カルテNo.0001 恥ずかしがりやの 佐藤さん(仮名)② | ムニエル。

ムニエル。

医療事務歴16年、



医療事務は楽しく♪がモットー。



あなたと、いろんなお話がしたいな・・・・。



☆診療情報管理士通信教育スタート!69期生でつ '`ィ (゚д゚)/

一向に、受付をする様子はありません。



インフォメーションのパンフを手にとって見たり


ポケットをもぞもぞしたり。



(なんだろう。声聞こえてないのかなあ。)


そんなわけ、ありませんよね。


あきらかに、こちらを意識してる。


(婦長さんに電話しよ)


内線を打とうとしたその時、、、、、、



「あ、あのスミマセン・・・・。」


一歩こちらに体を向けて、俊彦風が声をかけてくれました。


「あっつ、はい、こんばんは」  (挨拶はさっき済んでるっちゆーに)


「えっと、あの、は、、はじめてなんですけど・・・。」


(やっぱり時間外か)


「今日は保険証はお持ちですか?」


「あ、はいこれ。」


ぎこちなく左手で保険証を差し出しました。


右手はズボンのポケットにしまいっぱなし。


(態度、悪いなあ・・・。しかも保険証折れ曲がって、くしゃくしゃじゃん)


「では、こちらに、ご住所とお電話番号を」


(佐藤さんか。)


書きにくそうに左手でなにやら書き始める佐藤さん。


額には脂汗をかいています。


顔色は真っ赤。


「佐藤さん、本日はどうされましたか?御加減悪そうですけれど・・」


さらさらと動いていたペンが一瞬止まりました。


「えっと、、その、、うまくいえないんですけど・・・・」



なんだか、言いにくそう・・・・・。


うちの外来で診察理由を渋る患者さんといえば


①パイプカット

②なんか、かゆい

③なんか、変な感じがする

④なんか、できてる


など、たいてい泌尿器・婦人科関係なんですが。


「あ、わかりました。では簡単にでけっこうなのでこちらの問診表に・・・」


差し出すと、佐藤さんきっぱりと


「いえ、いいんです。あ、あの口で言いますから、せ、先生に」


(だから、どの先生呼んでいいかわかんないから教えてほしいんだけどな)


「わかりました。」


(ま、いいや、カルテ作ったら当直さんに振ろう)


早速カルテを作ります。


「おかけになってしばらくお待ちくださいね」


と、声をかけたものの、佐藤さんはずっと受付カウンターに立ったまま。


なぜか背中が丸まっていいます。


(おなか、痛いのかなあ)


「あ、、、あのう・・・・・。受付さん・・・・。」


「はい、どうされましたか?」


佐藤さん、形相が厳しい。汗がぶわっと出ています。


「大丈夫ですか?すぐ看護婦さんお呼びしますね!」

ううっ・・・佐藤さん視界から消えた!


えっ、と思ったら、カウンターの下にうずくまってました。


婦長さんを呼んでしばらくすると、当直の先生とともにやってきました。


「どうしたの?おなか痛いの?」


必死の呼びかけに、先生と看護婦さんが立てない佐藤さんの


両脇を抱えます。

「さあ、立ち上がりますよ、1,2・・・・」


「ぎゃ~~~~~~~~!!いってえええ!!」


静かなロビーに、佐藤さんの悲鳴。


「どうした??」


奥から当直の技師さんが駆け込んできました。


(あんた、おそいねん。先生の声聞いてでてきたんちゃうん?)


「ちょっと、右手ポケットから出して!」

看護婦さんが佐藤さんの腕をつかみます。


「出しなさい」

先生も、力ずく。

ばっ、と抜けた。



抜けて、すべてが 発覚。(注・看護婦さんと先生だけ)

その後は、静かに佐藤さんと看護婦さんと先生並んで

診察室へ・・・・・。

そろ~~り、そろ~~りと。



(なんだったんだろう。佐藤さん)

興味津々待つ事30分。



『お江戸でござる~、また来週~~~~』

ちゃんちゃかちゃんちゃ~~~~~♪




「あ、婦長さん、さっきの佐藤さん・・・・・」


「うん、今点滴してるわ。大変だったわよ。」


「え、アッペ(盲腸)かなんかですか?」


「ちがうわよお。あのね・・・・・」