
麺王 「今日は、変わったどん兵衛を食べてみよう」
「どん兵衛なのに容器はカップヌードル風の縦長か」

麺王 「萬平さんには申し訳ないが、丼に移してネギと卵を追加だ」
「出してみると意外と多いもんだな」
「普通に丼に一杯分あるようだ」
麺王 「うむ、変化球と思ったが、なかなか美味い」
「スモークの香りもちょうど好い加減だ」

麺王 「ん? どうした?」
「食わんのか?」
ユリア 「ちょっと、今日は頭痛で食欲ないのよね」
「気圧のせいかしら?」
麺王 「あ、そう」
ユリア 「おい! 普通に流したわね」
「少しは心配とかしてもいいんじゃないの?」
麺王 「俺が心配して治るもんでもないだろ」

ユリア 「薬買ってきてよ!」
「バファリン!」
「半分が優しさでできてるやつ!」

麺王 「は? 何言ってんの?」
「バファリンの半分は胃薬だ! バ~カ!」

ユリア ブチっ!
「5秒以内に私の視界から消えなさい!」

麺王 「ったく、なんで、女ってのはああも導火線が短いかね?」
「いや、線なんて無いな」
「機雷か地雷の類いだな、あれは・・・」

ハン 「よう! どうした? 冴えないツラして!」
「ユリアに家から追い出されたか?」
麺王 「ぬう、相変わらず鋭い男よ」
「実はカクカクシカジカで・・・」
ハン 「なんとも頭の鈍い男よ」
「リップサービスのひとつもできんのか?」
「女ってのは口先だけと分かっていても喜ぶものだぞ」
麺王 「昭和の男にそんな真似ができるか!」
ハン 「ならば、黙ってバファリンでも買って帰るのだな」

麺王 「そもそも、それが気に食わぬ!」
「なにゆえ、薬などに頼るか!」
「どうして、おのれの肉体だけで戦おうとしないのだ!」
ハン 「おまえ、野生児か?」
「医薬品を適正に使って、リスクを最小限にするのが現代人の常識だ」
麺王 「ま、まさか、うぬも薬などに頼る軟弱者か?」

ハン 「マキロンからアフターピル、
妊娠検査薬など、必要最低限は常に携行しておるわ!」
麺王 「おい!」
「あんたは何のリスクを最小限にしとるんだ!」
ハン 「おっと、もうこんな時間か」
「今日は7人の女とアポがあるからな」
「こんな所で油を売ってる暇など無かったわ」
「さらばだ!」

麺王 「むぅ、言いたいことを言いおって!」
「てめぇの股間の方がよほど野生児じゃねぇか!」
「とは言え、ここはひとつ大人になって、
ドラッグストアにでも寄って帰るか」
ドラッグストアにでも寄って帰るか」

麺王 「おい、ドラッグストアで特売のカップヌードル買うついでに
バファリンとやらを買ってきたぞ」
ユリア 「あら? あそこの特売は火曜日じゃなかったっけ?」
麺王 「い、いや、今日はたまたま・・・・」

ユリア 「まったく、昭和の男は不器用ねぇ」
「でも、やっぱり、バファリンの半分は優しさで出来てたみたいね」

麺王 「そ、そういうことにしておくか・・・」