セルフフルネスの世界(24)

身体が歪むと世界が歪む?

セルフフルネスアカデミー(東京アレクサンダーセンターの活動)

 

「セルフフルネス」とは、自分を最大限に使って生きる活動です。

私達は、通常「本当の自分」をフルには発揮していないし、「本当の自分」を把握していません。その為、今までの習慣的な取り組みから解放されて、向き合う、私達の意識の世界では未知の世界に目を向けることになります。

このブログでは、このセルフフルネスの取り組みについて紹介していきます。

 

今回は、「身体の状態と世界観」についてお話しします。

 

【ATの前提】

ATの原理の一つに、人間は「心と身体の統合体」(Psycho-Physical mechanism)であるという考え方があります。ATの実践では、この視点で取り組んでみて、それが本当かどうかを経験を積みながら検証します。

 

ATの創始者FMアレクサンダー氏も、彼の著書(Constructive Conscious Control of the Individual)で、このことに触れています。

(今から約100年前のお話ですが)「心と身体が影響しあって健康が影響されることを否定する人はいないかもしれないけれど、私がワークを積み重ねていくうちにこの意味合いにもっと確信を持つ様になった」(私の意訳!)

 

私自身も34年前にATレッスンを始めて受けた時と比べて、ワークを通じてその意味合いがかなり変わった感覚があります。

 

この考え方は、「心と身体の統合体」(Psycho-Physical mechanism)的な体験の積み重ねから見える風景とも言えます。

経験的に、感情、思考、認知、動き、行動、性格、見える風景など、人間の中で起こるありとあらゆるものは、身体の中で何かプロセスしたものの結果として現れる感覚。

感覚で捉えられるもの(現実感)と

感覚で捉えられないもの(心の世界)

のどっちとも言えない真ん中で起きている感覚(世界観)です。

 

【協調運動】

神経発達学の分野では、「協調運動」による体験の積み重ねが、人間の発達に深く関与していると言われています。

協調運動とは、別々に動く機能をまとめて全体性統合性を持った動きのことです。

この協調運動の体験を通じて、身体感覚や細かい動きなども全体として意味を持つ活動体験を可能にします。

発達障害(自閉症、ADHD、学習障害など)では、この協調運動の障害が発達を妨げていると考えられています(他にも様々な要因はありますが)。

協調運動は、年齢によって問題化されるものが違います。

 

乳児期では、寝返りやハイハイができない。

幼児期では、転び易い、すぐぶつかる、身体がフニャフニャして姿勢が崩れる、赤ちゃん言葉が消えない(唇、歯、舌、喉などを統合して使えない。構音障害)。

就学時では、箸やハサミが使えない、書字が苦手でバランスが悪い、三角が書けない、運動が苦手、情緒の不安定感。

他に、人間関係がぎこちなかったり、空気が読めなかったり、集団行動についていけなかったり、

大人になると、職場での人間関係や期待される仕事の把握理解、友達恋愛関係など、距離感、意思の疎通、共有感などの欠如、「思考の癖の強さ」が浮き彫りになります。

極端な思想や信念、宗教観なども強く影響されます。

 

自分の中で起こっているものの感覚と、ものや人間や外の世界の感覚が密接に関わっています。

身体が歪めば、世界が歪み、

世界が歪めば、身体も歪む

というのは、この視点で見ると、頷けるのではないでしょうか?

 

【発達性協調運動障害へのアプローチ】

リハビリの作業療法で、特に強調するのは、協調運動感覚の共有です(感覚入力)。

ブランコ、トランポリン、縄跳び、鉄棒、自転車など、バランスを取りながら、必要な力を使う運動をセラピストと一緒に「遊び」や「やり取り」とを通じて共有することで、全体性と統合性を持った感覚情報をインプットすることに多くの時間を費やします。

細かい作業、動きをコントロールする力(巧緻性)も、「木を見て森も見る」状態になることで、「細かい世界」と「大きな世界」をつなぎ合わせていく体験であって、これが人間の成長に直結すると言う捉え方です。

例えば、字を書くのに📝姿勢を正して全体のバランスを持って身体の統合性があると、マスの中にバランスを持って字の大きさを決めたり、行が曲がりくねったりしない様にすることに反映されます。

 

ワーキングメモリーも、一つのことをやっている時にもう一つのことを保留しているのは協調運動的な活動です。

2桁の計算、繰り上げしながら、次の桁の足し算をしたりも、この活動が反映します。

 

協調運動の欠如が「字を書く」ことでも、計算でも、「認知」や「見える世界」の歪みを作ることはよくわかります。

 

身体の全体性を持っていると、身体の中で起こるプロセスに余裕が生まれ、心理的な余裕も生まれ、情緒も安定し、癇癪や暴言は少なくなり、行動面にも反映されます。

ものを大局的に捉えたり、相手の状態に配慮する余裕も生まれ、自分の全体性を介して人とも関わる様になります。

 

【ATのアプローチ】

ATは、人間の成長に携わる活動(教育)なので、協調運動的な体験は実践の中で起こるのですが、基本は、人間には、本来、心と身体の統合機能(Primary Control)を中心に体験を重ねる生命体なので、本人がPrimary Control になる!(私は、これを「本当の自分」と表現しています)ことから、必要な感覚体験が起こるというスタンスです。

勿論、感覚入力的なアプローチは成長を促進する活動ですし、そう言う環境作りは大切だと思いますが、例えば、セラピスト自身が、より「心と身体の統合機能」としてクライアントと関われば、人間の機能の共有体験が深まり、「お互いの」成長を促すことになります。

 

この「お互いの」が、大事で、セラピストも、クライアントも、どんな人間も、活動することが、ただ「患者さんの為に」とか、自分を犠牲にする活動とするのではなく、一緒に取り組むことがお互いにとって豊かな経験となる活動に導くことが、ATの実践が提供できる最大の贈り物かもしれません。

 

家事をしたり、育児をしたり、お金を得るために仕事をしたり、付き合いで飲みに行ったり、嫌な人と付き合わなくてはいけなかったり、自分にとっては不本意な状況でもやらなくてはいけないことがある事情って、多くの人にはあると思います。

しかし、そんな時でも、「本当の自分」であり続ける事で、自分が人間として存在すると、嫌な体験も全部自分の栄養になる可能性を秘めています。

 

自分の人生を本当に生きていくことは、恵まれない環境にいても、どん底にいても、可能であることがATの実践によって見えてきます。

セルフフルネスアカデミーは、あなたの「心の成長」を一緒に「人間の機能」に取り組んでいる教師達と共有する学習です。

癒されたい方、成長したい方、今ある壁を超えたい方、この癒しや成長の力があなた自身に備わっていることを一緒に学習していきましょう!

レッスン、クラスに是非ご参加ください!お待ちしております!

 

新入生募集

東京アレクサンダーセンターの教師養成クラスでは、2024年1月からの生徒募集(2名)しています。

 

《若手教師による初心者のためのATトライアルレッスン生募集》

 

詳しくは、ホームページをご覧ください!  

Tokyo Alexander Centre | アレクサンダーテクニーク 教師養成クラス (tac-self-fullness.net)

 

【ウィークデーモーニングクラス(月火水金曜日)】(9:30~13:00)

12月、1月の開校日は

12月 4  5  6  8

   11 12 13 15

   18 19 20

1月           5

       9 10 12

   15 16 17 19

   22 23 24 26

   29 30 31

《福岡での個人レッスン》は、2023年12月10日(日)、11日(月)です。

(福岡の予約、お問い合わせは、メールで、 <uzumaki@hya.bbiq.jp> にお願いします。)

12/10(日)12/11日(月)稲田祥宏の個人レッスンin福岡 – JATS 日本アレクサンダーテクニーク協会 (alextech.net)

 

いずれのクラスの予約、ご質問は、すべてメールにて、

yoshiinadabsn@gmail.comにお問い合わせください。 

 

ブログ:https://ameblo.jp/yoshi-inada/

フェイスブック:https://www.facebook.com/yoshi.inada/

twitter:  yoshi inada (@YoshiInada) / Twitter

youtube; Yoshi Inada AT - YouTube