Aライン全裸男 ③。 | ムニエル。

ムニエル。

医療事務歴16年、



医療事務は楽しく♪がモットー。



あなたと、いろんなお話がしたいな・・・・。



☆診療情報管理士通信教育スタート!69期生でつ '`ィ (゚д゚)/

5分くらいたったかな。



電車の音が近づき 駅の明かりが 見えてきた。



病院と駅との一本道は この大きな交差点を境に



急に 視界が広がり 明るくなる。



角の ヤマザキの 看板のパン屋さんは



もちろん しまっている。



自動販売機の灯りに 小さな虫が集まっているのが見える。






何かの会話の後、 紳士は 不意に早足で歩き出した。




( あれ、もういっちゃうんだな。 )



紳士の靴底を見つめながら


違和感に気が付いた。




そういえば、初めて 彼を見たときに



一番最初に感じていた 気がする。




紳士の足元は いわゆるビジネスマンがよくはいている


コツコツ 鳴る ビジネスシューズ。



そこに


これまた 普通に よくある 黒の靴下を 履いている。




黒の靴下を 履いている。




え??




なんで わかるの?


なんで みえてるの?



黒の靴下が。







そう




そう




そうなんです。




彼、 スラックス 履いてないの!!!



え??




えええ???



半ズボンなわけ、ないよね。



ちょっとまてよ?



他にもおかしいこと、あるぞ。





コートに キャスケット??



サラリーマンが??



手には ビジネスバッグ持っているけど





この格好、サラリーマンじゃ ないよな・・・・・。






ふわり、 ふわ~り。



紳士が歩くたび 異常に白い ふくらはぎが 



筋を立てているのが 見える。







やばい!


こいつ、おかしい!



とっさに私は自動販売機のあるほうの角へ


早足で 移動した。





明るいところに行きたかった。



ジュースを買うフリをして 自動販売機にたった。




紳士の足跡は 続いている。



だんだん、ちいさく なっていく。






小銭を押し込み何気に押した ボタンは 



「 あつい 」 コーヒー。



( なんで この時期に あつい があるねん! )






・・・・・・しかし なんだったの? あの人は・・・・。





携帯電話もまだ普及していない時代。



自販機の隣の自動販売機に手をやる。





( 当直のNさんに 言わなきゃ! )





だれかと繋がりたかった。


誰かの声が 聞きたかった。 




こわくてこわくて 紳士の歩く方向に 行けない。




駅は 見えているのに。



電車に乗らないと 帰れないのに!




え~~~ん。





ゴソゴソ おつりをまさぐる私の背後に



人の気配。






振り向けないよ~~~。



まさか まさか。






「 おじょうさん 」






あの 紳士の声だ。






「 おじょうさん ちょっと 」






おそるおそる、振り向く。







そこには









コートの前ボタンを全てあけて




仁王立ちする 紳士  変質者 の姿・・・・・・・。





靴下と 靴 ネクタイ 以外は 何も付けてない!




全裸に 帽子と コート



首に 縞々の ネクタイ



靴下に 靴。





ぼろり、 出てる!




「 ぎゃ~~~~~~~!! 」



いままで聞いたことのない 自分の声。




ニヤリと 微笑む 変質オッサン!!



静かに 「 ねぇ・・・・ねぇ・・・・ 」 とつぶやいている。







患者さんにするみたいに さわってみてよ







鼻水でそうなくらい ビビる 私。



恐怖で動けない


というか



あまりの 至近距離で


見た 現物が



ショックで ショックで




吐きそう・・・・・・うぇ。




こわばる私をきっと ソイツは楽しんでいたに違いない。





じりり、と おっさんが 一歩前に 出た。




とっさに、 私は 手に持っていた コーヒーを




投げた!




べちり、 と音がして おっさんが 何か叫んだ。




逃げる 私。



めっちゃ 走った。




走りまくって、 駅前のかまどやに駆け込み



お兄ちゃんに 「 変なオッサンが裸で立ってる 」と


告げた。




お兄ちゃんはなぜか 


手に かまどやのレトルトの お味噌汁と


店先の丸イスを持って



「 そこ、そこの 自販機のとこです!! 」



と指差す私に促され 走っていった。





お弁当を待っていた お客さんとともに


そろそろ、自動販売機に 向かう。




底には 転がる 缶コーヒーと



弁当屋の お兄ちゃんが。




「 変な人、いませんでしたか??? 」




「 ・・・おった。おった。 」



「 どこに行った?? こわい、あのひとおかしいです! 」



「 お、おっさん ○○○ 痛いっていって


  そこの 溝のとこに 入ってった・・・・ 」




溝・・・・?



マンションと道路の間には 1mほどの


側溝がある。





お弁当屋さんから付いてきたお客さんが



覗き込むと 大爆笑とともに こっちを手招きした。





やだ、私は行かないぞ!








私の投げた 「 あつい 」缶コーヒーは


おっさんの 下腹部に べちり と命中したらしく





素肌に 「 あつい 」とくれば





「 冷やす 」







おっさん 溝で ・・・・・・・・・・・・。










その おっさんは 本当に勤務先の病院に



入院していたことがあるらしく









看護婦さんが夜中に見回りをしていると





枕の位置とは逆に 寝転がり





下半身全裸でベットの上に大の字になって





懐中電灯で照らされるのを 楽しんでいたそう。









翌日 同情されるでもなく


心配されるでもなく



大笑いのネタ持ってきた 変な新人として



事務所は 大賑わいでした・・・・・・・(つд⊂)エーン