誰も知らない NOBODY KNOWS | あなたの夜を埋める物

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情熱大陸×スガ シカオ
「とりあえずスガマニアにはおすすめのDVDだと言っておく」

1時間の番組中、細切れで放送されて録画泣かせだった情熱大陸の放送も終わって随分時が経ってしまった。

当ブログで開催中だった「初夏のスガシカオ祭り~合言葉はyes!~」の遅すぎる締めは、『NOBODY KNOWS』について書きたいと思う。
…ええ、遅すぎるのは百も承知です。それでも読んでいただければこれ幸いです。

3月のファンクラブイベントのPVでの初聴きから悪い印象は無かった『NOBODY KNOWS』。
その後4月スタートした「xxxHOLiC◆継」のOPや、発売日が近づくにつれ、よく耳にするようになって、結構好きな曲になった。少なくとも『フォノスコープ』よりは聴いている。

アニメを見た十代とか、CLAMPファンとか、放送禁止および商品化自粛をくらったPV とか(苦笑)、これら相乗効果で、そこそこ世間への知名度がアップしたと思われる「xxxHOLiC」の主題歌だった『19才』 についで、続編の「xxxHOLiC◆継」主題歌になった『NOBODY KNOWS』。

原作未読のアニメは放送していない地域で、「xxxHOLiC」自体は見たこと無いのだが、原作を読んだスガマニアさんが「アニメの世界感と『19才』わりと合っていたよ」と言っていたので、人間の闇をあえてつつくような、裏表を描いた歌詞を主題歌らしく、つかみはOKなノリのいいリズムと音をかけあわせられるミュージシャン…という点でスガシカオが呼ばれたのだろうか?
そしてここ最近は主題歌に必要な“万人受けする”要素を持つ楽曲を連発しているし。よくもわるくも『夜空ノムコウ』の功績が大きくもあり、大きすぎでもあり…このへん、初期~中期好きなスガマニアさんには複雑なところだろう。

実際、カップリングの『1/3000ピース』は、いつもモノトーンのスーツ姿でクールビューティな女性が、休日に赤やピンクのフリフリピンクハウスの格好で緑の丘から笑いながら駆けて来た…くらいの衝撃があった。
ここまで爽やかな楽曲を作って歌うようになるとは10年前は想像もつかなかったよシカオちゃん。

私の『NOBODY KNOWS』のツボは女言葉である。
冒頭に「おれらきっと 笑われずにすみそうだぜ」と“俺”と言っておきながら、サビ前に「ふざけないでよ」とか「さわらないでよ」と、この部分だけ会話文として読んでしまうと、「え、オカマ?」なのだが(笑)スガシカオのウエットさが全く無い、疲れた大人のようで少年ぽさも含んだ声で発せられる否定形女言葉は非常に耳障りが良いのだ。

“誰かのぬくもりは 触れなきゃ気づかないものさ…” と
さわらないでよ 関係ないじゃない


の部分が特に気に入っている。

「ああ、この人は心の底から“お前に何がわかるんだよ、ふざけんじゃねーよ”と言いたいんだな」という憤りがひしひし伝わってくる。このへんのオカマと潔癖症スレスレのニュアンスを出せるのはスガシカオの声だけだろう。
ちょっとでも湿っぽさのある男声だと一気にオカマになるな、この一節は。

昔、「男が女心を理解できる訳がないから、女目線の詞は書かない」的なことを確かシカオちゃんは言っていたのだが、その後『サナギ』でまさかの女性一人称の歌詞をアルバム『TIME』の1発目に持ってきて、のちに「xxxHOLiC」劇場版の主題歌に起用、そして「xxxHOLiC」主題歌担当ミュージシャンになったのだから、スガシカオの女言葉にはなにか得体の知れない魅力、いや魔力が秘められているといわざるを得ない…というのは大げさすぎか。


もう どこへも逃げたりしたくない
誰か“yes!” といって
だって 昨日の場所には戻れない
君といた場所には
こたえなんか 誰も知らない


NOBODY KNOWS(初回生産限定盤)(DVD付)/スガシカオ

「初回盤のライヴDVDは1時間そこらなので見やすいちゃあ見やすい」