調度先週水曜日のこと、夫と話しているときに神戸女学院教授の内田樹さんがどこかで書いていた文章の話になった。内田さんは「師事する」ということの不思議さについて書いておられた。詳しい表現は忘れたのだが、
内田さんが合気道の先生を決めたときのエピソードを紹介しておられたのだ。
曰く
自分が合気道を学びたいと思い、ある先生を訪ねた時、その先生に「なぜ合気道をやりたいのか」と聞かれた。
その時自分は「肉体的に強くなりたいから」というようなことを答えた。すると先生は「今はそう思っていてもいいだろう。」とおっしゃった。それを聞いて自分はこの先生に師事することを決めた。考えてみればこれは不思議なことで、その時の先生の言葉は「今君が求めているものを自分は与えない」という宣言だったのにこの人についていこうと決めてしまったのだ
というような内容だったと思う。私はこれを聞いて大変に感銘を受けた。人間の関係、あるいは心を打つとは一体何だろう?と思ったのだ。その後内田教授の本を何冊か読んで納得するところもあれば、逆のことをやっていることもある。だが、今日多くの人が内田樹さんの本を読んでいるように私も内田さんの読者になったのだ。
で、その水曜日の夜、もともと行くつもりにしていたイベントの追加情報が届いた。このブログ頻出の
梅田のロイヤルホースでの「お能の夕べ」(小鼓 大倉流宗家大倉源次郎さん、シテ方 喜多流 長島茂さん)。
なんとゲストコメンテーターが内田樹さんだというのだ。身体というもの、学ぶということ、師事するということについて鋭い考察と活発な活動を続けておられる内田さんの能に関する考察をぜひ聞いてみたいものだ。