(272)「陰謀史観」と「正しい歴史認識」
隣国のお馬鹿なおばさんが「正しい歴史認識」などと繰り返し、外交官同士で専門外の世間話とか、暇つぶしの話をさせられています。「担当が違うんですが・・・・・・」でお仕舞いにしちゃうと、突っ込みとして面白くもないから、一応専門家とされる「秦郁彦(はた・いくひこ)」先生の『陰謀史観』を読み、まあ、「簡単歴史観」でさえ、楽には定義できないんですね。まして「どっちが正しい」など、「まったく分らない、ことが分った」状態だとか。何か最近の地震学みたいだけど、先生のゴチャゴチャした文章を我慢して読むと実感できます。秦先生は、頭はいいのだろうけど、日本語が読みにくいんだよな。
秦郁彦氏の優れた点は、歴史観を分類すると【①正しいもの ②間違っているもの ③どっちか分らないもの】 の三つに分類されると簡明にしていること。まったく同感で、小学校の算数じゃないから、1+1=2などという単純明快な回答にはなりません。【正しい歴史認識】といったって、ひと・時代・場所で答えは幾つもある。何しろ形容詞ですから人によって違う。コーヒーに何杯砂糖を入れると甘いか?と同じです。絶対値が大事ですがねえ。
江戸時代の和算家に関孝和さん(1642~1708)がおりまして、この愛弟子の建部賢弘さん(1664~1739)は、独自の手法で円周率を41桁まで算出しておりまして、ヨーロッパと比べ170年ほど早い。馬鹿オバサンの国は江戸時代初期だと、円周率は何桁まででしたっけ?
ところで、「歴史観」で困るのが【陰謀史観】と名づけられるものだとか。人々はこの【陰謀史観】が大好きで、論理明解・理路整然と考えてきたのに、【陰謀史観】にぶつかるとたいていの方が騙されてしまう。で、世にある代表的な【陰謀史観】を氏の著書からご紹介させていただきます。
まず
【陰謀史観】は二つに分類できるそうで、一つがソ連のコミンテルンなど国家機関に属したもの、もうひとつが、ユダヤとかフリーメーソンなどの団体、秘密組織、宗教とか実態もよくわからないもの、に分かれるとか。この第二の形はもともとハッキリしないので、いくら研究してもハッキリしない。そこで【正しい歴史認識】といわれても絶句するだけ。
①
「コミュニスト・インターナショナル」の略称。ロシア革命(1917)のように、「世界共産革命」を実現するための国際組織。
第一回モスクワ大会に21か国の代表が参加。当初の目的は、西中欧諸国で共産革命を成功させようとするもの。1922年に日本共産党が、「もう有難くて、有難くて」とコミンテルン第四回大会で日本支部として承認されていますね。ところがスターリンはコミンテルンだと都合が悪いことが多々起きまして、サッと知らん顔をする。そんなことで【ソ連共産党国際部】のような地位になります。周囲はそんなこと知りませんで、さあ、あちこちズレによる混乱が。
ナチの聖典『わが闘争』でソ連打倒をヒトラーが唱えました。続いてイタリアのムッソリーニ、日本も加えてファシズム陣営を創りました。これが1940年に日独伊三国同盟を締結へとはご案内のとおり。
満州を占領した後、日本は中国本土へ手を伸ばそうとしますが、中々巧くいかない。で、【日中戦争の泥沼化は、コミンテルンの策謀、英米が背後でうごめいたから】だと。その一方、日本共産党は活動資金をたっぷり貰っていたため、忠実なポチのようにコミンテルン本部の指示に従ったそうで、すると行き過ぎもありまして、盲従主義が治安維持法(1925)につながり、徹底的な弾圧を受けることに。
その後、いろいろありまして、日本の識者・メディアなどはコミンテルンの脅威を声高に警告しておりましたが、なに、実際は自らが作り出した幻影に怯えていたらしいのであります。なお【スターリンの粛清】がありまして、スタッフ492名のうち134人が犠牲になったとか。
コミンテルンの策謀はあちこちに及び、秦先生の学生と思しき方が、「僕が就職できないのもコミンテルンの陰謀じゃないのか?」に対しては流石に苦笑したと書いてありました。
アメリカ占領下の日本はGHQのコミンテルン・コネクションにより、【コミンテルン憲法(現行憲法)を押し付けられた】とか???色々あるみたいです。
ヒトラーとナチ党
チャップリンが演じる独裁者が風船の地球と戯れる光景は忘れられませんが、この映画『独裁者』が撮影されたのは1939年、誇大妄想狂にとらわれたチョビヒゲの男が狙っていたのは世界征服だったのか、地球の破壊だったのか、似たような疑惑をかけられた指導者にはスターリン、毛沢東、昭和天皇までいるそうですが、実現しそうだったのは、ヒトラーだけだったかもしれないと秦先生は記しています。
ヒトラーが死んでから後、民主主義諸国は、「罪刑法定主義に反している」と非難されながら、日本と同様に平和・殺人・人道・(ホロコースト)の罪を【共同謀議により遂行】したとの理由で訴追されたんですが、そうはいってもヒトラーはサッサと自殺してまして、誰もが「僕は命令されただけだもん!」となり、ユダヤ人絶滅計画やナチス親衛隊による人道の罪はなんとか立証したものの、まったく迫力がありませんでした。難しかったようです。
CIA,M16 対 KGB
国家の生存には外国情報の収集分析能力(速い話がスパイ活動)が欠かせません。で、大規模なものはそれほど多くない。KGB(旧ソ連)、M16(英国
)、モサド(イスラエル)などが有名だけど、その点、アメリカのCIA(中央情報局)が群を抜いております。
もっとも有名になりすぎて失敗談ばかり語られ、「間抜け」の代名詞になっているそうですが、まあ、KGBだって同じようなもの、「ベルリンの壁」崩壊を予知し、抑止できなかった点はCIAと同罪なんですと。
日本ですと、日露戦争のときの明石元二郎による工作だとか、満州国の建国など、それなりの実績を上げておりました。でも戦後は休止状態のまま、1952年にCIAの下請け機関として【内閣調査室】があることはあるんですが、細々と公開情報を分析しているだけ。予算がつかないんでしょうかね。
もっとも日本は世界のスパイ天国、かえっていろいろ見えてくることもあるそうな。
韓国安企部(KCIA)に金大中を拉致されたり、北朝鮮に13歳の少女をかどわかされたり、防諜機能もゼロみたいです。まあ、お金があちこち動くのは事実らしいんですが。在日と民主党との【陰謀史観】もまだ未解明なようですし。
歴史上の息を呑むようなお話は、下記の引用本をお読みいただき、で、歴史とはどのくらい複雑で、良くわからないものか、実感していただきたく、隣国オバサンももうチョッと勉強したほうが・・・・・・無理だろうなぁ。
引用本:『陰謀史観』秦郁彦 新潮新書 2012年
