はぁはぁ…





誰だって

初めての時は

自分のペースなんて保てなくて





相手のことを

慮る余裕なんて

微塵も無いものだよね…





そんなことを少し

思い出した3キロ過ぎ





僕の全速力に近いスピードで

トップ集団は折り返して行きました…





僕は普段よりも速いペースで

集団の中でもがいていました





僕の霞んだ視界の先に

朧気に浮かんできたのは





北の海の黒いダイヤと評される

日高昆布の森でした…





僕は酸欠状態に陥り

いよいよ幻覚が見える様になったのだろうか?





痛む脇腹

眼の前にはあるはずの無い

揺らめく日高昆布の森…





日高昆布…





森…





ん…?





日高昆布にしては

やけに艶かしく動いている…





と言うよりも

日高昆布が陸上にある筈がないではないか…





乱れた呼吸を整え

心の目で

もう一度よく見つめ直してみると…





そこにあったのは

僕の核融合に必要不可欠な

黒い燃料棒と言われる黒タイツの森でした…





そこからは

あまり記憶が定かではなくて





気が付いた時には

僕はフィニッシュを迎えていました…





朧気ながらに記憶に残っているのは





黒タイツの間を

行ったり来たり

抜いたり抜かれたり

していたような

していないような

曖昧な記憶だけ…





高鳴る胸の鼓動と

ビッショリかいた汗だけが

僕のかすかな記憶の余韻を

残してくれているようでした…





僕は

夢を見ていたのでしょうか?





それとも






※画像はイメージです