
麺王 「今日はこれを何とか美味しくしてやろうと思うんだが・・・」

ユリア 「ああ、あまりに旨みが足りないやつね」

麺王 「ちょうど、花ニラもあるし、焼きラーメンにでもしてみるか」
「先に野菜を香味シャンタンで炒めておいたら、少しは味が付くだろう」
ユリア 「うん、普通に美味しくなったわね」
麺王 「麺は細めで悪くないな」
ユリア 「辛辛麺の個性があまり無いのは、ちょっと残念ね」

麺王 「ワシントン条約で、ようやく象牙の取引が禁止になったか」
ユリア 「日本はいまだにハンコ文化だから、困る人もいるんじゃない?」
麺王 「バカな!」
「合成樹脂の無い時代ならともかく、
今や、プラスチックで作れないものはないぞ」
今や、プラスチックで作れないものはないぞ」
「ていうか、そもそもハンコが時代遅れだろ」
ユリア 「銀行印とか実印とか、本人確認に使ってるじゃない?」
麺王 「だから、かつては同じ印鑑は作れなかったから、成り立ってたが」
「今やデジタルスキャンで全く同じものが作れるじゃないか」
ユリア 「そうね、そのうち、本人確認も指紋や虹彩になるかもね」
麺王 「だって、献血ですら、今や指の静脈で本人確認するんだぞ」
ユリア 「そういうのと、また別に美術的な価値とかがあるじゃん、象牙って」

麺王 「何が美術だ! 俗物どもめ!」
「象牙しかなかった時代はともかく、今はパテでも削ればいいだろ」
「ていうか、毛皮とか、ベルトとかもそう!」
「食うため以外に命を奪うのは悪だ!」
ユリア 「ま、まあ、そうだけど・・・」

麺王 「ワニ革のバック持って、毛皮のコート着てるバカ女なんかな
地獄に落ちて、鬼に生皮を剥がれればいいんだ!」
ユリア 「そ、そんな・・・」
「売ってるのを買っただけじゃないの・・・」
「そんなに言うなら、ターザンにでもなって密猟者と戦ってこい!」
麺王 「そんなこと、コツコツやっても埒があかん」
「根本的な原因から変えねばな」
ユリア 「根本的な原因って?」
麺王 「それは途上国の貧困だ」
「まともな仕事があったら密猟なんかやらんだろ」
ユリア 「それができないから発展途上国なんじゃないのかな」
麺王 「先進国の後を追うから、いつまで経ってもダメなんだ」
「まったく新しい産業を興すのだ」
ユリア 「何をやろうっての?」

麺王 「軌道エレベーターだ!」
ユリア 「???」
麺王 「つまり、赤道直下のアフリカから、宇宙への巨大エレベーターを作るのだ」
「そして、ゆくゆくは月や他の星からの資源の玄関とするのだ」
ユリア 「な、なんか、象牙から、えらい大きな話になってきたな・・・」
麺王 「そう、動物の骨で遊んでる猿の時代は終わりだ!」
「その骨を高く放り捨てると宇宙船になるっていう、アレだ!」
ユリア 「2001年?」

麺王 「ああ、映画の設定より15年も経ってるのに、
いまだ人類は猿のままじゃないか!」

ユリア 「ナワバリ争いしてるような猿じゃ、
とてもモノリスの期待には応えられそうにないわね」