「僕をあいして、だきしめて」
白い空間に
黒髪の青年がうずくまっている.
「大丈夫だから」
私はそう言って、
彼の背中に両腕をまわし
包み込むように抱き締めた.
彼は私の腕の中で
途切れ途切れに言葉を紡ぐ.
「切ることを、覚えたんだ、」
「…結ぶのはどうするの?」
抱きしめたまま彼に聞くと、
彼は返答せず
もたれ掛かるように私の首筋に顔を埋めた.
彼の細く滑らかな黒髪が首元を擽る.
私は指先で梳くようにその髪を撫でた.
「繋げ、ない、」
彼は泣きそうな声で
そう呟いた.