眠れない受験生に親ができる効果的な対策とは【受験の心療内科】 | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし

眠れない受験生に親ができる効果的な対策とは【受験の心療内科】

眠れない受験生に親ができる対策

 

受験の心療内科

 

眠れない受験生に親ができる対策とは?

 

眠れなくなる受験生が増加!

 

受験生は、入試の不安と勉強による脳疲労の結果、夜、なかなか寝付けなくなる…というのは、よく起こることです。

 

これを放置しておくと、記憶力、集中力、思考力の低下を招きます。

 

さらに、メンタル面がよりいっそう不安定になることで、「受験うつ」を発症する場合もあります。

 

親御様には、ぜひ、適切な対策をとっていただきたいです。

 

親の言葉で「思考抑制の逆説効果」

 

この点で、特に注意していただきたいのが、親御様が受験生にかけてあげる何気ない一言で逆効果になってしまうということです。

 

実は、良かれと思って我が子にアドバイスしている言葉が、逆にメンタルをむしばみ、不眠を悪化させていることが多いのです。

 

理由は、メンタル医学で「思考抑制の逆説効果(Paradoxical effects of thought suppression)」と呼ばれている作用が働くからです。

 

家庭でできる安眠対策とは?

 

親御様が受験生に対して口にしてはいけない禁句とは、具体的にはどのような言葉なのか?

 

睡眠薬などに頼らず、親御様ができる受験生の安眠対策とは、どのような方法があるのか?

 

受験生を専門に診療している心療内科医としての経験と専門知識をもとに、こうしたポイントをわかりやすく解説します!

 

 

 

 

その前に、恐縮ではありますが、少しお知らせをさせていただきます。

 

Zoomで講演会を行います。

 

参加は無料ですが、事前にお申し込みが必要です!

 

浜学園 算数科主管 村田竜祐 × 医学博士 吉田たかよし先生 Zoom講演会

「算数を劇的に伸ばす! 浜学園メソッドの秘密」

趣旨
毎年、超難問が出題されることで有名な灘中学の算数問題。
浜学園は18年連続、灘中合格者数日本一を達成し、また数々の最難関校に合格者を輩出しています。
その実績を支えているのが算数教育です。長年に渡り実績を出し続け”算数の浜”と言われるのはなぜか…。その秘密を公開します。
“算数が得意になるには「好き」以外の大切な「鉄則」がある”と提唱し、30年間、浜学園のトップ講師として教壇に立つ村田竜祐。今回はその指導システムが結果をだし続けている訳を、医学博士・吉田たかよし先生が脳医学的見地から解説します。
対象
小1~小6生の保護者
【こんな方にオススメ】
◎これから浜学園に入ろうと思っている方 ◎算数の勉強法で悩んでいる方
◎算数をさらに伸ばしたい方 ◎算数のケアレスミスで悩んでいる方
これまで3万人以上が聴講した村田竜祐の「劇的に伸びる」講演会シリーズでは“もっと早く聴いておけばよかった”というお声も多数。この機会にぜひご参加ください。
内容
・算数が身につく時の脳の働きは、自転車に乗れた時と同じ!
・図形を手書きする子が伸びるのはなぜ?
・ミスの法則を見つける効果的な方法とは?
Zoom実施日
10月29日(土) 講演 10:30~12:00
※ 12:00~12:30はチャットで感想をお書き込みください。
動画配信
11月20日頃を予定(配信期間は2023年1月20日(金)まで)
弁士
浜学園算数科主管・教科指導部次長 村田竜祐
村田先生プロフィール: 小6灘コースプロジェクト担当,小6星光・東大寺コース統括。浜学園で約30年トップ講師として教壇に立ち、灘,星光,東大寺,洛南,西大和等、担当する志望校コース対象校全てにおいて日本一を達成している。また講演会には累計 30000 人以上の保護者・生徒が参加し好評を得ている

医学博士・浜学園教育顧問 吉田たかよし
 
参加費
無料
申込期間
Zoom 講演会:10月17日(月)14時~10月26日(水)17時
動画配信:10月17日(月)14時~12月31日(土)17時
 
お申し込み ⇒ https://www.hamagakuen.co.jp/events/info_session/15164/

 

 

 

 

 

  「落ちることは考えるな」は禁句!

 

入試のことが心配で眠れなくなった受験生に、親がアドバイスをしてあげようと思って、よく言う言葉があります。

 

実は、良かれと思って親が口にする何気ない言葉が、逆に受験生のメンタルを蝕み、不眠を悪化させていることが多いのです。

 

 

あなたは、不安で眠れなくなった受験生に、このような言葉をかけたことはありませんか?

 

「落ちることは考えるな!」

 

「ネガティブなことは考えるな!」

 

「余計なことは考えるな!」

 

 

私は受験生を専門に診療している心療内科医として断言します。

 

これは、親が絶対に言うべきではない言葉、つまり禁句なのです。

 

 

受験生は、「落ちることなど、良くないことは考えないでおこう…」と思っても、そう思えば思うほど、より考えてしまいます。

 

だから、より一層、眠れなくなるのです。

 

 

どうして、そうなってしなうのか?

 

それは、人間の脳が、構造上、「自分の意志によって何かを考える」ということはできますが、「自分の意志によって何かを考えない」ということはできないからです。

 

 

  シロクマの実験とは?

 

人間の脳は、自分の意志で考えないでおこうとすると、逆に、余計に考えてしまうという性質を持っています。

 

このことを実証したのが、メンタル医学ではよく知られている「しろくまの実験」です。

 

被験者に対して「今からシロクマのことを考えないでください」と指示を出したら、被験者は反対にシロクマのことを考えてしまいました。

 

 

このように、考えないでおこうとすると逆に考えてしまう作用は、メンタル医学で「思考抑制の逆説効果(Paradoxical effects of thought suppression)」と呼ばれています。

 

思考を抑制しようとする自分の意思とは正反対の結果になるのは逆説的なので、こうした用語が誕生しました。

 

この効果によって、受験生は、心配事を考えないでおこうと思えば思うほど余計に心配になってしまって、眠れなくなってしまうわけです。

 

 

  根拠のない気休めの言葉も無力!

 

入試が心配で眠れなくなった受験生に対し、やはり、親が言いがちなのが、「心配しなくても大丈夫だ・・・」といった気休めの言葉です。

 

このような気休めの言葉も、受験生には、ほぼ無力です。

 

こちらも、むしろメンタル面が不安定になることで、不眠を悪化させてしまうことも少なくありません。

 

 

それは、なぜなのか?

 

受験生は、普段から国語の現代文や数学の問題を解くことで、合理的に思考する訓練を積んでいます。

 

親が耳あたりの良い気休めの言葉をかけても、受験生は無意識のうちに、その主張に明確な根拠があるのか、発言者にオーソリティーがあるのかなどを判断します。

 

受験生がオーソリティーを感じていない自分の親から、根拠が感じられない気休めの言葉を聞いた場合、それを心の底から受け入れて安心できるということは、まず、ありえないことです。

 

 

  眠りに誘う「後頸部温罨法」とは?

 

このような精神論に基づく言葉による対策で、受験生が眠れるようになるということは、まず、ありません。

 

親がやるべきことは、眠れなくなっている受験生の脳が睡眠状態に移行しやすいように、生理的な条件を整えてあげることです。

 

 

ぜひ、試していただきたいのが、後頸部温罨法(こうけいぶ・おんあんぽう)と呼ばれる方法です。

 

後頸部は、首の後ろの部分という意味ですが、温罨法は、とっても難しい漢字ですね。

 

これは、身体の一部に温熱刺激を与える治療法を指す言葉で、もともと漢方医学から来た用語だから、こんな難しい漢字なのです。

 

つまり、後頸部温罨法とは、首の後を温める治療法を指すわけです。

 

 

  現代医学でも効果が実証!

 

「なんだ!現代医学じゃないんだ・・・」と、がっかりした方もいるかもしれませんが、ご安心ください。

 

ご紹介する方法は、元は漢方医学にルーツがありますが、現代医学で改良がなされ、効果が実証されているものです。

 

 

手術を受ける患者さんは、前の夜に眠れなくなるというのは、病院の当直の経験がある医者にとっては「あるある」です。

 

こうした方を対象にした実験で、どのようにすれば後頸部温罨法で効果が得られるのか、その条件が見つかっています。

 

 

  美容室のホットタオルがお手軽!

 

後頸部温罨法は、いろんなやり方がありますが、おすすめは、タオルなどを熱いお湯につけて温めた後、絞って首の後ろに当てることです。

 

よく、美容室なんかで、シャンプーのあとにやってくれますよね。

 

あれって、とっても気持ちいいですね。

 

 

気持ちいい理由は、血行が良くなるということもありますが、それ以上に大きいのは、温めることで、副交感神経優位に切り替わるためです。

 

後頸部温罨法で眠りにつきやすくなるのも、この作用が働くためです。

 

 

  受験生の不眠に特に効果が高い理由とは?

 

さらに受験生の場合には、後頸部温罨法の効果が、とりわけ大きくなる条件がそろっています。

 

どういうことかというと、受験勉強の緊張によってかなり交感神経が優位になっています。

 

その結果、首の血液循環が悪化しているので、この部分を温める効果が、同年代の受験しない人より、はるかに大きいわけです。

 

また、受験生は、勉強しているときに、頭を支えるため、首の後ろ側の筋肉に負担がかかり、肩コリや首コリになりがちです。

 

こうした問題が、後頸部温罨法によって一気に解決するため、受験生の不眠には、特に効果があるわけです。

 

 

  入試の前夜に受験生を救う!

 

私のクリニックでは、受験生のお母様にお願いして、入試の前の夜にこの方法を実践してもらっています。

 

お子さんの受験生にしてあげたら、「ビックリするほど気持ちいい!」という答えが返ってくるそうです。

 

気持ちいいというのは、医学的には、自律神経への効果が大きいということとほとんど同じで、実際に試験の前の夜もよく眠れたという方が多数派です。

 

もちろん、それまでの磁気刺激治療によって脳の状態が改善していて、夜は熟睡してしっかり休む、日中は脳がバリバリ活動してよく頭が働くというリズムを既に確立していることもありますが、この方法も役に立っていると思います。

 

といっても、入試の前の夜にいきなりやろうとすると、お母様も受験生もとまどってしまうので、今から試しておいて、後頸部温罨法に慣れておきましょう。

 

  後頸部温罨法の効果を最大化する条件とは?

 

では、タオルを温める温度は、何度がいいのか?

 

それから、温める時間は、どれくらいの長さがいいのか?

 

これについても、答えは同じことです!

 

どれくらい副交感神経優位になっているのかは、心地よさに反映されているのです。

 

だから、心地良いと感じる温度、心地よいと感じで時間の長さが、寝つきを良くするためにも最もよいといえるわけです。

 

 

 

ただし、とっても大事な注意点が一つあります。

 

もちろん、温めるタイミングは寝る直前がベストなのですが、注意していただきたいのが、その1時間前までには、むしろ温めない方が効果は大きくなるということです。

 

なぜかと言うと、自律神経系が温めることに慣れてしまうので、最も大事な寝る直前の時間への効果が低くなるわけです。

 

 

  その他にもできることは?

 

 

ぜひこの方法を実践していただきたいのですが、他には、

 

・午後7時を過ぎたら、できるだけ部屋は暗くして、睡眠ホルモンのメラトニンが出やすくする。

 

・もちろん、スマホは見ない。

 

・寝る前にストレッチをして、筋肉をゆるめ、それに連動して精神活動もゆるめる。

 

・入試の後に何をして遊ぶかを考える。入試のことは考えない。

 

 

受験生の睡眠については、以下の解説も、ぜひ、ご一読ください。

 

こちらは、本郷赤門前クリニックの「受験ストレス不眠(Exam stress Insomnia)」のページの一部ですが、受験生にはとても役立つ情報だと思います。

 

 


受験生にとって危険な不眠の対処法


☓ 眠れないときには無理に寝ようとはせず、眠くなってから床につく!

☓ 睡眠はこうあるべきだという考えは捨てる!

☓ 眠れなくても、緊張したら眠れなくなるものだと受け入れる!

⇒ 不合格になる危険な常識!

 

これらは、一般論としては正しいです。

しかし、受験生の方に限れば、こうした方法を鵜呑みにするのはとても危険です。

なぜなら、不眠は治るかもしれませんが、それによって大切な受験で失敗してしまうからです。

 

不眠対策の常識が、志望校への不合格を導くという落とし穴をもつことを、ぜひ、認識しておいてください。

 

 

必要な睡眠時間には個人差があり、特に年齢によって大きく変動します。

ですから、決まった時刻に眠り、睡眠時間をしっかり確保しなければならないと決めつける必要はない・・・というアドバイスです。

よく言われているので、あなたも何度か耳にしたはずです。

 

しかし、受験生に限れば、このアドバイスはとっても危険なのです。

 

なぜなら、日中に勉強したことは、眠っている間に長期記憶に変換されるためです。

睡眠時間を十分に確保しなければ、苦労して勉強したことが無駄になってしまいます。

 

また、脳は、1日24時間のサーカディアンリズムによって機能しています。

このリズムを壊してしまうと、問題を解くための能力が大幅に低下してしまします。

 

さらに受験生に知っていただきたいのは、そもそも、このアドバイスは、高齢者に向けたものだということです。

年をとると、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が低下するため、そもそも生理的に睡眠の量が低下するのは当然のことです。

さらに、老後に悠々自適の年金生活を送っている場合、記憶力が低下してもそれほど困ることはありません。

だから、高齢者に向けたアドバイスとしては適切なのですが、受験生は事情が異なります。 

続きを読む ⇒ 

本郷赤門前クリニック 受験ストレス不眠