学力は高いのに入試で失敗する性格とは?【受験専門の心療内科】
それは、学力は高いのにもかかわらず、入試では失敗してしまうという危険性をはらんだ性格ではないかということです。
メンタル医学の研究で、そのような心配な性格が存在していることが明らかになってきたのです。
いったい、入試にとって、どんな性格が危ないのか?
もし、ご自分やお子様がその性格に該当してしまっていた場合に、どうすれば弊害を回避し、志望校への合格を勝ち取ることができるのか?
受験生を専門に診療している心療内科医としての経験と専門知識をもとに、わかりやすく解説します。
調査で見つかった入試で失敗する危険がある性格とは?
学力は高いのにもかかわらず、入試で失敗する危険性がある性格とは、具体的には、どのようなものなのでしょうか?
学習カウンセリング協会では、学習塾の協力のもと、入試に受かりやすい性格と落ちやすい性格の調査研究を行いました。
その結果、学力は高いのに、入試に落ちる危険性をはらんだ性格が見つかったのです。
気になるその性格とは・・・・ズバリ、「執着心」です。
執着心が空回りした受験生は・・・
誤解しないでいただきたいのですが、勉強にとって執着心が悪いものだということではありません。
むしろ、受験について、学習段階から入試の当日までを全体的に見た場合、執着心は逆に、合格するためには望ましい心理的傾向だというデータが得られています。
執着心は、うまくコントロールできれば、かなり偏差値の高い大学に合格できるので、受験に向いた性格でもあるのです。
ただし、この性格は空回りしてしまうという大きな問題点を抱えています。
これによって、「受験強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder)」の症状が出て、「すごく成績は良いのに、入試はすべて落ちる・・・」ということになってしまうのです。
だからこそ、そうならないように、今、ご自分のメンタルや脳の状態を、チェックしていただき、問題点が見つかった場合は脳医学的に適切な対処をしていただきたいのです。
執着心が持つ受験のメリットとは?
まず、執着心が受験に及ぼす最大のメリットは、入試ではなく、普段の成績の段階では、学力を上げる強力な効果をもる性格だということです。
なぜかというと、勉強自体は脳に負担をかけることなので、執着心がないと、脳はすぐに勉強を投げ出そうとしてしまいます。
実際、学習塾の成績のデータと性格との相関関係を分析すると、成績上位の人は、執着心が高い傾向が現実に見て取れます。
あなたのクラスメートでも、きっと、成績が一位の人は、執着心が強いはずです。
執着心が招く強迫観念とは?
ところが、困ったことに、執着心が高いと、入試が近づき、精神的なストレスが高まると、「あれも勉強しなきゃ!」、「これも勉強しなきゃ!」・・・と強迫観念が過剰に生じやすくなります。
それに脳が囚われてしまうということが入試の直前期に特に起きやすいのです。
これが、病的な状態まで進むのが、「受験強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder)」です。
ただ、病的とまではいかなくても、こういうメンタル状態の傾向があるといった程度の段階であっても、入試には圧倒的に不利になります。
なぜなら、受験は時間との勝負だからです。
合格するには良い意味でテキトーに!
執着心が強すぎると、一つのことにこだわりすぎて、良い意味でテキトーに要領よく受験勉強を進める…ということができなくなります。
だから、全体としては学力が高くても、学力全体のバランスが悪くなりやすく、一部は入試には出ないレベルまで勉強をしている一方で、入試によく出る部分が所々抜け落ちていたりします。
その結果、学力が高いにもかかわらず、入試ではさほど点数が稼げません。
1問にこだわりすぎると命取りに!
また、もっと怖いのが、入試の本番で、目の前の1問にこだわりすぎてしまって時間が足りなくなり、それで大幅な点数ダウンになってしまうことです。
実際、毎年、入試が終わる3月になると、私の心療内科クリニックに、本番の入試でこうした状態に陥って落ちてしまった受験生が、多数、受診されます。
中には、学力そのものだと東大に受かってもおかしくないのに、早慶上智も片っ端から不合格・・・という例もありました。
このような場合、クリニックで詳しく検査すると、受験強迫性障害が見つかる場合が少なくありません。
早い段階で治療を開始されていれば、第一志望の学校に入学できたのに・・・と思うと、とても残念です。
「受験強迫性障害」とは?
これについては、私のクリニックのホームページの「受験の強迫性障害」のページで詳しく解説していますが、本日、大幅に加筆し、リニューアル公開しました。
以前、お読みいただいた方にも、再度、目を通していただきたいです。
冒頭の部分だけ、以下、掲載しておきますが、少しでも思い当たる方はホームページを見てください!
https://www.akamon-clinic.com/受験の強迫性障害/
受験の強迫性障害
Obsessive Compulsive Disorder
✓ 受験生に特有の「強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder)」が蔓延し、思わぬ不合格の原因になっています!
✓ 試験中、できない問題に執着しすぎて、時間が足りなくなった受験生は要注意です。この場合、脳内の眼窩前頭皮質(Orbitofrontal cortex)の活動が関与している可能性があります!
✓ 模擬テストの答案用紙をセルフチェックして、「強迫性障害」を見つけ出す方法を解説します!
✓ 英語の構文を細かく考えすぎて、長文全体の意味がつかみ取れなかった場合も、眼窩前頭皮質の活動が関与している可能性があります!
✓ 受験に特化した「暴露反応妨害法」など、脳機能医学を応用した治療で入試の得点が大幅にアップします!
受験生に蔓延する「強迫性障害」
「試験中に一つの問題に異常に執着しすぎて、時間が足りなくなってしまった・・・」
「英語の構文を細かく考えすぎて、長文全体の意味がサッパリつかみ取れなかった・・・」
「数学の計算が不安で何度も検算を繰り返し、次の問題に進めなくなった・・・」
あなたは、こんな経験がありませんか?
世間では、あまり知られていないようですが、「強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder)」という病気は、受験生の間でも決して少なくありません。
なぜなら、受験勉強に伴う精神的なストレスや、不合格になるかもしれないという恐怖心が、「強迫性障害」を増悪させる大きな要因となるからです。
試験中だけ強迫性障害に類似の脳機能に!
また、病気としての「強迫性障害」には至っていないものの、多くの受験生がストレスのため、一時的に「強迫性障害」に類似した脳機能の状態に陥ります。
「強迫性障害」に陥った脳を検査すると、前部帯状回(Anterior cingulate cortex)と、眼窩前頭皮質(Orbitofrontal cortex)などに特徴のある活動が認められます。
さらに、病気としての「強迫性障害」ではなくても、試験中に先ほど例示した失敗をしてしまう受験生の脳機能を検査すると、一時的ではありますが、脳の中で同様の反応が見られるのです。
試験になったら、本来の学力に見合った点数が取れない受験生は、程度の差はありますが、大なり小なり、脳がこうした状態に陥っている側面あるわけです。
https://www.akamon-clinic.com/受験の強迫性障害)/
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