第25回:熱中症の間違った対処にご用心! | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし

第25回:熱中症の間違った対処にご用心!

FM「Oh!Happy Morning」

先週、番組で話した内容をご紹介します!

第25回:熱中症の間違った対処にご用心!


本格的な夏が到来し、熱中症が急増している。

先週に引き続き、熱中症を取り上げたい。



先週、熱中症の予防に牛乳が効果を持つことをご紹介した。

運動をした後は普通の水をたっぷり補給し、その後に、牛乳かヨーグルトを30分以内に取ると、血液が増え、熱中症になりにくい体質に変わる。

今日は、熱中症で倒れた時の対処の仕方を解説。

実は、かなり誤解されて、間違った対処をしてしまう場合が多い。



熱中症で倒れたら、涼しいところに移動させ、水分を取らせる。

ただし、水を飲ませてはいけない場合がある。

それは、意識を失っている場合、あるいは、朦朧として自分から水を飲もうとしない場合。


無理に飲ませると、食道ではなくて気管の方に入って肺にいってしまう。

場合によっては、呼吸困難を起こして死亡してしまう場合もある。

水分は、あくまでも自分の意志で飲ませる。



飲む水分は、お茶はあまり望ましくない。

お茶に含まれているカフェインには利尿作用があるので、脱水症状が進んでしまう。

お茶しかなければ飲まないよりはマシだが、登山やスポーツ大会など熱中症を起こしやすいレジャーを楽しむ場合は、やはりスポーツドリンクを用意したい。



言うまでもないが、ビールはダメ。

運動して喉が渇いた後のビールは美味しいが、これは非常に危険。

脱水症状が悪化して、脳梗塞や心筋梗塞を起こす。


肝臓でアルコールを代謝するときに、大量の水分を使ってしまう。

さらに、アルコールにも利尿作用があるので、膀胱の中に水分が集められ、その分だけ、血液はドロドロになってしまう。


運動の後には、普通の水でいいので、たっぷり水分を補給し、ビールはその後に飲もう。



熱中症で倒れたら涼しいところに移動させて体温を下げるというのは常識。

でも、一気に体温を下げようとして、全身に氷水をかける人がいるが、これは絶対にやってはいけない。

実は、体の内部は、かえって熱くなる。


熱中症は、脳や心臓などの内臓の温度が上がるために起こる。

いきなり氷水をかけると、皮膚の近くの血液が循環しなくなり、脳や心臓の熱がこもってしまう。

また、筋肉が震えて、余計に発熱してしまう。

太い血管が皮膚のすぐ近くを通っている場所、首、脇の下、足の付根を、タオルで氷を巻いて冷やすのが良い。