アクビで集中力を高める勉強の裏技テクニック【受験の心療内科】 | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし

アクビで集中力を高める勉強の裏技テクニック【受験の心療内科】

集中力が高まる意外な勉強脳法則

 

受験の心療内科

 

勉強の集中力が高まるアクビの意外な脳法則

 

 

 

今日のテーマは、世間では悪い癖だとされている生理現象を逆手に取って、勉強の集中力を高めるという、脳医学の研究を応用した勉強法の裏技のご紹介です。

 

 

勉強をしていて、特に英語や国語の長い文章を延々と読んでいるときなどは、思わずアクビが出てしまうということがありますよね。

 

勉強の集中力を高めるために利用できる悪い癖とは、このアクビのことなんです。

 

 

アクビをすることで集中力が高まるなんて、突拍子もないことだ…と思われたかもしれません。

 

でも、このことを裏付ける研究論文が発表され、専門家の間では注目されているんです。

 

アクビをするときに、ちょっとしたひと工夫をするだけで、この効果が倍増するため、勉強の集中力アップにとても役立つのです。

 

 

とはいえ、人前でアクビをするのは、周囲の人にとっても失礼ですよね。

 

だから、一人で勉強するときは、アクビの集中力を高める効果をめいっぱい利用する…。

 

その一方で、周囲に人がいる場合は、これまた脳医学の研究結果を上手に利用し、アクビが出なくする…。

 

脳の性質を利用すれば、どちらも可能になるのです。

 

 

具体的には、勉強しているときに、どういうことをすれば、アクビの効果で集中力を高められるのか?

 

人前では、どうすればアクビが出なくなるのか?

 

この両面について、受験生を専門に診療している心療内科医としての経験と知識をもとに、わかりやすく解説します。

 

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ストレスが増える受験期に、突然うつ症状を発症する人が急増している。うつで人生を狂わさないために、受験生本人や家族ができることは何か。受験生専門外来のがストレス管理や効率の良い勉強法を解説する。

 

アクビの常識が脳医学で否定された!

 

アクビが持つ力を利用して勉強の集中力を高めるためには、そもそも、なぜ、人間がアクビをするのか、その理由を知っておく必要があります。

 

人間がアクビをするのは、ちゃんと理由があることなのです。

 

人間が生きていく上で、アクビが必要なことだから、アクビをする習性が脳内で発達したわけで、その効果を倍増させれば、勉強の集中力も高められるのです。

 

 

 

「アクビの目的なんて、知っているよ!たくさん空気を吸って、脳に酸素を送るんでしょ!」と思ったあなた・・・。

 

残念!

 

確かに、以前はそうだと信じられていたんですが、これは脳科学の研究で、間違いだと証明されたんです。

 

 

アクビをしても脳の酸素量は増えない!

 

アクビをすると、肺に酸素がたくさん送られるのは確かです。

 

でも、その分、血液中の二酸化炭素が減るため、脳の血管は細くなる性質を持っています。

 

だから、脳に送られる血液の量は減少するので、トータルで言うと、脳に届く酸素の量は、ほとんど変わらないわけです。

 

 

また、脳は全身の酸素の必要量を無意識下で算出し、それに合わせて、常に呼吸の回数を厳密に調節しています。

 

運動したら、誰だって呼吸の回数が増えるのは、このためです。

 

 

もし、脳への酸素の供給量を増やすのが目的なら、アクビによって、たった1回こっきり、吸い込む酸素の量を増やすよりも、運動したときのように、呼吸の回数を増やすほうが、増える酸素量は桁違いに大きく、こちらのほうがはるかに合理的なのです。

 

このように、アクビは脳への酸素供給量を増やすためだという従来の常識は、医学的に考えれば矛盾に満ちあふれているわけです。

 

 

アクビの目的は加熱された脳の冷却!

 

では、どうして人間はアクビをするか?

 

実は、脳を冷やすのが目的だということが実験によって証明されたのです。

 

 

アクビをすると、喉の奥に、体温よりも温度が低い、吸いたての空気がぶち当たります。

 

実は、喉の奥のすぐ上は脳なのです。

 

だから、アクビで脳が冷えて、それによって脳の働きが改善してくれるのです。

 
 

喉の奥は生命活動を担う「脳幹部」

 

以前、団子の串が喉の奥に刺さって死亡する事故がありました。

 

そのとき、私が出演しているラジオの医学解説コーナーで、「たかだか団子の串くらいで、どうして命を落とすのか、不思議に思う」というご質問をいただきました。

 

その答えは、刺さった場所が脳だったから死に至ったということです。

 

しかも、脳の中でも、生命活動の根幹を担う「脳幹部」が、喉のすぐ奥に位置しているのです。

 

悲しい事故を繰り返さないように、くれぐれも喉の奥は注意していただきたいです。

 

 

ただ、こうした脳の位置関係を、うまく利用したのがアクビなのです。

 

アクビをするときは、大きな口を開けますね。

 

これは、冷たい空気が口の中で温められるのを回避し、冷たいまま、一気に喉の奥にぶち当てるためだったわけです。

 

それによって、脳幹部を冷却することができるので、脳全体が働きやすい環境になり、集中力も高まるわけです。

 

 

集中力を高めるアクビの効果を倍増する方法とは?

 

では、どうすれば、アクビが脳の働きを良くする効果を、さらに倍増させられるのか?

 

答えは、アクビが出そうになったら、意識的により大きく口を開けること。

 

喉の奥を冷やす効果が、より高まります。

 

 

多くの方は、アクビが出そうになると、アクビをこらえようとします。

 

そのとき、衝動的に大きく開こうとしている口を、無理やり閉じようとしていますよね。

 

これでは、口の中で空気があたたまるので、アクビの効果は台無しです。

 

 

人前でアクビをするのは、脳科学的にはどうなのか?

 

もちろん、人前でアクビをするのは、

 

「今、私の脳は集中力が低下している。その原因は、あなたの話がつまらないためだ・・・」

と言っているのと同じです。

 

脳科学的にも、やっぱり人前でアクビをすることが失礼なのは変わりません。

 

 

だから、人前でアクビが出ないようにしなければならないので、そのための脳科学的な方法は後ほど、ご紹介します。

 

ただ、一人で勉強しているときは、思いっきり大きな口を開けて、アクビをしましょう。

 

 

アクビの効果で英語や国語の読解力を高めるには?

 

また、英語でも国語でも、長文を読んでいて、頭に入ってこなければ、たとえアクビが出なくても、アクビと同じことを意識的に行えば、脳の働きが改善して読解力も高まるわけです。

 

名付けて、「嘘アクビ」

 

長い文章を読んでいて、なんだか集中力が低下してきたなと感じたら、ぜひ、実践してください。

 

 

室温も脳の集中力に影響!

 

また、脳が温まりすぎているわけですから、室温も脳にとっては温度が上がりすぎている場合が多いです。

 

脳は情報処理をするときに熱を大量に生み出す臓器なので、全身にとって快適な温度であっても、脳にとっては高すぎる温度になっている場合があるのです。

 

特に、脳を重点的に使う受験生は、こういうケースが特に多いわけです。

 

アクビが出そうになったら、エアコンの温度設定を下げる必要があります。

 

 

アクビが出なくなる脳科学的な方法とは?

 

さきほど、少し触れましたが、学校の授業中など、人前でアクビをしてはいけません。

 

そのような場合に、アクビを防ぐ呼吸法があります。

 

それは、口をほんの少し開けた状態で、口の中を「お」を発音する形にしておくのです。

 

「お」を発音するときは、舌の奥の部分が下がり、喉の奥への空気の通り道が広がります。

 

アクビほどではないですが、空気が温まりにくい状態で喉の奥に達するので、こうした口の中の形で呼吸を繰り返していると、アクビが出にくくなります。

 

 

アクビが脳のワーキングメモリー低下のSOSサイン!

 

ただし、最後に、アクビについて、受験を専門に扱う心療内科医として注意があります。

 

たまに、アクビが出るというのは、良くないことですが、異常ではありません。

 

しかし、受験生の中には、国語や英語の長文を読むたびに、アクビが出るという人がいます。

 

 

この場合、脳が文章全体の意味を把握しにくい状態に陥っていて、それに対する脳のSOSサインとしてアクビが出ている可能性があります。

 

脳の中で思考力の基礎となるワーキングメモリーと呼ばれる機能が低下していると、そのような状態になるのです。

 

そうなってしまう根本的な原因は、受験うつに陥っている場合が多いのです。

 

実際、長文を読み取るのが苦手になったと感じ場合、検査をすると、大なり小なり、「受験うつ」の兆候が見つかります。

 

 

心当たりのある方は、以下の「読解力を低下させる受験うつ」の解説記事をぜひ、ご一読ください。

 

 

 



 

 

 このページの要点は? 

 英語や国語など、文章の読み取りが困難になった場合、「受験うつ」などの脳機能の低下が起きている危険があります。(Reading Comprehension Skills)

 

   脳科学で「心の黒板」と呼ばれているワーキングメモリー(Working memory)の機能が脳内で悪化すると、文章を読み取って理解する能力が低下します。

 

   うつ症状により、脳内の扁桃体(Amygdala)が過剰に刺激を受けると、その悪影響でワーキングメモリーの機能が低下します。

 

  チェックポイントは、「スラスラと読めない」、「同じ部分を何度も読み返す」、「読むスピードが低下する」、「読み終えても内容が頭に残っていない」という症状です。

 

   決して学力そのものが低下したわけではないので、ワーキングメモリーを回復させることで、再びスラスラと読み取れるようになります。

 

  

東京大学本郷キャンパス赤門正面 本郷赤門前クリニック

 
 
 

文章の読み取りが下手になる原因は受験うつ!

 


それまでスラスラ読めていた英語の文章が、急に読み取れなくなってしてしまう・・・。

 

もし、そんな症状が起きたら、受験うつを中心とした脳機能の障害が原因になっている可能性が高いので注意してください。

 

 

もちろん、英語だけでなく、現代文や古文漢文など、文章の読み取りが苦手になるというのは、国語で起こる場合もあります。

 

中には、問題文の文章量が多い化学や生物といった理系科目で生じることもあります。

 

 

私達は普段、意識することはありませんが、長い文章を読み取るとき、ワーキングメモリー(Working memory)など、脳の高度な機能を活用しています。

 

続きを読む ⇒ 本郷赤門前クリニックホームページ

 

「読解力を低下させる受験うつ」