かれこれ十年前の話。
12月の夜の10時過ぎ、無謀にも大阪は心斎橋を、ほろ酔い加減で一人歩く世之介。

そこに横から急に浜崎あゆみもどきの女の子が立ちふさがった。

「兄ちゃん待ってぇ!」
「あゆなぁ、風邪引きそうなんや、はよ行こう」

「行こうって、どこへ?」
「飲み放題、歌い放題のラウンジで4千円だけでいいの」と、言ったかと思うと世之介の腕を取り、強引に歩き出す、あゆもどき。

歩かされること数分。とある雑居ビルの二階を奥に入って行く。明らかに人の気配の全くしないバーが待っていた。半分あきらめつつ、中へ。

「いらっしゃいませ、お客様。お飲み物はヘネシーでよろしいでしょうか?」
(いきなり冗談キツイでぇ)

「あっ、ここにあるフリーボトルでお願いします。」(4千円ちゃんかい?)

「……あら、そう東京の人なの。珍しい!」(客自体珍しいのとちゃいますか)

「いっぱい歌ってぇ、ここカラオケはタダやねん。クリスマスソングなんか聴きたい」

♪きっと客はもう来なぁい
一人きりのクリスマス-イヴ…♪

「ハイハイ、ハッハァーイ」
(掛け声いらんやろ)

こちらのことは一切構わず、自分のペースでカクテルをがぶ飲みする、あゆもどき。

「めちゃ良かったョ、それにこのカカオミルクおいしいなぁ」
(ところで、それ一杯なんぼなの?)

「あんなぁ、あゆなぁ、やっぱ風邪引いたみたい。ほら、こーんな熱」

無理やり、自分のおでこを世之介のおでこにあわせる、あゆ。(それはちょっと嬉しい)

「お客様、1時間になりますけど、どないされますか?」
(やったぁ、解放される)

「じゃあ、締めて下さい」
(歯を食いしばってみせる、あゆ)

「分かりやすいボケ、ありがと」

「なんやぁ、あと30分おってぇ、寂しいやないの」
(そう言われると弱い)

「じゃあ、もう少し」
「わぁ、メッチャ嬉しい!」

「わてはメッチャ悲しい(T_T)」

結局90分を過ごし、やっとお会計。
「ちょうど5万円になります」

「何でやねん?!」

「兄ちゃん、うちの子のカラダに触ったでしょ。うちはカラオケ出血大サービスやけど、カラダで稼ぐ気ないんですわ」

「アホも休み休み言いなや、おでこで無理矢理やないの?!」

「なんや、文句つけるんかい。払えない言うんやったら、身体で払ってもらおうか!」

ボコッ、ズコッ!!

「どないや兄ちゃん、これが大阪名物パチパチパンチやでぇ」

「往生しまっせっ?!」








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