婦長さんの話は、こうでした。
佐藤さんは、ヤ○ザさんで
長年付き合った彼女とのあいだに赤ちゃんができ、
「このままじゃいけん、カタギにならんにゃあいけん」(なぜか広島弁)
と、硬く決めた。
親分のところへ行くと、
「俺にも孫ができたようなもんだ」と大喜び。
がしかし、組長親分の奥様は
「へたれ」(根性なし、の関西弁)
さらに、
「あんたに何ぼかけてきたとおもてんねん。
中学の時親に見捨てられたあんたをひろったったんは誰や」
「まともに、ここから帰れるおもてんのか」
私だったら、ちびってる・・・・・・。
「カタギになるのはおきて破り」
いわゆる、「誠意」「始末」を要求されたのです・・・・。
つ、つまり
「小指ちゃん、カット」
イタイイタイイタイイタイ・・・・・・・・・・。
「指の無いおとうなんて、子供がかわいそうやなあ」(奥さん)
まとわりつく、声の残響を振りきり
佐藤さん、皆の前でざっくりいこうとしたところ
「おまえ、左利きだけえ、右のにしとけ」
と温かい?お言葉を頂き
右を 切ったそうです。(ちなみに、専用の刃物があるそうです)
で、ウチに来院したそうなんですが
普通なら、病院なんかにいくもんでなく
気合かなんかで、ほっとくそうなんです。
でも、痛々しい姿を身重の奥様に見せるわけにも行かず
迷って迷って迷って
来院されました(涙)
病院に着いたはいいものの、
やっぱり迷ってしまい、
しかもロビーに流れていた「お江戸でござる」のゲスト藤山直美さんが
組長親分の奥さんにそっくりだったので
こわくて自問自答してたのだとか。
佐藤さん、無事処置が終わり
会計を済ませ、帰って行きました。
お大事に・・・・・・・。
(いまから13年ほど前、医療事務になりたてのころのお話、です)