ばぁちゃん、いったい何を待っとるん?

何か気になっとる事があるんかな?


ばぁちゃんの横で ねぇちゃんといろんな話をした。

生まれ育った島の想い出話。

飼ってた鶏が逃げた話

海で採った貝の話

ばぁちゃんの料理

近所の火事の話

謎の失踪事件やおじさんに追いかけられた話・・

いろいろ、いろいろ、

ばぁちゃんも時々相槌をうつ。

懐かしく可笑しかったネ。


そんな夜、

夜勤のメンズ看護師が気道確保の為か 枕を外した時だった・・

ばぁちゃん、渾身のイリュージョンをやってのける。

何十年も足が悪く 足も腰も少し曲がったままのばぁちゃん

枕を外しても後頭部がベッドにペタンと付かないのだ。。

頭が浮いたままの状態、少しだけだけど・・

それに気づかず行ってしまったメンズ看護師。

「ばぁちゃん、頭が浮いとるじゃん!」

ばぁちゃんの頭の下に手を入れると 楽に手がスライドするし!

「ばぁちゃん、イリュージョン!イリュージョン!」 私は叫んだ。

普通の人だったら腹筋して頭を上げてる感じ!?

ばぁちゃん、凄くね??

笑かすなよ~、ばぁちゃん。


大嫌いな吸痰も抵抗しようにも その手はもう口元には届かない。

手を握っても握り返す力もない。

鬱陶しくって嫌ってた酸素マスクも外せない。

血圧も手動じゃないと計りにくくなってる。

でも、ばぁちゃんは頑張ってる。

何か気になることがあるんだろう、まだまだ頑張ってる。

ばぁちゃん、いったい何なんかね?

何を待ってるんかな?