少し前になりますが、8月27日~30日、自民党治安・テロ対策調査会のミッションでイギリスの内務省とロンドン警察のテロ対策局、ロンドン鉄道警察の監視カメラ担当局、フランスの内閣府テロ対策局を訪問、2019年のラグビーW杯と東京オリパラに向けた治安・テロ対策に関する意見交換を行いました。
イギリスもフランスも近年イスラム過激派などによるテロに苦しんでおり、特にフランスは過去4年間に246人もの犠牲者を出しています。
テロの形態もアルカイダやISILといった組織が爆弾や重火器などを使用する組織的・計画的なものから、不満を持つ個人が過激思想に感化されてナイフや自動車などを使用する予知困難なものへと変貌しています。
統治・監視とプライバシーの議論は英仏両国でも尽きませんが、多くの犠牲者を出した両国では「テロの撲滅」を優先しており、通信傍受を含む情報収集の権限や予算を拡大する法案が国会で可決されています。
イギリスでは警察が1100万台の警察監視カメラと5万台の民間監視カメラを駆使してテロの兆候を監視分析しています。一般犯罪の検挙にも効果をあげています。
イギリスもフランスも主要都市には重武装した特殊部隊が広範にわたって展開しており、ロンドン市内では5分以内、パリ市内では数分以内に現場急行できる体制が確立されています。テロの予測が困難故に「即応性」が共通のキーワードでした。
イギリスで印象に残ったことは、政府が関連省庁や治安機関と合同訓練をする際、シナリオを伏せてよりリアルな状況を作り、課題を浮き彫りにさせた上で、その課題解決に努めるという謙虚な姿勢を貫いていること。
フランスはテロ被害者に特化した心身の治療・リハビリセンターを設立し、テロ被害者に特別なステータスを与えて手厚くサポートしていることでした。
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ST.パンクラス駅では車両の突入を防ぐ車止めを設置。
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エッフェル塔も車止めと防弾ガラスで囲まれており、車の突入や観光客への銃撃に備えていました。
尊い犠牲と苦難の歴史を糧に治安・テロ対策をより強固にしてきた英仏両国との意見交換は大変参考になりました。
日本も歴史を振り返れば中核派や革マル派、オウム真理教などのテロにより多くの犠牲者が出ています。
この北海道でもテロの犠牲者が出ていますし、札幌市白石区にはオウム真理教の日本最大規模の施設があります。
日本が大きな犠牲を出す前にいかにテロを防ぐかが今後の最大の課題です。