ラムネで自殺未遂。 | ムニエル。

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医療事務歴16年、



医療事務は楽しく♪がモットー。



あなたと、いろんなお話がしたいな・・・・。



☆診療情報管理士通信教育スタート!69期生でつ '`ィ (゚д゚)/

事務所には、救急専用の直通電話があります。


通称、「 赤電 」 。



救急隊からの搬入要請が救急車から、本部から


ダイレクトに入ってきます。






新米の頃は「 救急当番 」と言うのがあって


救急室に立会い、救急隊からの患者さんの


データや、付き添いのへのフォロー、


救急室内でのクラーク業務を行うのです。



救急室への長い廊下を


パタパタ救急ノートを持って走る時


「 ER 」とか、


「 救命病棟24時 」ばりの 緊張感があります。


同僚などは、


この「 救急当番 」をたいそう嫌がっていました。


簡単な縫合や、処置、はココですべて済ませてしまうので


かなり、ショッキングな場面も多数だからです。



吐物、汚物、流血、露出・・・・・・・。


匂いも生々しいですからね。




その点、 業務をサボりたい 勉強熱心、好奇心旺盛だった私は


いの一番に救急室に駆け込む役を買って出ていました。




そのおかげで、新米たちを束ねる立場になっても

まだ、救急室に走るわけです(笑)




ある日の搬入患者さんはうちの常連さんでした。






看護婦さん  「 今日は誰やろ。」






yong-yuan   「 お疲れ様です。患者様はウチの常連さんみたいです。 」






ドクター  「 だれ? そんなに有名なの? 」




今日の担当の先生は、まだ救急当番をしたことのない


先生でした。



yong-yuan  「 ○○さんです。 」





看護婦さん  「 え~~??またかいな??あのラムネの・・・? 」






ドクター  「 ラムネ・・・・? 」







と、救急車のサイレンの音が近づいてきました。



外は小雨の降る、夕暮れ。


 



救急隊から、患者データを受け取り、


搬送完了の証明のサインをして渡します。



yong-yuan  「 お疲れ様でした。 」



救急隊員   「 毎度毎度、大変だろうけど・・・。 」と、ボソリ。







搬入されたこの方、Oさんは


救急隊泣かせの常連さん。



駄菓子のラムネやら、ビタミン剤のタブレットを大量に


口にほおりこんでは



「 す、、、睡眠薬飲んじゃった・・・・死にたい・・・・ 」



そんじょそこらの大きな病院だと


第一次救急・第二次救急と重症患者さんを

優先的に受け入れるので


ウチのような中小の第三次救急体勢の医療機関では

たいそう有名なお方です。





看護婦さん 「 何飲んだの??? 」


↑たとえ常連でも、『 またラムネ飲んだの?? 』と聞かないところが

さすが、看護婦さん!スバラシイ・・・・。



ぼ~~っとしつつ、うつろな目で

手術灯をみつめる、Oさん。



Oさん 「 フー、フー、く、くるしいよお・・・。

      しにたい・・・よう・・・・・。

      ○△◎×■米・・~~~~~ 」



( ラムネで意識朦朧・・・・・。 )




看護婦さん・ドクター 「 Oさ~~~ん、分かりますか~? 

              

               何を飲まれたんですか?何の薬??? 」



ドクター 「 お口みしてね。 あ~なにこれ、たくさん飲み込んだねえ。


        かなり噛み砕いたのか、口中真っ白だ。


        あれえ、???甘い匂いがするなあ・・・・。これって・・・




yong-yuan・看護婦さん  「 ら、ラムネです (たぶん) 」


ドクター  「 エエ???ら、ラムネ?? 」




Oさんは、こうして虚言で救急隊を呼びます。




ラムネと白状すれば、少し休んですぐ帰ってもらえるのですが

今日は、初めて対応する先生だとわかって

なかなか、口を割りません。


もしかして、何かのサプリメントだったりしたら

成分をメーカーに問い合わせないといけないし、


本当にお薬も飲んでいたら、危ないことになる。


というわけで、看護婦さん、脅しの作戦にでました。




看護婦さん 「 Oさん、胃洗浄しましょうね 」





Oさん 「 フーフー・・・・くるしいよう・・・ 」







看護婦さん 「 先生!胃洗浄しましょう!!! 

          口から管つっこんで、出しちゃいましょう!! 」








Oさん  「 い、いせんじょう・・・・? 」









ばっとOさん、飛び起きた。





Oさん 「 な、治りました。帰ります。 」





看護婦さん 「 何言ってるの?あんなに意識が朦朧としていたのに!

          

          胃洗浄して内容物を検査にだしますから、横になって。


          今は大丈夫でも、あとで意識障害や神経障害が出ることも


          ありますから。


          救急車を使ってココまできたんだから




         それなりの処置をしないと、帰せませんよ ( ゚Д゚) ゴルゥア( ゚Дメ ) 



ドクターは完全に圧倒されています・・・・。

             (((( ;゜Д゜))) ノ ソコマデ イッテ イイノ・・・・?




すごい!看護婦さん!!



その後Oさんは、事務長からきつくお叱りを受け


さらに、悪質な嘘言で救急隊や医療機関を混乱させている


ブラックリストに名を連ねたのです・・・・。







医療事務メモ♪


ちょっと、計算してみましょうか。



時間外( 診療時間標榜時間帯以外の診察 )で来院。


Oさんの場合は、コレで何もせず帰りましたが


実際に薬物などの誤飲があれば


胃洗浄、

ルート確保して補液などの点滴、

場合によっては心電図も行われます。



初診料 255点 

時間外加算 85点





胃洗浄 250点

処置時間外加算 × 100分の40

 ( 外来のみ・処置点数が150点以上のときに算定できます。 )





処置薬剤 生理食塩水 500ml など





心電図 150点





点滴手技料・薬剤料






看護婦さんの愛情    ・・・ Priceless


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補足 ■ 胃洗浄の際にスムーズに管を入れるために

      キシロカインスプレーやゼリーを使う場合もあるようですが

      胃洗浄は一刻を争う処置なので

      わざわざ痛みをとっている暇もなかろうということで

      まず、請求しても減点されることが多い。(小児などは別)

      必要があれば詳記を書いて請求。

      地域や保険者によってローカルルールもあるのでこれに限りませんが。




Oさんは、生保だったので


しめて、約1000点(一万円)ほどが

公費でまかなわれるわけです・・・・・。




自己負担があれば、

虚言で救急車呼ぶなんてこともないだろうな・・・。