さて、次に向かったのが今回のたたら探訪の本丸ともいうべき絲原記念館です。その途中通過したのが、日本の棚田百選にも選定されている大原新田。ここは江戸時代にこの地を治めていた絲原家が私財を投入し、かんな流し(砂鉄採取地跡)によってできた土地を造成し田んぼに整備したものであり、たたら製鉄が地域内で循環していく様を垣間見たような気がします。よく見るとこのあたり棚田だらけで、かんな流しのスケールの大きさを実感することができます。

そして、奥出雲の山深く、代々たたら製鉄を生業として繁栄してきたかつての松江藩鉄師頭取(てつしとうどり)絲原家の歴史を今に伝えるのが「絲原記念館」です。土蔵を改築した展示館の中には、絲原家に伝わるたたら用具や松江藩からの拝領した芸術性豊かな美術工芸品、その他古文書、有形民俗資料等が所狭しと展示されており、その量と内容に圧倒されます。


登録有形文化財でもある居宅の方は、古くは松江藩主の本陣にもなり、明治以降、与謝野鉄幹・晶子夫妻、近藤文磨など多くの著名人が訪れているようです。昭和33年には、映画「絶唱(小林旭、浅丘ルリ子)」のロケに使われた場所でもあるとのことですが、残念ながらそれはちょっと世代が違うゾウといったところ。
展示館や居宅、庭園などをトータルで眺めていくと、ピーク時には千数百人もの従業者を擁して営まれていた巨大産業たたら製鉄の往時の活気に満ちた様子が偲ばれます。

奥出雲探訪のラストを飾るのは、宿泊できるミュージアム奥出雲多根自然博物館です。この博物館は、「メガネの三城」の創業者である多根良尾氏の郷土愛と神への感謝の気持ち、地域振興の遺志を遺族が継いで創設されたものなんだそうです。なので、建物の雰囲気もそれっぽいし、すぐ近所に「メガネの三城」の店舗が。ただし本店ではなく仁多店です。

さて、博物館の方はというと、宇宙の進化と生命の歴史をテーマにしたもので、エントラスでいきなりアロサウルスの骨格標本が出迎えてくれたり、山陰では珍しい恐竜の化石レプリカや地球の様々な鉱物標本、地層標本などがたくさんあって、ちょっとワクワクしてしまう感じです。コンパクトな中にも地域の自然と歴史に関する資料が上手くまとめてあって、本物の化石が無造作に床に置いてあって触れたりもできるので、楽しみながら学習できるいい施設だと思います。



これで濃厚な奥出雲歴史探訪の旅は終了です。長かった一日が終わっなーたという感じ。子どもたちにとっては学習報告書の作成という重い宿題ができてしまいましたが、たたらをキーワードにしながら初めて奥出雲を巡ってみて、なかなか見どころ満載で面白かったと思います。こういったコースで、博物館に泊まっての大人の遠足というのもアリかもしれませんね。
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