茂登山 長市郎 | YOSHI DESIGN

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       NHK BSプレミア、シリーズ東京「街はこうして輝いた」2012

          茂登山長市郎(もとやま・ちょういちろう)を観る。


                 茂登山長市郎、92歳。

          敗戦した混乱の時にヨーロッパの美しいブランドを

                次々に日本に展開してきた。

     イメージ写真

       終戦後、日本に居留してるアメリカ二世たちにシアーズなどの通販で

            アメリカ品を購入させて、それを買い取り

            闇市の店で商売し、それが評判を呼んだ。


        常連客の一人、写真家の名取洋之助(なとり・ようのすけ)は

         アメリカには文化がない、本当に美しいものを売りたいなら
 
      ヨーロッパに行って文化に触れてこなければダメだと茂登山氏に諭した。


         1959年(昭和34年)に初めてヨーロッパへ渡る。

              またまた名取氏から諭される。

         「直ぐに色々な物を買ってはダメだ、先ずは美術館や教会を

                       観て廻り文化を肌で感じとれ」

         「ホテルは一流なところへ泊まれば、コンシェルジェが

               一流のレストランや劇場を予約してくれる」

         

          いやいや、先立つものがあっての話ではありますが、

          文化に触れることを重視している精神に敬服いたしますね。


         宿泊先のホテル・エクセルシオールの近くにあったグッチ

           に感激した茂登山氏は商品を日本で販売させて

               欲しいと申し出たが断られた。


         2年後、グッチの社長自らの案内で製品の説明を受けた時に

              革製品ではない銀器を見せてもらう。

         その時にポケットチーフを出して包む様に銀器を手にした。

           「君のように大切に銀器を扱った奴は初めてだ」

              「君は美しいものを大切にする人間だ」

            とのことから日本での独占販売権を獲得したという。


             1964年(昭和39年)銀座の並木通りに

             セレクトショップ「サンモトヤマ」を開く。


              表通りから一本裏に入った通りこそ

          買い物がし易く我々専門店としてふさわしい場所だ。

       今は何も無い通りだけど30年、50年したら必ず日本一の通りになる。

         この先見性とこだわりの美学が見事に花咲いておりますね。


        グッチから始まり、セリーヌ、エルメス、フェラガモ、

        エトロ、ロエベなどヨーロッパブランドを展開してきたが

        ブランド自ら日本で旗艦店を出して来たため、すべて手放した。


            西洋の美しいものを紹介してきたが今は

            アジアの美しいものを商いはじめている。

         「 キヴィアック 」という、ジャコウウシの外毛の下にある

           細くて暖かい、柔らかな産毛から造ったスーツで

         アジアの象徴としてマオ・カラーのスーツを着る様になった。


          ヨーロッパの文化の産物として生まれたブランドを

          自らの感性と美意識でセレクトしてきた茂登山長市郎。

          その感性で日本一お洒落な並木通りをも作ってきた。

       「僕は美しいものを売るだけでいい、ただの商人(あきんど)です」

               という言葉の意味は深い。


   
   シリーズ東京 第1回「街はこうして輝いた~銀座並木通り・茂登山長市郞~」

                チャンネル [BSプレミアム] 

         2015年7月4日(土) 午前6:00~午前7:00(60分)再放送しますよー♪