アレクサンダーテクニーク教師養成学校で学ぶこと(3)

「言葉を超えた世界」を捉える力

〜東京アレクサンダーセンター(TAC)のトレーニングコースでAT教師になろう!〜

 

今回は、「言葉を超えた世界」についてお話しします。

 

【言葉は誤解の根源!】

「誤解」とは「ある事実について誤って思い込むこと」ですが、

なんで誤ってしまうかというと、「言葉」じりに捉われるからです。

「言葉」は、人間が受け取った体験や情報の中から普遍性、共通性を見出した概念を音声や文字に表現した「結果」である為に、

同じ「言葉」が事情や状況によって意味や価値が変わっていく経緯(プロセス)を考慮しないと、

こうした誤りが生じてしまいます。

 

ATの原理そのものです。

表に見える「結果」に気を取られて(end-gaining)、その結果が起こるプロセスに注意が向く(means-whereby)ことがなくなると、誤った感覚認識(faulty sensory perception)が生じるというわけです。

 

アリストテレスも「名称(言葉)は約束によって意味を持つ音声で、時を含まない」と言ってました。

そう、時を含めて全ての事実をみてみると、諸行無常、色即是空、私達が体験するものには、不変のものなんてないんですね。

「言葉」、もっと拡大すると、「象徴」にしがみついて行動すると、マイワールドになって、

外の世界に対して誤った世界観を抱いて、摩擦を生じ、あがくことになります。

(または、逆に過度な親和性や愛着とか!)

その現象として、状況にそぐわない感情や暴力が生じます。

 

【言葉は戦争の始まり!】

歴史学者さん達は、言葉を現場を共有する以上のものに発展した頃から、

武器を使った規模の大きい「戦争」が起きたのではないかと推論します。

だいたい100〜200人位の集落なら、ツーカーで状況を共有して、歌って踊ってれば(舞踏、ダンス、音楽)一致団結できるけど(笑)、

それ以上になるには、共有する概念、

「帰属意識」を増幅する思い込み(誤解、妄想?)が必要になる様です。

その増幅器が「言葉」。

 

集団の名称をつけて、理念(法律とかモットーに)や特別感を醸し出し、

国歌とか国旗(他にも国鳥、国花、国色、、、)なんかもつけて、

自分達を守る為に、相手に立ち向かうぞ!っていう。

サッカーのワールドカップでも、自国の為に熱くなって闘争本能を燃やすことにも通じますね。

(それ、俺じゃねえか!苦笑)

 

言葉が戦争を引き起こすのか、

戦争態勢をとる為に言葉が発達するのかは

どっちもどっちかもしれないけど、

妄想を駆り立てるのには、「言葉」は最強のツールになっているようです。

 

【AT界での問題】

アレクサンダーテクニークの世界、特にAT教師どうしの交流の機会でも、

「AT とは何か?」って言う話で論争になることがあります。

例えば、「ATはインヒビションとダイレクションだ!」

って言う人がいると、では、

「インヒビションとは何か?」

って言う話になって、

「インヒビションは、自分にとって有害な反応をストップすることだ!」

って言えば、

「有害な反応とは何か?」

って言う話になって、

「有害な反応とは、頭が落ちていく反応だ!」

って言えば、、、、、、、っときりがない会話が続くことがあります。

「言葉の定義の定義」「取り組めるようになる為の取り組み」「学習できるようになる為の学習」

みたいに、結果を求めるより、そこで生じるプロセスの中に、相手の取り組み方や経験を垣間見ることになります。

お互いにワークの体験を通じて時間をかけないと、

共有感の生まれない「妄想」に時間とエネルギーを使うことになります。

 

AT教師の間でも、ATの取り組みに関して共有する基盤を持てない状況は多く存在します。

長い年月をかけて各々がATという一つの方向性に取り組んでいても、

「人間の機能感」を共有できない現実があります。

 

【セルフフルネス(AT)の取り組み】

では、セルフフルネスアカデミー(東京アレクサンダーセンター)ではどう取り組むかというと、

レッスンでもクラスでも、人間が「心と身体の統合機能」という観点で取り組みます。

特に実践的なワークでは、「言葉」は「付属品」扱いで、

身体の変化の描写(実況中継?)の為と、頭でっかちの思い込みを補正する目的に使われます。

 

心と身体の統合された活動は、自分の内面も外の世界も在るがままに捉えることになるので、

一対一のワークで、お互いの状態を「心と身体の統合機能」として捉えているし、

クラス全体でのお互いの影響なども垣間見られます。

 

クラスでは、この状態を基準にしていますが、ここから外れることはよく起こるので、お互いに刺激し合って補正していくことも活動の一部になっています。

休憩時間や生徒さんと教師のプレゼンの時間、ちょっとした会話の中でも、

「心と身体の統合機能」として「存在」しているかをお互いに影響し合いながら過ごすように心がけています。

 

【セルフフルネスの方向性】

さて、この取り組みがクラスとして始まって、開校以来もうすぐ2年になります。

毎日の様に時間を共に費やして「自分に対する取り組み」を中心に影響し合っていると、

ワークの取り組みの仕方の共有は確立されてきました。

会話の中で出てくる質問は、より根源的なものに対する話題になっています。

また、使っている言葉についての「定義づけ」が深まったり、

誤解の少ない言葉が選定されたり、新しい用語も作られています。

 

「言葉を超えた世界」の体験が「言葉」を定義している部分の方が、

言葉に惑わされて、「誤解を生むこと」を上回っています。

私達のクラスの規模はまだ小さく、生徒、教師、ビジターを含めて10人前後ですが、

この共有体験を基礎に、クラスの外の世界で如何に関わるかの経験を積んでいけば、

100〜200人位の集落のレベルのコミュニティが形成されていくでしょう。

 

しかし、ここからがもう一つの大きなチャレンジで、

言葉を超えたコミュニティをもうひとつ大きい規模でできるのか?

モットーや象徴など「言葉」による思い込みなしに、「自己の機能」を中心に集団として取り組めるか?

 

これに対する答えは、今の所私の中では用意されていません。

創始者FMアレクサンダー氏は、2つの世界大戦を経験した上で、

「戦争は、人間の「心と身体の統合機能」の欠如が関与した。」

という現象を観察はしましたが、ATの取り組みをすることで解消できるものなのかは、はっきりとは言及していません。

私達も、ウクライナ問題、パレスチナ問題、近隣諸国との緊張など、

情報戦や威嚇や暴力の問題に直面しており、決して他人事ではありません。

ただ、この取り組みをしてきた私の見ている風景では、

少なくとも、自分が「心と身体の統合機能」として存在していないと、

自分の本意から外れた思考や行動が起こることになってしまう危機感を持たざるを得ないです。

 

答えは、私自身からより、クラスで共有している人達がどのように社会と関わり、影響し合うかによって見えてくる部分もあるでしょう。

どう言う形になっても、このプロセスを見ていくのは楽しみです。

 

この取り組みに興味を持っている人、

是非、私達の取り組みを一緒に体験してください。

お待ちしております。

 

新入生募集

東京アレクサンダーセンターの教師養成クラスでは、2024年4月からの生徒募集(2名)しています。

 

《若手教師による初心者のためのATトライアルレッスン生募集》

 

詳しくは、新規改訂したホームページをご覧ください!  

Tokyo Alexander Centre | アレクサンダーテクニーク 教師養成クラス (tac-self-fullness.net)

 

【ウィークデーモーニングクラス(月火水金曜日)】(9:30~13:00)

3月、4月の開校日は

 

3月 11 12 13 15

   18 19 休日 22

   25 26 27 29

    春休み

4月          12

   15 16 17 19

   22 23 24 26

      30

 

《福岡での個人レッスン》は、2024年3月17日(日)、18日(月)です。

(福岡の予約、お問い合わせは、メールで、 <uzumaki@hya.bbiq.jp> にお願いします。)

 

3/17(日)3/18日(月)稲田祥宏の個人レッスンin福岡 – JATS 日本アレクサンダーテクニーク協会 (alextech.net)

 

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