無縫塔 | 心を込めてお墓づくり。川崎登戸の町石屋、吉澤石材店です

心を込めてお墓づくり。川崎登戸の町石屋、吉澤石材店です

お墓について疑問に思われていること、心配なことはありませんか?
どこまで情報発信できるかはわかりませんが、お墓についてや石についてなど、
石屋だからこそわかることや思うことを綴っていきます。

一般の方はあまりなじみもないでしょうが、主にお坊さんのお墓で無縫塔(むほうとう)という石塔があります。

細かな意匠はいろいろあるでしょうが、イメージとしてはこんな感じの塔です。あ、見たことあるな、という方もいるかもしれませんね。


この無縫塔の最大の特徴はこの丸っこい塔身の形です。なんとなく愛嬌が感じられるといたら罰が当たるでしょうか。

この塔身の長さがもっと短く、丸いものもありますし、無縫塔は独特の形から別名「卵塔」とも言われています。

元々は宗(そう)の国から入ってきたもので、禅宗様式のようです。今は他の宗派のお寺でも取り入れられ、歴代ご住職のお墓として建立されたりしています。

昨日参拝に訪れた佐野の惣宗寺(佐野厄除け大師)でもひときわ目立つ無縫塔が建っていました。ちなみにこのお寺さんは天台宗です。


大きくて立派です。こちらの塔は塔身の頭頂部は尖っておりません。なので不謹慎ながら思わずさすりたくなりそうな気も(笑)

小松石の水磨き仕上げでいい風合いの仕上がりです。ツヤが出ていない仕上げも味わい深いものですね。(写真は一部修正してあります)

塔身の上部にはキリークがしっかりと刻まれています。薬研彫りです。いい仕事です!


最初に書いたように、この無縫塔は特にお坊さん専用というわけではないようです。でも一般の方でこの形で新しくお墓を建てるというのは稀かもしれませんね。

石塔の形って、実は色々とあります。伝統的なものの中にもあなたの感性に合致するようなものがあるのかもしれませんよ。

そんなことをお知らせしたく、少し一般的ではありませんが無縫塔について書いてみました。

また、よろしくお願いします。