日本語学校、勉強が目的じゃない学生が入学して来るのはなぜ? | 管理職日本語教師の、相当深~いつぶやき。

管理職日本語教師の、相当深~いつぶやき。

私たちの可能性は、こんなもんじゃない。

こんにちは。


今回も頂いたコメントのご紹介から始めたいと思います。


~・~・~・~・~・


私たちは結果を出してこそ仕事した!!
と、充実感を味わえると思いますが、
中には・・・真面目に勉強する気のない
学生もいるし、困ったことに、真面目に
教える気のない教師もいますよね。

特に、ここ数年ですが、
日本に留学すると言いながら、
何時間教えても、ひらがなすら
まともに覚えない学習者が非常に多いです。
これでも留学できてしまう????

まあ、民間ですので、利益を出さなければ
ならないので、仕方なく受け入れますが、
経費思弁者さえしっかりしていれば、
こんな子たちが日本の学校に入学できて
しまうことに疑問を感じております・・・・。

~・~・~・~・~・


コメントをお送りくださり、ありがとうございます。


キーワードは

「結果」

「真面目に勉強する気のない学生」

「真面目に教える気のない教師」

「学校の利益」

「経費支弁」


こんなところでしょうか?



まず、「結果」

これはつまり、学生の「進路」にかかわるもの。進学や就職などの結果。

または「試験」、つまり日本語能力検定試験(JLPT)など、日本語能力を問う試験の「結果」、という事だと思います。

まあ2年間でN2レベルぐらい取れれば、概ね「結果」を出せた、という事になるのかもしれません。


ところが、10年前に多かった中国、韓国などの漢字圏と比較して、どうしても最近増えているアジアからの非漢字圏の学生は、これらの結果が出しにくい。

特に日本へ来てから勉強を始めた学生や、国での勉強がほとんど定着していないまま日本へ来て、勉強をもう一度やり直すことになった学生が、2年たって日本企業への就職率を上げている、主だった専門学校や大学への進学は、ゼロではないがほとんど無理。


また、10年前の中韓が、まともにやっていれば8割出せていた、2年でJLPTN2レベルに到達していたという結果も、このアジアからの非漢字圏学生は、2年では無理という学生の方が多い。

しかもそれは、「漢字を知らないから」という事だけが原因ではない。


これはこれまでのブログでも、散々書いてきました。



これは次のキーワード「真面目に勉強する気のない学生」と関係してくると思います。

当然「真面目に勉強しないから、結果が出ない。」という事につながってくる。



(「学生が真面目に勉強しているのに、いい結果が出ないのは、先生のせい。先生の実力がないからだ!」と書きたいところですが、これはこれでそんなに簡単な問題ではなく、突き詰めて書き始めるとまたまたシリーズものみたいに長くなってしまいますから、今回はおいておきます(笑)。)



さて、この「真面目に勉強する気のない学生」ですが、これを更に以下のABのように大きく2つに分けてみました。


A.

国を出る時から、ハナから勉強する気は毛頭なく、稼ぐ気満々で日本へ入国し、来日してすぐに週28時間というアルバイトの規定は無視し、アルバイトをいくつも掛け持ちし、恐ろしい時間数働き始める。

出席率が低くてビザがなくなるのが怖いので、仕方がなく学校へは顔を出すが、それは勉強するためではない。

だから授業中、勉強についていけなくても平気。

テストが悪くても平気。

先生に注意されても平気。

学校は睡眠をとるところと思っている人もいる。

学校への帰属意識はなく、クラスメートも不要。

進学はビザを繋ぐ手段なので、金さえ払えば入れてくれる「いらっしゃいませ専門学校」を、同郷の似たような稼ぎ仲間から教えてもらってリストアップしている。

そして勉強する気は全くないのに、「いらっしゃいませ専門学校」に入学して、そこで2年、そしてそこを卒業後、更に他の「いらっしゃいませ学校」へ2年、計4年渡り歩き、この間に稼げるところまで稼いで、国に帰る計画の学生。


B.

国を出て成田空港に着いた時には、日本語の勉強やる気満々、夢も希望もやる気も持っていた。

しかし、日本で生活していくうちに、お金もなくなり、生活に追われ始め、そのうちバイトの方が面白くなり、ほとんどの時間と力をアルバイトに使ってしまうようになる。

そして学校の勉強についていけなくなり、勉強がおもしろくなくなってきて、まじめに勉強しなくなってしまった。

本当は日本語がうまくなりたい、家族にもしっかり勉強してくるからと言って出てきただけに、罪悪感がある。

しかし一度転げ落ちてしまった後、自分で元には戻れず、荒んでいく学生。



もちろん、もっといろいろなケース、中にはもっとひどいケースもありますが、今回は代表的な例2つを取り上げてみました。


さて、まずAのケース。

これは程度問題ですが、ある程度は入国前に、日本語学校の学生募集担当者が現地へ行って、面接して、留学の志望理由をチェックし、もしこのように、勉強する気があまりない、稼ぐ方に重点をおいている学生だと認められれば、日本語学校への入学を許可しない、入学させないようにすることが必要です。


ただし、このコメントをくださった方も言っておられましたが「学校も利益を出さなければならない」、つまり金ヅルを学校自ら手放すことはしない。


もちろん日本語学校全部ではないですが、中には、学校として大切なのは、「勉強する気があるかどうか」ではなくて、「初年度の日本語学校への学費を持ってるどうか」、こんな教育理念とは呼べない考えの基に学生募集を行っている学校が、数多くあるようです。


そして、勉強する気のない学生でもなんでも、とにかく金のために入学させて、後は現場の教師に丸投げ。

それで「結果出せよ」と、教師に言う経営者。


はっきり言います。

そういうモラルの低い日本語学校は、業界をダメにします。


資本主義社会ですから、金儲けてるほうが偉い。

給料払ってやるんだから、教師や職員はだまって働いてりゃあいい、という理論を押し通し、教育理念も持たず、そもそも教育が何かもわからず、学生から搾り取って、あとは2年経ったら適当に放り出せばいいと思っている経営者。

しかしこんな経営者の下で働いている現場の教師は、実際に学生を目の当たりにしていますから、学生の人生を考え、心を痛めてしまう。

そして、自分が何のためにこの仕事をしているか、わからなくなってくる。


馬鹿らしい。

そんな学校みんなで辞めちゃえば?


勉強する気のない学生を、学校が儲けるために入国させることを「よし」としている学校は、はっきり行ってブラック企業ならぬブラック学校です。

日本人の感覚では、そんなサービス業が国内に存在していること自体、許せません。

日本のサービスは、世界でもトップクラスのはず。

日本の「お・も・て・な・し」は、世界に誇れるもののはず。

そして、教育もサービスのはず。


ですから、日本のサービス業として、我々日本語教師がこんなモラルの低いことに手を貸していてはいけません。

これは、戦後我々日本人の先人が、長い時間をかけて築きあげてきた「日本のサービス」というトップブランドの信用をなくす行為です。

お・も・て・な・し、とかいう言葉は大嘘になってしまいます。


ですので、そういう学校は淘汰されなければなりません。

みんなで潰して、業界から排除しなければなりません。


しかし、そのブラック学校で働く日本語教師がいるから、ブラック経営者は何とか募集できて国から学生を連れて来られるし、ブラック学校は潰れないで存続し続ける。

ですので、自分の学校がブラックだと思ったら、さっさとやめて他の学校へ移って下さい。

そういう学校の存続に手を貸していること自体、業界にとっては大迷惑な日本語教師になってしまいます。


今や空前の日本語教師不足。

数年前と違い、今なら職場は選びたい放題です。(関東圏内は。)

「未経験者可」でも、もう少しマシな学校も募集出してます。(関東圏内は。)

ただし、いつまでこの売り手市場が続くかわかりませんよ。

もしこの仕事を長く続けようとか、少しでも上のレベルの教師になりたいと思っている方、

チャンスは今だけ!お早めに!


するとこんなブラック日本語学校に勤める教師がいなくなり、ブラック日本語学校は教師とは言えない、ただの日本語母語話者、それこそ近所のおっちゃんおばちゃんレベルの、素人を教師として雇い始めるでしょう。

当然まともな教育ができず、結果も出せず、学生からのクレーム続出。

下手すりゃ学生の不法滞在者続出。

学校はペナルティを負い、ビザを削られる。



いくらなんでもそこまで行けば、ブラックじゃない心あるエージェントさんの耳にもそんな情報が入り、まともなエージェントさんは、そんなブラック学校に学生を送らなくなり、ブラック日本語学校は崩壊。

淘汰される。


私の希望的推測です。

(実は、ブラック学校とブラックエージェントは、常につるんでいるもんなんですよ。
まるでマフィア社会の伏魔殿。消せない悪。

私は蟹工船の船底の労働者ように、非力。

悲しい現実。)

でも、もう一度言います。

ブラック日本語学校に、手を貸す日本語教師にだけは、ならないでください。

自分の学校が「ブラックかも?」と思ったら、すぐに就職活動を始めましょう。


*自分の学校がブラックかも?でもわからない。と疑問に思っているあなた!私にご相談ください。

(ご許可いただければ、その相談内容の一部は、私のブログのネタになります(笑)。)



話を元に戻します。

まあ、上記のAの例よりは、Bの例の方が、多いかもしれません。


勉強する気があったのに、来日後にそのやる気をなくしてしまう学生。

そして、かつてはやる気があったのに、やる気がない学生を目の前にして、やる気を無くしてしまう日本語教師達。


さて、どうすればいいのでしょうか?


続きは次回!


(すみません、最近この「ツァイガルニック効果」、炸裂させてます!(笑))




ところであなたは、ブラック学校に手を貸す、大迷惑な日本語教師・・・じゃないですよね?