アレクサンダーテクニーク教師養成講座学校で学ぶこと(13)

Hands on Work  (関わり方の質)

〜東京アレクサンダーセンター(TAC)のトレーニングコースでAT教師になろう!〜

 

【ハンズオンワーク】

日本で活動するアレクサンダーテクニーク教師の多くは、「ハンズオンワーク」を重要視しないトレーニングを受けている様で、実際に何を基準に取り組んでいるのかは、私には経験がないのでコメントできないです(日本でも、私とは捉え方は違うけど、「ハンズオンワーク」を基本とする学校もありますけど、、、)。

私自身は、英国でトレーニングを受けたので、自然とATの取り組みは、創始者FMアレクサンダー氏自身が「ハンズオンワーク」を中心に発展させたプロセスを継承し、「手を使う」ことは重要な学習の一部としてATに取り組んで来ましたし、私達の学校の取り組みも、STAT(英国AT教師協会)の基準に合わせて、「ハンズオンワーク」は学習に必須の要素と位置付けています。

 

ハンズオン(Hands on)というのは、文字通り手を何かの上に置く(添える)(on)ことを表していて、人間の機能という全体性の一部として「Hands (手)が在る」状態を言います。

触ったり、探ったり、操作する意図で「する」(doing)こととは対照的です。

 

普段、習慣的に手でものを扱う時、

例えば、

スマホの操作やPCのキーボードを押したり、

字を書いたり(この頃、字を書く機会は少なくなったけど、、、)

買い物で物を掴んでカゴに入れたり、

物を運んだり、

握手したり、

球技のアスリートであれば(サッカーでは、マラドーナの様に「神の手」とゴールキーパー以外は使わないけど!笑)、ボールを受けたり、投げたり、

 

とにかく、自分の外の世界をコントロールしようとする時、Hands (手)を使います。

そして、往々にして、頭でコントロールしようとする時は、自分の身体の一部しか使わない傾向にあります。頭で制御しよう(doing)とすると、Hands(手)だけでなんとかしようとする。文字通り「小手先」で物を扱っちゃうんですね。

 

でも、自分という「心と身体の統合体」の一部としてHands(手)が働くと(「自分の使い方」から見ると)、全体の中の一部として物や人と関わる様になる為に、「触れる」とか「共に在る」状態(non-doing)になって、「作為」や「期待」が含まれない交流(コミュニケーション)が起こるわけです。

 

この状態を標準にする為には、心と身体が連動しながら、Hands (手)も全体の一部として物に取り組む体験の積み重ね(psycho-physical process)の学習が必要と捉えて、私達のAT教師養成講座のトレーニングでは進めています。

では、大まかに「学習の3段階」として、順を追ってみていきましょう。

 

【ステップ① 自分の世界の一部に相手がいる体験】

さて、この取り組みをするには、まずは「心と身体の統合機能」になる学習、「本当の自分」に戻る学習が基礎になります。

心理発達では、同化(assimilation)の段階とも言えるかもしれません。

私達の学校の一年生の学習では、ほぼこの設定を基礎にする取り組みに時間とエネルギーを注ぎます。その間には、ボールや椅子の背もたれに触れたり、壁や物に手が触れた状態で身体の全体性や自分の中心を保ちながら動いたりする経験を積み重ねます。

そうしているうちに、人との接触でも、自分の機能(本当の自分)を中心に相手の機能も自分の一部(または、自分と相手が融合している感覚)として捉えることに慣れていきます。

教師(トレーナー)の手に導かれて、それを受け入れ、教師と自分の機能が一体化できる状態に慣れる。

 

例えばお箸で食べ物をつまむと食べ物の硬さを認知したりする様に

自分の手や身体の外に向けた延長線上に、物の質感や内部活動を察知する機能が促進され(傍空間認識 peri-spatial awareness)、

自分の周囲の空間の気づき(空気感)も促進され(身体近傍空間 peri-personal space)、

自然と自分の世界の一部として相手がいる状態になっていきます。

 

【ステップ②共有された世界でのコミュニケーション】

そして、自分の(世界の)一部として相手を組み込むことに慣れてくると、「自分」という感覚に余裕が出てきて、同じ世界の中にいる2つの存在(自分と相手)として切り離して捉えるように導かれます。

心理発達的には、「母子分離」、「親離れ」の要素がイメージしやすいかもしれません。

私達の学校の2年生の学習では、

「心と身体の統合体」同士の機能感の共有ができる様になっていきます。

深く共有して、コミュニケーション(交流)が起こっている感覚で、相手と関わることができる様になります。

 

自分と相手が影響し合う関係ですね。

教師(トレーナー)と自分という2つの人間の機能が交流し合う状態に慣れる。

 

Hands (手)を通じて身体同士も交流しているし、身体の内部の活動や思考、意図などの流れなど、言語化できないものや無意識のうちに起こる影響などの交流も明らかになるプロセスです。

 

【ステップ③「自分」という存在が他者に影響を与える経験値】

そして、次の段階では、自分の「心と身体の統合体」としての機能が明らかになり、相手の「心と身体の統合体」としての機能に働きかけることを学びます。

AT教師として生徒さんと関わり、レッスンをするのに必要な「在り方」です。

 

私達の学校の3年生の学習では、

Hands (手)を通じて、自分の「全体性」や「統合体としての機能」が、

相手に影響が及ぶ体験をしていきます。

自立して外の世界に影響を及ぼすことで、「自分」を変化させていく学習ができる状態です。

 

自分の機能が教師(トレーナー)に影響する状態に慣れる。

 

発達段階では、「自立」。自分の機能を他の人の意志に委ねない。

アドラー心理学では、「愛される為の生存戦略」から自由になる、などの表現に匹敵するかもしれません。

本当の自分は「自己チュウ」と違って、自分と自分を取り巻く環境を考慮し、「自分」という存在があるべき姿を選択していくプロセスに任せる状態。

(余計難しくなっちゃた!笑、この辺は体験しながら身につく視点です!)

 

【AT教師になってからの活動】

以上、私達の学校では、3年間のカリキュラムを通じて、大まかにはこんな流れで学習しています(紆余曲折は人それぞれあるのですが、、、)。

 

勿論、卒業して「AT教師」として活動し始めても、

この基礎は簡単に崩れる可能性もあります。

だからこそ、卒業の継続的な学習は必須なわけですが、

AT教師として活動するということは、生徒さんをリードする側になることで、

「自分」という「心と身体の統合機能」として生徒さんと関わることで、

他者(生徒さん)の人間の機能からのフィードバックがきて、またそれに対して、自分を調整して向き合い、取り組み続けていくことで、相手の人間としての成長に関わることで、自分の成長につながる活動にしていくことです。

 

表向きは、便宜上、プロフェッショナルにレッスンをする教師

の様な言い方をしていますが、AT教師として活動していくことは、

生徒さんと共に一緒に成長する活動を続けることなのです。

レッスンといっても、上下関係ではなく、むしろ、平等にお互いの人間としての機能を通じて交流し、学習することなのです。(その設定をするのはAT教師の役割なわけですが、、、)

 

AT教師になることに興味のある方には、是非、こういう側面を知っていただきたいと思い、文章にしてみました。

ちょっと心が動く方、是非、セルフフルネスアカデミー(東京アレクサンダーセンター)のレッスン、クラスを体験してみてください。

自分の成長の為の活動に導く学習を一緒にしていきましょう!

 

《「痛み」のワークショップ》

2024年6月23日(日) 13:00〜16:00

場所:東京アレクサンダーセンター

(北千住駅より徒歩3分)

参加費: ¥10,000-

教師: 稲田祥宏(TAC代表)

         棚橋和子(TAC副代表)

東京アレクサンダーセンター ~~「痛み」のワークショップ~~ – JATS 日本アレクサンダーテクニーク協会 (alextech.net)

参加ご希望の方は、以下からお申込みください。

yoshiinadabsn@gmail.com

携帯:070-4105-7255(稲田)

 

新入生募集

東京アレクサンダーセンターの教師養成クラスでは、2024年9月からの生徒募集(2名)しています。

 

《若手教師による初心者のためのATトライアルレッスン生募集》

 

詳しくは、ホームページをご覧ください!  

Tokyo Alexander Centre | アレクサンダーテクニーク 教師養成クラス (tac-self-fullness.net)

 

【ウィークデーモーニングクラス(月火水金曜日)】(9:30~13:00)

6月、7月、8月の開校日は

 

6月  10 11 12 14

   17 18 19 21

   25 25 26 28

7月  1  2  3  5

    8  9 10 12

8月  5  6  7  9

《福岡での個人レッスン》は、2024年6月16日(日)、17日(月)です。

(福岡の予約、お問い合わせは、メールで、 <uzumaki@hya.bbiq.jp> にお願いします。)

6/16(日)6/17日(月)稲田祥宏の個人レッスンin福岡 – JATS 日本アレクサンダーテクニーク協会 (alextech.net)

 

いずれのクラスの予約、ご質問は、すべてメールにて、

yoshiinadabsn@gmail.comにお問い合わせください。 

 

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