分をコントロールできない・・・。
でも、性ホルモンはすでに思春期に入った段階から急増しているため、親の言うことは聞かない・・・。
このギャップが受験生の親御様のイライラを生み出す元凶の一つとなっているのです。
ですから、イライラしていて親子様がすべて悪いわけではない・・・。
イライラさせているお子様がすべて悪いわけでもない・・・。
いってみれば、時代が生み出す構造的な問題の被害者としての側面もあるのです。
受験生の親御様がイライラをコントロールするためには、こうした事情があるということを理解しておく必要があるのです。
子どもの自主性に任せられない現実!
では、受験生の親御様がイライラしてしまった場合に、どうすればいいのか。
大学受験の年代になったら、全て子供に全て子供の判断に任せておけばいい・・・、親は干渉しない方がいい・・・。
世間ではこうしたアドバイスがなされているようです。
しかし、私は受験生を専門に診療している心療内科医として、こうした方針はとても危険だと声を大にして訴えたいです。
心が未熟な状態で大学受験の年代を迎えた今の受験生は、放っておいて自主性に任せたらうまくいく…というような甘い状況ではありません。
大半の受験生は、放っておくとスマホやゲームに多くの時間を費やし、さらに電子機器を長時間使うことによる脳へのダメージからますますメンタルが悪化していきます。
結果的には浪人を繰り返し、場合によっては部屋に引きこもって社会と交流が持てなくなってしまう…というケースも少なくありません。
もちろん、これはお子さん自身にとって不幸なことですが、同時に親御様にとっても大きな経済的な負担を、今後20年30年といった長いスパンで被ることとなってしまうかもしれません。
お子さんのことは放置しておけばそれでいいんだ…というのは、私から見ればとても無責任なアドバイスだと思います
時間を限定して子供と向き合うと心が回復する!
受験生のお子様に関してイライラした感情が心の負担になっている親御様は、まず試みていただきたい対策が、時間を限定してお子様と向き合うということです。
お仕事をされている時間・・・。
家事を行っている時間・・・。
四六時中、子供のことで頭がいっぱいになってしまうという親御様は少なくないのが現実です。
しかし、これでは親御様の心が壊れてしまいます。
また、こうした状況では、お子さんの対策について適切な判断もできません。
これに対し、おすすめしたい方法は、15分間に限定してお子さんの問題に向き合うということです。
お子さんと話し合うのも、一回あたり15分間に限る・・・。
また、お子さんの今後の事について親御様が考えるというのも、1回あたり15分に限る・・・。
このように、一回あたり15分間に限定するのを徹底させるということです。
人間のメンタルは、不安なことや嫌なことに対して逃避しようとすればするほど、メンタル面が不安定になるということが分かっています。
逆に言えば、いったんはしっかりと向き合った方が、メンタルが安定するわけです。
ただし、ダラダラと長時間にわたって悩み続けると、ストレスホルモンのコルチゾールが脳に悪影響を与え、メンタル面が悪化してしまいます。
つまり、不安なことや嫌なこととは、時間を限定して向き合うのがよいのです。
その時間としてベストなのが15分間です。
具体的には、キッチンタイマーで15分をセットし、15分間に限定して徹底して受験生の問題と向き合いましょう。
そして15分が過ぎたら、いったん、受験生のことは全く忘れて、ご自分のお仕事や家事のこと、趣味のことに脳の働きを切り替えるということを行ってください。
「受験うつ(Exam Depressive Disorder)」⇒クリック!
✓ 「受験うつ」とは、受験生が勉強のストレスなどで生じるうつ症状の総称です。2005年に当院院長の吉田たかよし医師が日本で初めて提唱し、「受験うつ どう克服し、合格をつかむか」(光文社新書)がベストセラーになったことなどで広く社会に浸透しました。
✓ 受験生の自覚症状として最も多いのは、集中力の低下です。勉強のストレスや不合格になるのではないかという不安によって、脳内で集中力を生み出す中枢が機能低下を起こすために生じます。
✓ 英語や国語の課題文が読み取れなくなるということも、「受験うつ」で頻発している症状です。脳内の扁桃体(Amygdala)が暴走すると、ワーキングメモリー(Working memory)の機能が悪化するため起こります。
✓ 「受験無気力症候群(Exam Apathy Syndrome)」を併発する方も多く、受験勉強を持続する能力が低下し、志望校への合格を阻む重大な原因になっています。
✓ 最新の脳科学とメンタル医学を総動員し、受験生のお一人お一人の脳の状態に最適な治療を行うことで、「受験うつ」が早期に軽快するだけでなく、脳機能がパワーアップするため、発病前より2ランク高い志望校に合格されるケースも少なくありません。
「受験うつ」とは、受験生が、勉強のストレスや入試に落ちるのではないかという不安などにより生じる、うつ症状の総称です。
2005年に当院院長の吉田たかよし医師が、受験期にうつ症状が急増することを指摘し、日本で初めて「受験うつ」として警鐘を鳴らすべきだと、所属学会をはじめ、テレビ・ラジオ・雑誌等で広く提唱しました。
当初は、「受験うつ」と呼ぶことに対しご批判をいただくことも多く、長く論争が続きましたが、そんな中、光文社新書より「受験うつ どう克服し、合格をつかむか」という書籍を刊行させていただきました。
これが、紀伊国屋本店で販売ランキングのトップになるなどベストセラーとなり、一気に社会的な認知が広がり、今では多くの精神科医や心療内科医に認められ使用されている用語となっています。
上記の受験うつの様々な症状の中で、受験生ご本人が感じるのが最も多いのは、集中力の低下です。
うつ病になると、記憶力や思考力など、脳内の様々な認知機能が低下しますが、集中力の低下も、かなりの高い割合で生じます。
さらに、受験勉強が高度な集中力を要求するため、脳内で集中力を生み出す中枢が、とりわけダメージを受けやすいのです。
また、受験勉強や模擬テストで集中力を問われるため、受験生は、いわば集中力の検査を日々行っているようなものなので、異変に気づきやすいという側面もあります。
集中力の低下が、受験うつを教えてくれる大事なSOSサインであるということを、ぜひ、肝に銘じてください!
続きを読む ⇒ 本郷赤門前クリニックホームページ「受験うつ(Exam Depressive Disorder)」
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