
麺王 「今日はカップヌードルを水で作ってみよう」

麺王 「3分経過」
「さすがに食える状態ではないな」

麺王 「15分経過」
「麺はほぐれたが、まだ固いようだ」

麺王 「30分経過」
「もう待てん、食べる」

麺王 「お湯の時よりサッパリしてるな」
「鶏肉も柔らかくなってるし」
「意外と美味い」

ユリア 「おい!」
「なに馬鹿なことやってるのよ」
麺王 「れっきとした化学の実験だが」
ユリア 「そもそもカップ麺はお湯で作るようにできてるのよ」
「それに30分も待つんじゃ意味ないでしょ」

麺王 「既成概念にとらわれるのは、他人の言葉で生きているのと同じだ
って誰かが言ってました」
ユリア 「誰かって、それ、糸村さんだろ!」

麺王 「そう、僕に3分だけ時間をください」
ユリア 「それ、3分じゃ終わらないやつじゃん」
「ついでにそのカップヌードルも30分もかかってるじゃん」

麺王 「逆に、30分待てば水で食えるってことだ」
「災害時とか遭難した時とかには貴重な食料だぞ」
ユリア 「そういう実験だったの?」
「ていうか、そんな時でも麺類を食べるのね、あんた」
「ちょっと恐れ入ったわ」

麺王 「ま、まあな・・・」
「どんな時でも己を失わないのが漢というものだ」
ユリア 「確かに、中途半端に賢いと逆境でメンタルやられる恐れがあるわね」
「バカまっしぐらの方が幸福かもしれん」
麺王 「誰がまっしぐらだ!」
ユリア 「じゃあ、迷走するバカ」

麺王 「そっちの方がバカっぽい気がするんだが・・・」
「だいたい俺はバカを演じる天才のはずだ」
ユリア 「バカと天才は紙一重って言うものね」
「どっちも非常識だし」
麺王 「言っておくが、俺は常識人だぞ!」

ユリア 「ほう、カップ麺に水を入れて、30分も待つのがか?」
「非常識どころか奇行のレベルだろ」

麺王 「・・・・」