Being の時代の幕開け〜(23)

「ATは宗教的か?」

セルフフルネスアカデミー(東京アレクサンダーセンターの活動)

 

 

情報化社会にどっぷり浸かっている私達は、何でも頭で処理することに慣れ、部分的な対処(正解のある学習や合理的な考え方やメソッドなど)は上手になりますが、自分の心を捉えるのは凄く下手です。

セルフフルネスは、今までのパターン化された学習から自分を解放し、自分や周囲の現実に向き合う体験を積み重ね、「beingの世界」に身を置く取り組みです。

このシリーズでは、現代社会に今こそ必要とされる「beingの世界」を一緒に見ていきましょう!

 

今回は、「ATは宗教的か?」についてです。

 

【「宗教的」って何?】

日本でも宗教に信心深い人は結構いる様ですが、一般に「宗教」というと、

「カルト集団」の過激で、破壊的で、危険な組織を連想することが多く、ネガティブなイメージを持つ傾向にあります。

 

しかし、日本の外では、宗教的(religious)というと、多くの場合、キリスト教、イスラム教、ヒンズー教などの宗教の教えを生活の中で実践している人達を指し

むしろ、信心深い、誠実で、他人に心を開いて親切に接する人達

と言ったポジティブな印象を与えることが多いです。

 

彼らの中では、自分の力が到底及ばない崇高なものに仕える人達は、自分の限界をよく知っていて、謙虚で、自分勝手なエゴを前面に出さない印象があるので、

たとえ自分と違う宗教を信じている人に対しても、一定のリスペクト(敬意)を払うことが多いです。

 

【ATは宗教的か?】

「ATは宗教的か?」という質問は、日本独特の土壌から出てきた発想です。

盲目的に信じて、危険な思想や行動に出るリスクが高そうな印象を受けたり、

マインドコントロールされて、「自分」がなくなっている様な匂いがしたり、

という意味合いがあるのかと思います。

 

ATは「人間の機能」に焦点を当てて、「心と身体」が統合され、一人の人間としての「在り方」「生き方」を実体験を積み重ねながら、自分にも他人に対しても捉え方を変化させていく学習です。

 

その上で、「人間の機能」にも様々なレベルや状態があることが明らかになっていきます。

大きなスケールで見ると、自分の外の世界の大きな流れや力に任せて、自分の在り方を最大限に曝け出し、この世界を形成する力に、プライドやエゴを捨てて「在るがままの自分」を生きている状態もあります。

世界の途轍もなく大きく強いパワーの僕(しもべ)になって、ひれ伏す。

その中で自分の出来ることをやっていく。

そう言う意味合いでは、少し「宗教的」になる状態も「人間の機能」の一側面と言えます。

 

ATは、「宗教性」にも触れる要素が確実にあります。

 

【偉大なものを知る】

この世界を作る力を「神」と表現すると、その「神」の種類は、エホバだったり、アッラーだったりするかもしれないけれど、

世界、ひいては人間を作り上げた力は、何も大自然の現象のみならず、各々の人間の中にも見いだすことは可能です。

 

どんなに愚かに見える人でも、

どんなに頭でっかちな人でも、

どんなに理論的にものを考える人でも、

どんなに客観的に物事を捉えようとする人でも、

 

期待どうりに「自分の思い描く世界」が動かない現実に直面すると、

自分の知らない世界や力が働いていることを認めざるを得なくなります。

 

私達が習慣的に何かに囚われている時、自分の力が及ばない大きな力の前に屈服して、

自分の全部を曝け出すしかないことでその「囚われ」を解消することができます。

 

音楽家が、音楽の表現する偉大な世界に触れる時、

自分の固執しているものを全てを手放して、

心を開くことで、表現されることになります。

そう言う時、表現するための技法や表現方法や「音楽はこうあるべき!」みたいな固定観念は薄らいでいき、

頭で選択したりコントロールしようとしなくても、

勝手に「心と身体の統合機能」が働き出してやってくれます。

 

例えば、私の生徒さんでバイオリニストの方が、

レッスン中に、メンデルスゾーンの協奏曲の音程を改善したいと

色々技巧の取り組み方を見せて試してくれましたが、

音程がことごとく歪んでしまうことがありました。

そこで、この曲の冒頭の静寂の中から出てくる秘めた力が自分の中から出てくる様に

心も身体を置いてみたら

(ATの視点に置き換えると、「本当の自分」Primary Controlを音楽の世界の中心に置いてみたら)

その音楽の持つ力に任せて自分を使い始め、

曲の持つ世界がより明らかに表現された様に変化しました。

そして結果的に音程も正確になっていたのです。

 

この生徒さんは、自分の中で起こったことに驚いた様子でしたが、

「自分の使い方」とは、こう言う現象に慣れていくことだと言うことがはっきりして、

その後の音楽に取り組む態度が大きく変わったのを覚えています。

 

【偉大なものは私達の中にある!】

ここで注意を向けたいのは、

こうした変化は、自分の中にあるものが明らかになったからです。教師が偉大なためではない所です。

私達は、自分の中にこそ、何者にも比べられない価値が潜んでいることを知りません。

大きな世界の偉大な力という現実に触れる時、

私達は、小手先の技術やちょっと問題を緩和することより

ずっと大事なものに心が開きます。(「自分自身の奥底」が「外の世界」とつながる?)

 

セルフフルネス(AT)の実践は、自分の中の価値、外の世界の偉大さに心を開き、

自分をフルに使える設定に慣れていく取り組みです。

ある意味、「宗教」ではないけれど、(偉大な力に任せて、自分を使うという観点で)「宗教的」な体験となる要素もあります。

 

「自分を使う」とは何か?

これは、一つの言葉で限定できない種類のものです。

私達人間にとって、とても大きな課題ではあります。

同時に、一生を通じて取り組むに値するものでもあります。

 

セルフフルネスアカデミー(東京アレクサンダーセンター)の活動に是非、ご参加下さい。お待ちしております!

 

新入生募集

東京アレクサンダーセンターの教師養成クラスでは、2024年9月からの生徒募集(2名)しています。

 

《若手教師による初心者のためのATトライアルレッスン生募集》

 

詳しくは、ホームページをご覧ください!  

Tokyo Alexander Centre | アレクサンダーテクニーク 教師養成クラス (tac-self-fullness.net)

 

【ウィークデーモーニングクラス(月火水金曜日)】(9:30~13:00)

5月、6月の開校日は

 

5月 祝日  7  8 10

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6月  3  4  5  7

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《福岡での個人レッスン》は、2024年5月12日(日)、13日(月)です。

(福岡の予約、お問い合わせは、メールで、 <uzumaki@hya.bbiq.jp> にお願いします。)

5/12(日)5/13日(月)稲田祥宏の個人レッスンin福岡 – JATS 日本アレクサンダーテクニーク協会 (alextech.net)

 

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