脱法ハーブの医学解説! | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし

脱法ハーブの医学解説!

FM「OhHappy Morning

今朝、番組で話した内容をご紹介します! 

16回:脱法ハーブの医学解説!



・大阪市で、脱法ハーブを吸った22歳の男がレンタカーで一方通行の商店街を逆走して通行人に大怪我をおわせた。



脱法ハーブが大問題になっている。

脱法ハーブを吸うと脳はどうなってしまうのか、医学的に解説したい。



 



・脱法ハーブは、見た目はタバコのようなもの。

限りなく違法に近いけれど、現在の法律では直接取り締まれない成分を含まれている。

多くは、マリファナに含まれているカンナビノイドという成分に、ものすごくよく似ている。

このため、吸引すると、マリファナと同じように幻覚や妄想が現れる。



 



・なぜ、幻覚や妄想が現れるかというと・・・

人間の脳は、1千億個以上の神経細胞からできている。



神経細胞の中には、カンナビノイドを感じ取るアンテナ持つものがあり、これがカンナビノイドを感じ取ると、興奮を強めたり弱めたりする。

これによって、本来の脳の働きが歪められる。



 

・ただし、本来は、これは悪いことではない。

猛烈な痛みや、耐えられない精神的な苦痛にさらすと、脳のシステムが破綻する。

これを防ぐため、痛みを感じにくくしたり、現実をはっきり認識できなくする。



つまり、カンナビノイドを感じ取るアンテナは、脳を守るためにある必要不可欠なもの。



 



・ただし、本来、カンナビノイドは、脳自体が必要なときに必要な量だけ出す。



だから、脳にはダメージが加わらない。



ところが、脱法ハーブを吸ってしまうと、もともと脳が想定していた量より、はるかに大量に、しかも、脳のそこら中でカンナビノイドが作用してしまう。

このため、幻覚や妄想を生み出す。


・また、運転せずに自宅で吸引しているかだ大丈夫だという人もいるが、これもダメ。

脳の神経細胞はめちゃくちゃに刺激を受けるので、神経細胞が次々と死んでいく。

まだ20代なのに、100歳くらいのお年寄りの脳になってしまうこともある。


・現在の法律は、この成分はダメ、この成分もダメと、成分ごとに禁止しているので、成分をちょっとだけ変えれば、取り締まれなくなる。

そこで、似たような成分を一網打尽に禁止する法律に変えようと検討が行われている。


・ただし、現行の法律でも取り締まれる成分も、世間では出回っている。

あまりに成分が増え、一般の警察では扱いきれなくなってきた。

やっぱり、化学の専門家じゃないと無理!


警察には、科学捜査研究所があるが、警視庁は研究者の人数も多いが、地方の県警は、少ない人数で、分野をかけ持ちしている。

だから、禁止薬物に指定されたら、「東京はヤバイから、地方に運んで売りさばこう」といった、とんでもない業者もいる。


大麻や覚せい剤と同じように、麻薬取締官、いわゆる麻薬
Gメンがプロ中のプロ。

しかし、なんとこれまでは、脱法ハーブを取り締まる権限がなかった。

終戦後、GHQの指導で、アメリカの連邦麻薬捜査局を模してできた組織で、麻薬取締法と覚醒剤取締法に準拠している。

ところが、脱法ハーブは薬事法違反。


だから、取り締まれなかった。


なんとも愚かな縦割りだ。


政府は見直す方針だが、被害者が増えるまでに、さっさとやってくれ!