6/8(土)、しばらくぶりに森の夏鳥たちの声が聞きたくて、この冬シーズンに初めて行った東京西部の低山エリアへ出かけました。
電車からホームに降りた瞬間、ほのかに甘い、でも濃厚な夏山の匂いに包まれます。もうこの季節か・・・5月も後半くらいまでは、こういう匂いはしません。晩夏ともなると、またちょっと違う。子供の頃の夏休みの思い出や、中学校の部活の夏合宿で長野の竜王に行ったとき、山の中で早朝マラソンさせられ、勘弁してくれよ、と思っていたら、思いがけずアカショウビンの声を初めて耳にしたこと・・・匂いと共に懐かしい記憶がよみがえります。
里山を抜け、麓の登山道に入ってすぐ、驚きました。バラエティに富んださえずりがあちこちから降ってきます。植生が豊かな森なのでしょうか、冬同様、やはり春夏繁殖シーズンも鳥影が濃いです。
シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、メジロといった留鳥のさえずりに、キビタキ、サンコウチョウ、オオルリが混じります。そして、「チヨチヨビー」も。繁殖期にセンダイムシクイを都内の低山帯で聞くのは久しぶり。
突然、至近から「ホイ、ホイ、ホイ」の声!近くをヒラヒラ、それにしても素早いし、真っ暗な杉林、尾の長い綺麗なオスですが、撮影は苦戦。
きれいに撮りたいですが・・・近くで姿を見れただけで幸運というもの。
まだ登山道の入口から大して登っていないところで釘付けに。さらに声が一層にぎやか、カラ類の幼鳥が混じる集団がワラワラと現れ、小鳥が入り乱れている中、虫のような聞き覚えのある声が・・・遠くの杉の幹をアヤシイ小鳥がするする登っていきます。慌てて双眼鏡で確認、キバシリです。
双眼鏡からカメラに切り替えたところで、近くからセンダイムシクイ、そしてサンコウチョウのさえずりがたたみかけてきます。一瞬、サンコウチョウの声がした方に視線を移したのがマズかった・・・キバシリをあっという間に見失います。標高300mも無い地点ですが、東京西部の低山帯・杉の人工林でのキバシリの目撃例があり、当地でも少数が繁殖しているようです。
冬季にはまったく見かけなかったカメラマン数人とすれ違います。みなさん、サンコウチョウねらいのよう。なるほど、少なくとも3個体のさえずりを確認。営巣場所が登山道沿いに無かったのが救い・・・。
こちらは、別個体、最初♀かと思いきや、アイリングからすると、
若い♂個体のよう。
にぎやかな声、と思ったら近くにソウシチョウのつがい。
クワの実をくわえて飛び去ったので、雛に給餌するようです。
思っていた以上に数も種類も多く、たっぷり低山の鳥たちを楽しめたので、本日、6/15(土)も当地を再訪問。
朝靄の中、羽繕いに夢中なキセキレイ。
留鳥だけど、やはり夏の渓流が似合います。
しかし、本命はサンコウチョウではありません。先週、撮り逃したキバシリを、この都心から1時間足らずの低山で繁殖期に生息している事実を記録したく、姿を求め、耳を澄ませて登っていきます。
ほどなくして、特徴的な虫のような、少しばかりツグミ系の声がします。しかも確実に複数。少なくとも4~5羽が飛び交います。
それにしても、意外に飛ぶのも速い!すばしっこく木から木へ移動、そこかしこから声がするので、目移りしてしまい、的が絞れず。ふと見ると、見やすい位置に立ち枯れた木、キツツキの食痕が目立ちます。木陰に隠れて、しばらく待ちます。
スーッと磁石に吸い寄せられるように、素早く小さな小鳥が枯れ木に。予想通り、キバシリが1羽、やってきました。
この季節に、まさかここで会うとは思わなかったキバシリ。
エサとなる虫が多いのか、珍しくジッとして、何やら嘴でほじっています。
こうしてみると、体を支える尾羽の長さが目立ちます。
幼鳥を識別・確認できたわけではないですが、親子の可能性あり。お互い呼び合うように鳴き始めると急ににぎやかに、そこにカラ類やコゲラも混じり、さらにサンコウチョウやセンダイムシクイも近寄ってきます。
上まで登ってUターン、やはりこの麓が一番にぎやか。せせらぎで水浴びしている鳥が飛び立ち、羽繕いしているな、と何気なく双眼鏡のぞいたらキビタキ。
上まで登った登山道でお話した登山者が、昨年アカショウビンの声を近くの谷で聞いたと言います。湧水の多いエリア、実はひそかに、ブッポウソウと共に探している鳥です。かつては両種とも近隣エリア一帯で繁殖していた鳥、ここ数年、通過個体かもですが、目撃例もあるもよう。通えば、いつの日か出会えかるかも・・・?
まだそこまで暑くもなく、夏山の匂い、夏鳥のさえずりを堪能しました。気軽に通えるので、来月も、きっと汗だくになりそうですが、一度は訪れようと思います。
<6/8・15に確認した鳥(Sは声のみ)>
カルガモ、キジバト、アオバト(S)、コジュケイ、ホトトギス、カワウ、アオサギ、トビ、コゲラ、アオゲラ(S)、カワセミ、リュウキュウサンショウクイ、サンコウチョウ、ハシブトガラス、ヒガラ(S)、ヤマガラ、シジュウカラ、ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、センダイムシクイ、ヤブサメ、ウグイス、エナガ、メジロ、ソウシチョウ、ガビチョウ、キバシリ、クロツグミ、オオルリ、キビタキ、スズメ、キセキレイ、セグロセキレイ、イカル(S)、カワラヒワ(S)、ホオジロ 計37種