これもまた、医療事務について間もない頃6ヶ月くらいかな、のお話。
とある、研修先の病院でのこと。
いっし~先生は内科の泌尿器のドクター。
めがねが似合う、とてもおしゃれでやさしくかっこいいと評判の先生。
おいしいもの、大好きでスタッフを連れてはご馳走してくださったり、
差し入れを下さったり。
研修の私にも声をかけてくださる気さくな先生です。
もちろん、
女の子も、大好き(笑)
各病棟階には、味見済みのナースがごろごろ。
忘年会新年会後などのイベント二次会には、また、増えます。
いっし~先生、こっそりやってるつもりが
ぜんぜんばればれ。逆にオープンになってる。
関係を持ったスタッフじゃ、いっし~先生に目をつけられるのは
ちょっとした、ステイタスなんですから。
「先生ね、○○○してくれたの~」
「ええ~、ワタシなんて家に行った」
「ワタシは時計かってもらった♪」
その、魔の手が、医事課にも。
そう、ワタシ・・・・。
9月のとある日曜当直のある日、先生から内線がかかりました。
プルプルプル・・・・
「はい、医事課yong-yoanです」
「おお、お疲れ。○○だけど。いま、外来だれかいる?(患者さんきてる?)」
「いいえ、誰も。今日は落ち着いてますねぇ。お疲れ様です。」
「ホンマやな、ラッキーや。ところで、小腹がすいたからなんか食べたいんやけど
医局に出前のパンフがひとつも無いねん。そっち(医事課)にいってない?」
辺りを見回すと、もう一人の事務日直Nさんが食い入るように見ている。
(Nさ~ん、そのパンフ、どこから来ました?)
(おお、さっき医局の新聞整理したときに積み重ねてあったからもってきた)
なんで、勝手に持ってくんねん・・・・・
「先生、すみません。ここにあります。ずいぶんお探しになりましたか?」
「いやかまへん。そうかそうか、じゃあお前たちのも適当に選んでよ。 ワシのと一緒に注文するから」
いつものお言葉なので「有難うございます♪」とお返事して電話を切りました。
「Nさ~ん、いっし~先生が、なんか頼めって。先生はピザが良いそうです」
「ラッキ~!いっし~先生と日直入ると極楽やわあ。
雑用に呼び出されたり、怒鳴られたりせんでええし。 俺ら事務員にも気を使ってくれるし」
アンタ、まさかそのつもりでパンフレット持ってきたんじゃあないだろうな。
いっし~先生は患者さんにも男性スタッフにも人気があるだけでなく
こうして人望もあります。
お車は黒のチェロキーだし、時計はロレックス。
小物はエトロで顔は甘い。
Nさんと、当番の外来婦長さんも呼んであれこれ決めてから
いっし~先生に内線をかけました。
プルプルプルプル・・・・・
あれ、おかしいな。医局から出たのかな?
「Nさ~ん、先生いないですけど、どうしましょう。」
「ホンマ?病棟呼び出されたんかな。俺探してくるわ」
ちょっと、そこまでして便乗して食わしてもらおうとする?
謙虚に、待てよ。Nさん。
Nさんが医事課を空けている間、外線に出たり
カルテの整理をしていると
プルプルプルプル・・・・・
内線だ。
「はい、医事課yong-yuanです」
「おお、○○?」
ほぇ?
○○って、わたしの名前じゃん。
この先生はわたしのフルネームまで知ってるのかい?
すごい先生。
さすが、人気者。
でも、なんか、変・・・・。
「今、一人?」