リモート授業で増加!「オンライン脳疲労症候群」の予防法
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オンライン授業は、ご自宅でクオリティーの高い講義を受けることができるメリットの一方で、「オンライン脳疲労症候群(Online Fatigue)」に陥って鬱症状に苦しむ生徒が増加しています。
無気力になって、勉強のヤル気がわかない・・・。
些細なことでイライラしてしまって、勉強に集中できない・・・。
夜遅くなっても、なかなか寝付けない・・・。
逆に、朝は目が覚めない・・・。
これらは、「オンライン脳疲労症候群(Online Fatigue)」でみられる典型的な症状です。
どうして「オンライン脳疲労症候群」になってしまうのか?
どうすれば「オンライン脳疲労症候群」を予防できるのか?
受験生を専門に診療している心療内科医としての経験と専門知識をもとにわかりやすく解説します。
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オンライン授業の流れは止まらない!
パソコンやスマホの画面を使ってリモートで学習するオンライン授業のスタイルは、コロナ禍によって一気に導入が進みました。
もちろん、素晴らしい授業を多くの受験生が共有できるという、大きなメリットもあります。
だから、全体としては、オンライン教育を強化することについて、私も賛成です。
実際、オンライン授業自体はすっかり社会に定着し、コロナ禍が終息した後も、なくなることはないと予測されています。
ただし、大きなメリットがある一方で、オンライン授業による脳への悪影響も深刻なレベルになっているのです。
なかでも、受験生に特に増加しているのは、「オンライン脳疲労症候群(Online Fatigue)」です。
これがどのようなものか、よく知った上で、それを上手に予防しながら、オンライン授業のよいところだけを取り入れていただきたいです。
オンライン授業を通して勉強するのは、本来、脳が想定している対面でのコミュニケーションとは、脳の働き方が根本的に異なります。
そのため、うまく対処を工夫して授業を受けないとないと、脳に大きなストレスと疲労をもたらすという、オンライン授業ならではの悪影響も生じるわけです。
それが凝縮したものが、「オンライン脳疲労症候群」なのです。
注意していただきたいオンライン脳疲労症候群(Online Fatigue)の症状は、
・勉強のことを考えると、暗く沈んだ気分になる・・・。
・なんだか頭が重く、全身でズッシリとした疲れを感じる・・・。
・勉強しないといけないと頭ではわかっているが、ヤル気がまったくわいてこない・・・。
・些細なことでイライラしてしまって、目の前の勉強に集中できない・・・。
・夜、寝ようとしても、なかなか寝付けない・・・。
・逆に朝は目が覚めず、学校に遅刻してしまうこともある・・・。
以上が、受験生が陥るオンライン脳疲労症候群の典型的な症状です。
受験生の方や親御様は、思い当たる症状が出ていないか、チェックしてみてください。
原因は「非言語コミュニケーション」のアンバランス!
原因は数多くの要因が見つかっており、それらが複雑に絡み合うことで、オンライン脳疲労症候群に陥ってしまいます。
ただし、その中でも特に大きな要因は、脳内で言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションの情報処理がアンバランスな状態になることです。
私たちは言葉で情報を伝え合う時に、言葉の中身による言語コミュニケーションだけではなく、無意識のうちに表情や仕草なども使って感情を伝え合っています。
このような言語以外のコミュニケーション手段を「非言語コミュニケーション」と言います。
ところが、オンラインでは表情などがハッキリとは認識できず、「非言語コミュニケーション」が脳内で上手く活用できないことが多いのです。
また、目の前には現実の人間がいないということを脳が認識すると、脳内では、「非言語コミュニケーション」の機能をわざと抑制するスイッチが入るのです。
これによって、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションのアンバランスが生じ、それによって脳内で不安感や不満が高まるということが起こるのです。
何の対策も取らずにオンライン授業を受け続けていると、脳内でこうした不自然な情報処理が長時間続くため、結果としてオンライン脳疲労症候群の症状が出てしまうというわけです。
実際、大人の社会では、会社のリモート会議で、普段は温厚な性格の人が、相手が目の前にいる対面の会議では相手を気遣うのに、リモートの会議だと、平気で辛辣な意見を言うようになる傾向があるということが、メンタル医学の研究で明らかにされています。
また、意見を聞いた側の人の脳についても、対面ではなくリモートだと、本当は辛辣な意見を言われたわけではないのに、辛辣な意見を言われたと感じ、被害者意識を持つ傾向があることも解明されています。
これらは、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションのアンバランスが脳にもたらすことで生じる現象です。
同じようなメンタル面への悪影響が、子供のオンライン授業でも起こるということです。
こうした弊害に加えて、真面目に授業を受け続けていても、記憶に残らなかったり、理解が進まなかったりしてしまう効果も見つかっており、学習の効率にも悪影響が出てしまうわけです。
このように、オンライン授業には、気をつけなければいけない弊害が多々あります。
その一方で、クオリティーの高い授業をご自宅で受けられるメリットは、とても大きいものです。
オンライン授業を毛嫌いするのではなく、弊害を防いで長所を活かす賢い使い方がベストの選択でしょう。
では、オンライン授業は、どういう事に気を配って受講したら、脳疲労症候群を予防でき、さらに学習の効率も上げられるのでしょうか?