祖父の町村金五が、北海道知事の時に建設した北海道百年記念塔(1968年着工、1970年竣工)は今年で50歳を迎えます。
新札幌に程近い野幌森林公園にそびえ立つ高さ100メートルの記念塔は石狩平野を見渡すランドマークになっています。
建設当時、費用の半分を道民からの厚志・寄付で賄った、当時としては斬新な予算捻出の手法も話題でした。
↑原始林にそびえる記念塔、新札幌ホテルエミシアより臨む
今、この百年記念塔が取り壊しの危機に瀕しています。
サビや部品の落下など老朽化が進んでいるのがその理由とのこと。
建て替えには少なくとも25億円、加えて毎年の維持費もかかります。し
かし取り壊すにも10億円前後の費用が掛かります。
歴史的建造物を老朽化したからということで取り壊して良いのだろうか?
街づくりをどのように考えているのだろうか?
街のアイデンティティーを守らなくてよいのだろうか?
パリのエッフェル塔は同じ鉄でできていますが完成から131年経った今もその輝きを保ち、世界から訪れる観光客の旅の目的地になっています。
記念塔は50年でサビに覆われて大きく損傷。
塔のエレベーターは竣工後10年経たないで使用不能になっていますが、保守に問題はなかったのでしょうか?
ヨーロッパの主要都市の街並みは計画的に守られているが故にその美しさを保ち、観光資源となりお金を生み出します。
景観保全の対象となる建造物、例えば建設されて100年、200年経つマンションの建て替えも、表面だけは壊さずに中身を近代化します。
余計なコストが掛かりますが、行政の厳しい管理があって初めて景観は保たれるのです。
これから新札幌駅周辺の再開発が進み、生まれ変わろうとしています。
そこには新たな施設が作られ、新たな人が集うことでしょう。
交流人口が増えて地域に新たな豊かさを引き込むチャンスです。
記念塔や北海道博物館、北海道開拓の村は立派な観光資源であり、再開発との相乗効果が大いに期待できます。
私は寧ろ現在閑古鳥が鳴くこれらの施設からどのようにお金を生み出すか考えるべきであり、それこそ地方創生だと思います。
苦境に立った企業がコスト削減ばかりしても、収益を上げる底力がなければ生き残れないのと同じ原理です。
新札幌再開発が完了した時、今のままでは記念塔はなくなっているでしょう。
北海道の歴史的建造物が一つ姿を消そうとしています。
このような道民の財産の「使い捨て」は残念でなりません。