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ロシアがウクライナに侵略

2月24日にロシアがウクライナを武力侵略しました。力による一方的な現状変更は国際法違反であり、決して許されません。既に数千人の子供を含む民間人が亡くなり、両国の兵士の犠牲も増え続けています。傷つき逃げ惑うウクライナ国民を見て胸が張り裂けそうです。最も強い言葉でロシアの暴挙を非難します。

国際社会が連携して経済制裁という非武力の措置でロシアに圧力をかけています。また各国の国民が反戦の声を上げて世界世論をリードしています。米国がウクライナに武器を供与して確かにロシアの侵略を一定程度遅らせています。

しかし、経済制裁も圧倒的な効果があるかは疑問です。欧州諸国はロシアの天然ガスに依存しています。ロシア経済は皮肉にも欧米が提唱した脱炭素の影響による原油高で堅調です。また、中国という14億人市場がロシアの天然ガスや農産品を買い支え、中国からも必要な物資を輸出しています。反戦の国際世論も、ロシア国民世論も、覚悟を決めた暴君を止めるには至っていません。

そして、犠牲は日々累々と積み上がっています。3月4日にはウクライナ南部にある欧州最大級の原発がロシア軍により攻撃されました。軍事的視点から見ると、ロシアはむしろ核の脅しを使いながら着実に侵略を実行しています。圧倒的軍事力を前に、ウクライナが自力だけで持ち堪えるのは極めて困難です。

我々は、国連や民主主義国家が専制主義国家の暴挙を止められないこの忌々しい現実を決して忘れてはいけません。

我々は、専制主義国家の狂気を前に、力と決意の裏付けがない外交は国家国民を守ることができないということを忘れてはいけません。

ウクライナの教訓を台湾になぞらえると

ロシアは2021年春、既に9万人規模の軍隊をウクライナ国境に集結させていました。政治を度外視して、純粋に軍事の観点から見ると、米軍はその時点で「ロシアはやる」と確信していたそうです。

バイデン政権は当然この分析を知っていたが、なぜかウクライナが侵略されても軍事オプションを排除する、すなわち武力は行使しない、と公言しました。EUや英国もロシアを説得するものの、軍事オプションは示していません。

無論むやみに武力を示すべきではありません。しかし切迫した状況下、この「力」も「覚悟」も見えない消極的な姿勢がプーチン大統領の侵略の決断を後押ししたことは間違いないでしょう。

さて、ひるがえって台湾です。北京オリンピック開催中も、パラリンピック開会中の今日も、中国軍は台湾の領空に軍用機を飛ばし続けています。その頻度も、実戦さながらの装備・編成も、エスカレートし続けています。

2021年3月、米インド太平洋軍のデイヴィッドソン司令官は「台湾有事は6年以内」との見方を示し、その直後に後任として着任したアキリーノ司令官はデイヴィッドソン前司令官の見方よりも更に「差し迫っている」との考えを示しました。膨大なインテリジェンスに基づいて導かれた分析です。

因みに、仮に台湾有事が発生し、仮に日米欧が経済制裁を発動したとしても、有効性はロシアより低いと考えます。14億人の巨大な自国市場に加え、中国に正面から対峙できない東南アジア、中東、アフリカ諸国が中国との貿易を続けると考えるべきだからです。

更に書き添えますが、台湾有事の際には周辺の日本の南西諸島も巻き込まれ、航行の自由も影響を受け、「存立危機事態」になることは残念ながら既定シナリオです。

日本は中国、ロシア、北朝鮮という専制主義国家に隣接しています。そして中国は覇権拡大の明確な意志を言葉と行動で示しています。これら三国が呼応して同時に日本に牙を剥く可能性も決して否定できません。

今、まさに日本の「国家国民を守り抜く」という政治の覚悟が求められています。守り抜くためには「抑止力」の本質的な議論が不可欠です。そして国民のみなさまの「国防」に対する理解が必要です。

今こそ経済安全保障を抜本強化!

日米欧はロシアに強力な経済制裁を課しています。しかし、SWIFTからの排除で日本の企業はロシアとの取引が止まり、代金回収が滞ります。サハリンIIなどの天然ガスプロジェクトでは巨額投資の回収が困難になるかもしれません。ロシアの天然ガスは日本の総輸入量の10%を占めており、国内の発電事業にも影響を及ぼします。ロシアへの依存が大きければ大きいほど経済制裁の副作用は大きくなり、時にロシアはこれを逆手に取る可能性も否定できません。

中国に至っては尚更です。日本が尖閣諸島を国有化した時には日本のスーパーやデパートが焼き討ちにあい、またレアアースやレアメタルが禁輸となったことは記憶に新しいと思います。そもそも有事の際には12万人の日本人駐在員が人質に取られることを想定しなければなりません。

専制主義国家でビジネスをすること、何らかの形で依存すること、これすなわち有事の際には弱みを握られるということになります。無論全くビジネスをしなかったり関係を切ったりすることはできません。しかし、万が一の際にも日本が不要な妥協を迫られることがないよう、どのような状況でも独り立ちができる「戦略的自律性」と第三国から必要とされる「戦略的不可欠性」を確保しなければなりません。

今国会では日本のサプライチェーン強化や技術・情報漏洩対策も含む経済安全保障関連法案を提出します。昨年の重要土地等調査法案に続いて、遅ればせながら矢継ぎ早に対策を打っています。

私は日本の一国会議員として、この先行きが極めて不透明な時代において、いかにして国家国民を守り抜くという最も基本的な政治の使命を果たせるか、とことん考え抜き、働いて参ります。

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