この文章ね、2年前に下書きしたまま保存していた。


今、日の目を見る。

なぜ今なのか、なぜ温めていたのか?

これが運命なんだと思う。


嫌な絡まれ方をする時ってあるじゃない。前は舐められたらいけないと、すぐ切り返したりしてたけど、違うんだこれ。


つまり、自分の懐の深さ、心のゆとり度を試されてる?!


金持ち喧嘩せず、悟りしものうるさきハエを構わず。




では、タイトルバックから

「マイナス心理にマイナス行動をとるな」


そんなモットーを教わった。

たとえば、タクシーに乗って、運転手の態度にむかっとすることがある。

腹が立つ。

それがマイナス心理である。

だからといって、こちらが乱暴な態度をとってはいけない。

「なんだ、その態度は!?」と声を荒げたり、バタンとドアを閉めるといったマイナス行動をとると、いつまでも不快な気分が残ってしまう。

「そんな場合は、少し高めのチップを運転手にやって、“ありがとう”と言って降りる。相手は“おやっ?”といった顔をしますよ。そうすると、こちらの気分が爽快(そうかい)になります。それが、マイナス心理を消す秘訣ですよ」

そんなふうに言われた。

早速、わたしも実践してみたが、なるほど効き目があった。

仏教の開祖の釈迦は、こんなふうに言っておられる。

「悟りを開いた聖者も悟りを開いていない凡夫も、ともに第一の矢を受ける。しかし、凡夫はその第一の矢につづいて第二の矢を受けるが、聖者は第二の矢を受けない」

人に足を踏まれたとき、「痛い!」と感じる。

あるいは、美しい花を見て「きれいだ!」と思う。

それが第一の矢である。

聖者にしても「痛い」「美しい」と思うのだ。

その点では、聖者と凡夫に変わりはない。

しかし凡夫は、その第一の矢につづけて第二の矢を受ける。

「なぜ、俺の足を踏んだのだ。あやまれ!」と腹をたてつづけ、ときには仕返しを考えたりする。

それが第二の矢だ。

あるいは、美しい花をつんで、わが家に持ち帰ろうとする。

それも第二の矢だ。

そして聖者は、凡夫と違って第二の矢を受けない。

マイナス心理にマイナス行動をとるな…ということは、釈迦の言われた第一の矢と第二の矢の教えと同じものだと思う。



『捨てちゃえ、捨てちゃえ』PHP研究所