「まさか“恨み骨髄”なんて言葉を実際に使う人がいるとは…」と軽く衝撃を受けた。しかも我が家で一番スーパードライな性格の母が、である。
「おばあちゃん(母方の祖母、つまり母の母。)が死んだ時、(父親が)おばあちゃんの死体をなんて言ったか知っとるか?「汚い」って言ったんやで。」
「…それが恨み骨髄の1つ?」
「いや、コレは違う」と、しれっと言う母。
「………………」
これが“恨み骨髄”じゃなかったら、何が恨み骨髄だと言うのか?ということは、これを上回るネタがあると言う事で、それをしたのが、父親な訳で、私はその血を私は引いていて、まず、なんちゅうことを抜かしてけつかんねんあのおっさんは。
「どんなに親しくとも、身内でも、絶対に言ったらいけない事はあるんで」と言っていつものように、テレビを見ながら洗濯物をたたむ母。
長年連れ添った夫婦の間の深くて暗い溝を覗き込んでしまったような恐怖を覚え「その3つの“恨み骨髄”は、父が死ぬまで、私には教えないで欲しい」と母にはお願いしてある。
新井 理恵 ×(ペケ) (7)