「東大E判定症候群」は非定型うつ病か?
今、「東大E判定症候群」が増えています。
その根本的な原因は「非定型うつ病」である場合が多く、私のクリニックで警鐘を鳴らしています。
今日、解説のページを設けました。
以下、その一部をご紹介します。
「東大E判定症候群」は非定型うつ病
【このページの要点!】
①東大を受験し続けて14年という受験生を診察したら、本当の原因は非定型うつ病だった。
②模擬テストでE判定しか取れないのに、超一流大学しか眼中にないという「東大E判定症候群」が急増している。
③自分は努力しなくても成功する特別な人間なのだという空虚なプライドで、脳ががんじがらめになている。
④受験に特化した光トポグラフィー検査を行うと、「東大E判定症候群」の脳には一種独特の波形が現れる。
⑤地頭は良い場合が多く、適切な治療を行えば、成績は急上昇しやすい。
東大を受験し続けて14年・・・!
東大を受験し続けて14年・・・。
つまり、浪人生活14年目・・・。
私のクリニックには、そんな受験生がご来院されたことがあります。
もちろん、年齢はもう30代です。
この方は、極端な例ですが、模擬テストを受けたら、合格できる可能性が20%以下のE判定ばかり。
なのに、東大や京大など、難関大以外は眼中にないという受験生が、最近、特に増加しています。
問題なのは、その中に、かなりの割合で「非定型うつ病」を発病している人がいるということです。
私はこのようなケースを「東大E判定症候群」と名付け、警鐘を鳴らしています。
受験生の方、あるいはご家族で思い当たる人は、必ず、このページの記事を、最後までお読みください。
「東大E判定症候群」とは?
誤解してほしくないのですが、E判定の大学を目指すことが、良くないと言っているのではありません。
むしろ私のクリニックでは、高い目標であるE判定の大学を積極的に目指すよう指導しており、実際、毎年、多くの受験生を合格に導いています。
A判定の大学に合格するのは当たり前で、偏差値の高いE判定の大学に合格させることこそが、受験を専門とする心療内科医としての私のプライドです。
しかし、そのためには、専門の検査を受けて脳機能の問題点を探り、さらに、日々の勉強法を脳機能のタイプに合わせたやり方に変えていただくといった努力が必要です。
ところが、「東大E判定症候群」の方は、そんな努力は、一切、しようとしないのです。
実態のない空虚なプライドが空回り!
では、どうして努力はしないのに、東大や京大など一流大学しか受験しようとしないのでしょうか。
その答えは明確です。
カウンセリングを行うと、実態のない空虚なプライドが空回りしている心理が浮き彫りになります。
自分は、東大に受かって当然の人間だ・・・。
しかも、努力をしなくても成功する特権を持っている人間なんだ・・・。
このようなことをハッキリ口にする受験生は一人もいませんが、メンタル医学の観点から発言を分析すると、心の奥底で、こうした思い込みがうごめいているのです。
不安と不満が爆発し、暴言と暴力へ!
といっても、「東大E判定症候群」は、楽天的な、ただの脳天気な受験生というわけではありません。
このままでは合格で切っこないという現実は、きちんと理解できているのです。
合格して当然のはずなのに、現実には合格できない・・・。
このギャップに苦しみ、不満をつのらせ、不安もつのらせ、イライラし、親にあたるというのが、ほとんどのケースです。
実際、幼い頃は優しい性格だったのに、受験が近づくと荒れてきて、親に暴言を吐いたり、家庭で暴れたりするケースは、「東大E判定症候群」の可能性が少なくありません。
背後に潜む非定型うつ病
「東大E判定症候群」の受験生に対し、多くの親御様は、ワガママな性格に育てたせいだと考えていますが、私は、それは間違いだと断言します。
確かに、ワガママだという側面があるのは確かですが、それ以上に問題の根幹をなすのは、背後に「非定型うつ病」が隠れているということです。
受験生なら、自分の成績以上の大学に合格したいと思うのは、当然のことです。
また、努力しないで合格できるなら、そうなってほしいと思うのも、当然のことです。
ただ、脳の扁桃体や前頭前野が正常に機能していれば、そうした欲望に自然に歯止めがかかります。
ところが、「東大E判定症候群」の受験生は、こうした扁桃体や前頭前野の機能がうまく働いていないのです。
その根本的な原因が、非定型うつ病です。