告知後、すぐに転移がないかどうかや、手術に向けての一連の検査を受けました。告知当日にCTや胸部レントゲン、その後仕事の都合のつく日に休みを取り一日がかりで、骨シンチ、造影MRI、呼吸器関係やエコーや、どれだけ受けたか覚えていないほどの検査。

それらの検査の結果が出るまで、そしてその結果を受けていつからどのように病休に入るか決め、それを職場に報告するまでの2週間ほどが一番精神的につらかったです。

自分の置かれている立場の中途半端さ。先行きがはっきりしないので同僚にはまだ話せず、普段通りにふるまって普段通りに仕事をこなすこと。でも引継ぎの準備も並行して行うこと。平常業務+引継ぎ準備で毎日遅くまで働きました。

そうやって働いている自分を見つめるもう一人の自分がいて、もう一人の自分の方が本当の自分で、働いている自分は抜け殻のようにも感じました。

自分が自分でない感じ。この感じは、病休に入り、治療を始めてから何カ月も続きました。最近はようやく、こうやって闘病している自分が自分なのだと納得できているように思います。

乳がん告知の時に頭では一瞬で事実を受け入れ、頭を切り替えてこれからどうやっていくか考えを巡らした私でしたが、心で自分の置かれた状態を受け容れるにはかなり長い時間を要しました。

心と体がバラバラな感じ、仕事に行かず、FECの副作用のため、ソファでぐったりしている自分の手足を眺め、これが本当に自分なのか?と信じられない感じ。

告知から10カ月たった今は、がん患者である自分も自分である、病気も自分の一要素であると認めることができるようになっています。

今、混乱の中にあるみなさまもおられることでしょう。焦らずゆっくりでよいと思います。


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高校生のころから医療系に興味を持ち、闘病記や医療の現状と課題についての評論、がん患者の心理、インフォームドコンセントに関する書物等をけっこう読んできた私。
(現在の仕事は医療とは関係ない分野ですが)

本人にがんを告知するかどうかについても意見の分かれるところで、一昔前は本人への告知はためらわれていましたね。

今はしごく普通に、本人に説明されます。当たり前と言えば当たり前かも。

「乳がんではない」ことを確認したくて受けた生検の結果を聞きに行った日は、もちろん一人でした。
昼まで仕事して午後は休みを取って病院へ。当然不安だけれど、その不安は結果を聞けば解消されるだろう、という気持ちでした。

診察室へ入り、挨拶をして座ると、ドクターはPCの画像を示しながら、「検査の結果ですが、実はね、良くなかったんですよ。」と静かにおっしゃいました。

全く予想外の展開に、一瞬頭は真っ白。皆さん、たいていそんな感じですよね。
次の瞬間、私は、「え、本当ですか~? あ、そうでしたか~。」と間抜けな口調で応じました
いかにも全く予想していなかった、という雰囲気丸出しでした。

ドクターも、この人、さては予想してなかったんだな、と感づかれたようで、「がんとは思っておられなかった?」
「え、ええ大丈夫かな~と…。」
「それはショックですよね…」とかなんとかおっしゃってフォローしなければという感じを見せてくださいました。

でも私はその数秒のやり取りの中で一気に受け止めたというか、覚悟を決めたように思います。

「いえ、大丈夫ですよ、そうでしたか…わかりました」とかなんとか言いながら、これからますます忙しくなるぞ、休職の手続き、今抱えている仕事の引継ぎの準備、段取りをどうしよう…等々が頭の中を駆け巡りました。一滴の涙も出ませんでした。「悲しみ」や「嘆き」はありません、ただ「驚き」だけでした。

それからドクターは、昔と違いいろいろな治療法があること、乳がんは特にその最先端をいっていること、乳がんは慢性病と同じで、長く付き合っていけばいいこと、その他たくさんお話ししてくださったように思います。
でもやっぱり上の空でしたから、半分ぐらいしか覚えてないですね…。

早速その日のうちにできるだけの検査を始めましょう、となり、いったん診察室の外で待つことになりました。

外へ出ようとする時「頑張って治しましょう!」と力を込めて言ってくださり、「はい、頑張ります。」と答えてドアを開けて出ました。廊下の椅子に座った時、「しばらく仕事を休めるんだ…」という妙な安堵を覚えました。

すぐドクターが手配してくれた検査をいくつか受けに行き、その後再度診察室に呼ばれ、更なる検査と結果説明の予定を相談しました。そして一連の検査結果を聞く日には、家族も一緒に来てください、と…。それを聞いた時、改めて、ああ、大変なことが自分に起きたのだ、という実感が襲ってきました。


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しこりを見つけた時に時計の針を巻き戻します。

2014年7月のある夜、布団に入ってから不意に、そういえばここ数か月乳がん自己検診をしていなかったことを思い出しました。
今思ってもなぜそんなことを思ったのか不思議な瞬間でした。

クロゼットには人間ドックの時にもらった「乳がん自己検診の仕方」の紙を貼っていて、毎日目にしていますが、それはもはや風景の一つにすぎなかったことを白状します。

左手で右の乳房の右端に触れた途端、縦1,5センチ、横1センチぐらいの感じのかたまりが皮膚の下にあるのがはっきりわかりました。

その瞬間さあっと血の気が引いたのをありありと覚えています。

暗がりの中、すぐに枕もとのケータイで「乳房 しこり」で検索しました。

「しこりがすべて乳がんというわけではありません。むしろがん以外のものである場合が多いのです。」「よく動き、境界がはっきりしているものはがんでない場合が多い。」
…など、「これはがんではない」という証拠を懸命に探しました。

仕事も忙しく、子供たちも夏休みで何かとイベントもあり宿題の手伝いもあり、それから約1カ月、毎日しこりを気にしつつも病院には行きませんでした。

しかし8月の末になって「これは乳がんではない」という確認が欲しいと思い、受診したのです。

触診、マンモの時点では「(がんかそうでないか)何とも言えないですね」「生検をしましょう」とのことで、バチンと勢いよく針が出る例の生検を受け、1週間後。半日仕事を休んで一人で病院へ。

もちろん少しは不安でしたが、なぜか私は「乳がんかもしれない」とは全く思っていなかったのです。何の根拠もないのに。普段用心深い私としては不思議なくらい無防備な気持ちでした。


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