受験生の夜更かしを親が治せるメンタル医学!【受験の心療内科】 | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし

受験生の夜更かしを親が治せるメンタル医学!【受験の心療内科】

⇒「睡眠相後退症候群(不登校)Delayed Sleep Phase Syndrome」はこちらから!

 

 

 

 

受験の心療内科

 

受験生の夜更かし親が治す脳医学の方法

 

 

 

 

受験生が夜更かしをして勉強することは、長期的に見ると成績を下げる危険な要因です。

 

脳がサーカディアンリズム(1日のリズム)の乱れを起こし、集中力・記憶力・思考力の低下を招くからです。

 

それどころか、「受験うつ」の発症リスクも高めてしまいます。

 

 

また、もともとは、夜更かしをして勉強しようと思っていても、夜は自己コントロール力が低下するため、結局はスマホやゲームをしてしまうことになるのも多いのが現実です。

 

やはり、親は二重三重に受験生の夜更かしをやめさせる必要があるわけです。

 

 

受験生の夜更かしをやめさせ、脳にとって健康なサーカディアンリズムを回復させるには、若い世代に特有に見られる性ホルモンの脳への影響について、正しく理解しておくことが不可欠です。

 

それを踏まえた上で、親御様が家庭環境をほんの少し変えるだけで、受験生の夜更かしを治す効果が生じます。

 

 

具体的には、家庭環境のどこをどのように変えればいいのか?

 

そのときの注意点は何か?

 

受験生の脳と心を専門に診療している心療内科医としての経験と専門知識を元に、わかりやすく解説します。

 

 

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夜更かし勉強で入試に落ちる理由!

 

受験生も親も、夜更かしをして勉強量を増やせば、入試に受かるのにプラスになると思い込んでいる人が多いようです。

 

しかし私は、受験生を専門に診療している心療内科医として、それは間違いだと断言します。

 

 

学習カウンセリング協会で夜更かしが合格率に及ぼす影響について分析が行われています。

 

その結果、夜更かしによって、たとえ勉強量が増えたとしても、それ以上に合格率を下げる悪影響がはるかに上回るというデータが出ています。

 

 

理由は、夜更かしして勉強することで、脳の機能が低下し、①集中力、②記憶力、③思考力のそれぞれが低下してしまうからです。

 

つまり、簡単にいうと、勉強量を増やしても、頭が悪くなる副作用のほうが大きいので、入試には落ちてしまうということです。

 

 

少なくとも親は、「我が子が遅くまで勉強してくれて良かった!良かった!・・・」と喜んでいてはいけません。

 

 

実態は夜更かしでスマホとゲーム!

 

百歩譲って夜更かしして勉強したとしても、入試にはマイナスに作用するわけですが、実態はもっと深刻です。

 

夜中に勉強していると親が信じ込んでいるだけで、実態は、延々とスマホとゲームをやり続けている受験生がかなりいます。

 

 

さらに、もっと怖いのは、本当は夜更かししてできた時間の大半をスマホとゲームに費やしているのに、受験生本人は、夜更かしすることで、けっこう勉強ができているという幻想を抱いている場合も意外に多いということです。

 

心療内科クリニックでカウンセリングを行うと、「夜更かしして勉強していますが、休憩中に少しスマホやゲームをしていて、たまにその時間が長くなることもある程度です」と答える受験生が大半です。

 

でも、最大72時間にわたって心電図を取り続ける特殊な計測システムを使って実際に勉強した時間を集計すると、実態としてはスマホやゲームが中心で、その合間に、少し勉強をしている程度であることが多いのです。

 

 

ただし、受験生がウソをついているわけではありません。

 

夜更かしをしていると、脳内で欲望を求める中枢の作用が高まり、都合よく記憶が改ざんされて脳に定着するという性質があります。

 

そのため、本人としてはしっかり勉強ができているという幻想を抱きやすいのです。

 

 

夜更かしをする原因は性ホルモンの増加!

 

大学受験や高校受験に臨む受験生の年代の脳は、放っておくと夜更かしをしてしまう性質を持っていることが睡眠医学の研究で解明されています。

 

理由は、思春期になり性ホルモンが一気に増加すると、それが脳に作用して不安定となり、一時的に夜更かしをしやすくなるということです。

 

もともと原始社会では、思春期になると親から独立し、夜になると異性とこっそり性交渉を行うなど、子孫を残すためにはこの年代で夜更かしをすることに、人類の種としてのメリットがありました。

 

そのため、こうした性質が発達したのだと考えられています。

 

 

夜更かしをすると、当然、翌朝は朝寝坊をしてしまいます。

 

そのため、中学校や高校では、こうした思春期の脳にあわせて学校の始業時間を遅くする社会運動が、世界各地で起きています。

 

実際、この社会運動を受けて、米国のカリフォルニア州では、始業時間を遅くする法案が可決されました。

 

 

夜更かしを放置すると不登校&昼夜逆転!

 

夜更かししやすい思春期の脳を放置しておくと、やがて、朝、起きられなくなったり、起きられたとしても脳内の意欲の中枢が機能せず、ヤル気が低下して、学校に通学できなくなります。

 

今、全国で増加している不登校の大きな要因になっています。

 

さらに、夏休みには昼夜逆転し、脳が健康なサーカディアンリズムを維持できなくなって、そのまま「受験うつ」を発症してしまうことも少なくありません。

 

夜更かしを放置するのは、とっても危険なことなのです。

 

 

夜8時になったら照明を落とすこと!

 

受験生を持つ親御様に、真っ先にやっていただきたいのは、夜8時を過ぎたら、照明器具の照度を落としていただくということです。

 

もちろん、真っ暗にしたら生活できませんので、生活に支障がない範囲で、できるだけ照度を落としてください。

 

ちょっと薄暗いと感じる程度が現実的でしょう。

 

 

先進国の中で、日本は夜遅くまで室内を明るく照らす習慣のある国として知られています。

 

これが、日本で特に多発している睡眠障害の要因であることが、睡眠医学の研究で解明されているのです。

 

ぐっすり眠るためには、寝る3時間前から暗い環境にしておき、それによって睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を開始させる必要があります。

 

そうすると、3時間後にメラトニンの効果が必要な水準を超えるため、ぐっすり眠れるわけです。

 

勉強するときは、手元の教科書やノートだけをスポットライト型の照明器具で照らし、天井の照明器具の照度はできるだけ低くしておくのが効果的です。

 

 

夕食はゆっくりよく噛んで食べさせること!

 

夜更かしを防ぐためには、夕食のとり方にも注意が必要です。

 

夕食を急いで慌ただしく食べると、夜、遅くなっても、脳の温度が下がりにくくなります。

 

その結果、睡眠ホルモンのメラトニンが増加しにくくなり、夜更かしを助長する要因となります。

 

夕食は、ゆっくり、よく噛んで食べるようにさせましょう。

 

 

夕食時には受験の話は禁止!

 

夕食をとっているときに、親は、「もっと勉強しないとダメだ!」、「模擬テストの偏差値を上げなさい!」などと、ついつい受験に関する説教話をしたくなるものです。

 

でも、ここは、グッと我慢しましょう。

 

 

夕食のときに受験の話を持ち出されると、脳の扁桃体で不満や不安といったネガティブな感情が生み出され、それによって夜更かしを助長してしまいます。

 

子どもの受験勉強に対して意見を言ったり指導をしたりするのは、夕食よりも、もっと早い時間帯が望ましいです。

 

早い時間帯のほうが、受験生の脳の中で理性を生み出す前頭前野の機能が高まっているため、親の意見や指導を受け入れやすい状態になっています。

 

 

夜10時以降は電子機器を使えなくする対策!

 

受験生の夜更かしを確実に防ぐためには、ご家庭で、夜10時以降はスマホやタブレットなど電子機器を使えないようにするのが最善の対策です。

 

スマホやゲームは、脳のA10神経を直接刺激し、快感ホルモンのドーパミンを分泌させます。

 

その影響で、どんなに理性的な受験生であっても、夜になると誘惑に負けてしまいます。

 

電子機器は、夜10時になったら親が回収し、預かってあげるのがおすすめです。

 

 

スマホに使用時間の制限をするペアレントコントロールをしているから大丈夫だ…と思っている親御様が多いのですが、最近の受験生はいろいろ裏技を知っていて、夜だけこっそりペアレントコントロールを解除して使用しているというのも、カウンセリングをしていて受験生からよく耳にすることです。

 

ペアレントコントロールに過剰に頼りすぎるのも考えものでしょう。

 

また、中古のスマホを友達から借りるなどして入手し、夜、自宅のWi-Fiで通信しているという受験生もいました。

 

夜10時を過ぎたら、Wi-Fi自体のスイッチをオフにしておくこともおすすめします。

 

 

子どもの脳を蝕む「睡眠相後退症候群」

 

ただ、単なる心理的な要因だけではなくて、睡眠相後退症候群のような脳の機能の異常による夜更かしになっている場合は、こうした対策だけでは不十分です。

 

実際、こうした状態に陥っているのに見過ごされ、こんなの、怠惰なために夜更かしをしているだけだ…などと誤解されて、それで人生を棒に振ってしまう子どもたちも多いんです。

 

 

私のクリニックでは、不登校を治す診療プログラムも設けていますが、検査を行うと、睡眠相後退症候群が見つかることが、少なくありません。

 

特に、二次性の睡眠相後退症候群は、発症例が多いのに、あまり知られておらず、対策が遅れがちです。

 

 

そこで、今日、私のクリニックのホームページの中に、「睡眠相後退症候群(不登校)Delayed Sleep Phase Syndrome」のページを開設しました。

 

お心当たりのある方は、必ず、以下のホームページの解説をご参照ください!

 

 

 



極端に遅い時間にしか眠れない・・・。

起床時間は昼頃にずれてしまう・・・。

もちろん、学校には登校できない・・・。

そんな場合、「睡眠相後退症候群」の危険性があります。

これを治さない限り、精神論では登校も受験もできません。


 このページの要点は? 

 

 

 ✓  睡眠相後退症候群(Delayed Sleep Phase Syndrome)とは、睡眠を取る時間帯(睡眠相)が1日24時間の中で後ろにずれていく病気です。

 

 ✓  多くの親が単なるサボりや子供のわがままだと勘違いしがちですが、睡眠相後退症候群は脳の不調が招く病気で、叱りつけることで治るということはありません。


 ✓  睡眠相後退症候群に陥ると、学校への登校や大切な試験を受験することができなくなり、早期に治療しないと子供の将来に深刻な禍根を残すことになります。

 

 ✓  睡眠相後退症候群には1次性と2次性の2つのタイプの病気があり、それぞれ治療法が異なるため、適切な検査を行って正しく見極める必要があります。

 

 ✓  早期回復のための治療法や専門のプログラムについても、ご紹介します。

 

   

 東京大学本郷キャンパス赤門正面

本郷赤門前クリニック

 

 

「睡眠相後退症候群(不登校)Delayed Sleep Phase Syndrome」