睡眠薬で不合格になる受験生 | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし

睡眠薬で不合格になる受験生

毎週水曜日に出演させていただいている文化放送「SAKIDORIクリニック」

 

今日は、睡眠薬の種類と選び方、副作用などについて、解説させていただきました。

 

このブログでは、その中から、受験生の問題点に絞って、お伝えしたいと思います。

 

睡眠薬で不合格になる受験生は、すごく多いので、注意していただきたいんです。

 

 

 


睡眠薬の落とし穴!


【このページの要点!】

①睡眠薬は、大脳全体の活動を低下させるタイプと、自然な眠りを強めるタイプと2種類がある。

 

②大脳全体の活動を低下させる睡眠薬は、海馬の活動を抑制し、記憶力を低下させる。

 

自然な眠りを強めるメラトニン受容体作動薬は、翌日の受験勉強を妨げ、特に数学や英語の学習に悪影響を与える。

 

④睡眠薬は医学的には「姑息療法」と呼ばれ、受験生の脳の問題を根本的に解決することはできない。

 

⑤睡眠のトラブルを抱えた受験生は、脳の抱える問題点を可視化する検査を受けることが合格につながる。

 

 


Q:睡眠薬は何種類あるのですか?


いろんな睡眠薬がありますが、大きく分けると2種類なんですね。


1つ目は、脳の活動を低下させて、ボーっとしてくることで、眠くなるもの。


現在はこちらが主流で、このタイプを服用している人が圧倒的に多い。


具体的にはベンゾジアゼピン系と非ベンゾ系がありますね。

 

 

 


Q:もう1つのタイプは?


自然な眠気を強くする睡眠薬ですね。


こちらは、脳の中で睡眠に関する部分だけにピンポイントで効いてくれます。


ただ、まだ使用する人は少ないんですが、


具体的には、メラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬があるんです。


脳にとって、どっちの睡眠薬が、より問題があると思いますか?

どう考えても、脳の活動を抑えるタイプが問題だと思いますでしょ。

 

でも、こちらが主に使われているのが現状です。

 

 

 

 


Q:主流派の睡眠薬は、どこが問題なのですか?


脳の活動全体を低下させる睡眠薬は、体内でやっていることは、ただひとつ。


神経細胞の中にマイナスイオンを放り込むことだけなんですね。


神経細胞は電気的にプラスになると活性化するが、マイナスイオンだらけだと、活性化しない。


だから、眠くなるんですね。

 

でも、脳の他の機能も妨げてしまう。


実際、記憶力にも悪影響が出ます。

 

記憶を作り出す海馬の神経細胞も、マイナスイオンが送り込まれるから、記憶力が低下するのは、医学的には当たり前のことです。

 

受験生の場合は、これって、致命的ですよね。


あと、姿勢を保つこともできなくなって、ふらついて転ぶ場合もありますね。

 

 

 

 

 


Q:では、自然な眠りを強める睡眠薬はどうですか?


そういう問題点を解決するために、自然な眠りを起こす睡眠薬が開発されたわけです。


でも、何故、それほど使われていないのかというと、効果が弱い。


脳を一網打尽におとなしくさせるのは簡単でも、ピンポイントで効果を出すのは難しい。


それから、効果が出るまでに日数がかかり、しかも効果に個人差も大きい。

 

正直に言って、医者としては、処方するのに、ちょっとためらうことがありますね。

 

患者さんに、「ヤブ医者だ」と思われないかなと、心配しちゃう。

 

患者さんの方から、自然な眠りになる薬を試してみたいと言ってもらったら、いいと思いますね。

 

 

 


Q:じゃあ、受験生も、自然な眠りになる薬がいいんですか?


そうとも言えないんですよ。


たとえば、メラトニン受容体作動薬は、寝ている途中や早朝で目が覚める人には、
大きな副作用もないし、長期に服用できる優れた睡眠薬ですね。

 

だから、中高年の人は、もっと積極的に使ったらいいですね。

 

こういうタイプの睡眠障害の方は、依存性の高いベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使っている人が多いんですが、メラトニン受容体作動薬のほうがはるかにいいと思います。

 

でも、受験生のような若い世代では、このタイプの睡眠障害って、すごく少ないんですね。

 

しかも、メラトニン受容体作動薬を服用すると、翌日の勉強に悪影響が出てしまいます。

 

じっくり考えないと解けない数学の難問なんて、もう、サッパリ。

 

あと、英語や国語の長文も読めなくなってしまいます。

 

 

 


Q:では、受験生の睡眠トラブルは、どうしたらいいんですか?