ぼくが いまよりも ずっと あかちゃんに ちかく、

おじいちゃんが いまより ずっと げんきだったころ、

ぼくと おじいちゃんは、

まいにちのように、 おさんぽを たのしんでいました。


僕が少し大きくなって、

困ったことや怖いことに出会うたび、

おじいちゃんはぼくの手を握り、

おまじないのようにつぶやくのでした。

「だいじょうぶ だいじょうぶ。」


子どもも大人も、
「だいじょうぶ だいじょうぶ」
と誰かに言ってもらいたい。
支えて欲しい、受け入れて欲しい、ほっとしたい、
と感じているのかもしれません。

わかりやすいストーリーと、ほのぼのとしたイラストで、
穏やかな暖かさに満ちている。
「だいじょうぶ だいじょうぶ」というおじいちゃんの
“おまじない”がぼくに教えてくれたのは、
「この よのなか、そんなに わるい ことばかりじゃ ないって ことでした。」




ぼくは、ずいぶん おおきく なりました。
おじいちゃんは、ずいぶん としを とりました。

だから こんどは ぼくの ばんです。

おじいちゃんのてをにぎり、
なんどでも なんどでも くりかえします。

「だいじょうぶ だいじょうぶ」
だいじょうぶだよ、おじいちゃん


『おさるのまいにち』『おさるはおさる』で路傍の石幼少年文学賞を受賞した、
いとうひろしによる絵本。