まだ活動しているのですかと言われることの多い恒信風句会であるが、最近は第2土曜にどこかのルノアール(吟行したりするのでその都度違う)粛々と行っている。参加者が少ないので、興味のある方はぜひ遊びに来て下さい。

海となるまで戻す貝柱かな   四童
勾配や土潤ひて溽暑し
短夜のしづかに廻る洗濯機
クラインの壺から注ぐ冷酒かな
珈琲を淹れる化学者夜の秋
厨房に安全器ある夏舘
大階段唐招提寺団扇撒
仕込みたる鳥焼く手際夜の秋
夜光虫踏みて浜まで巨人還る
練馬区を行き渡りたる油照

 

26年ぶりくらいで葉月邸を訪ねる。その頃髪の長かったその人は葉月なんて名前ではなかったし、私は四童ではなくヨndoだった(ヨは上に寄っている、八十八さんならおなじみの論理記号)。

探偵の仕事をふやす梅雨晴間    四童
いにしへの色々と出るシャワーかな
蟻に似た葡萄を持つてをんな来る
人類の夕薄暑なる調べかな
家ぢゆうのリモコン集め毛虫焼く
人妻の転倒したる薄暑かな
蟻食の腸よ満漢全席よ
陰部から生まれたやうに髪洗ふ
探偵の張込んでゐる羽蟻の夜
人体をコピーしてゐる木陰かな

 

人体の渦巻いてゐる羽蟻の夜    四童
びんかんな釦を押して明易き
セカンドの病気がちなる薄暑かな
氷りたるおしぼり青く巻かれをり
椅子に坐す端居や二十一世紀
さみだれや化学によりてインキ消す
恋人がいつまでもゐる夏休み
おのづから主賓と分かる夜涼かな
冷房のおほきな家の犬吠える
縄文の巨人弥生の巨人かな
霊にしてかたち忘るる薄暑かな
夜の風のゆがんでゐたる栗の花
梅雨明の鏡の部屋に残さるる
さみだれや一色づつのボールペン
 

透明と分かる程度の夏の魚     四童
電柱も犬もこれから濡るるなり
古本が私のにほひ大西日
くらやみを鮎と名づける泪かな
哀愁のエレクトリックジギタリス
家族には云へぬ家族の守宮かな
ろくぐわつの行きはよいよい魔法瓶


 

今回は破調モード。

新聞のカラー写真の菖蒲かな 四童
鞄から菖蒲どんどん出てくる
天皇の水時計とても忙しい
鳶尾を皆確かめる電子辞書
蝙蝠が壊れながら飛んでゐる
夏至の昼は父さんに雨が降る
夜の雨がいちめん光る


 

温室のドアを開ければ熱帯魚  四童
水槽の草そよぎをる日永かな
温室の樹々の国旗をみな知らず
赤猫の尻尾にも似て室の花
葉牡丹は泡のごとくに崩れけり
白梅は障子の如く灯りけり
老い易き少年梅の木を登る
梅林に世界の音を聴きにけり


 

 今年もよろしくお願い致します。

元旦や息をひそめる火山帯      四童
淑気なほ化石燃料もまたなほ
なにもなきこそはまことの淑気かな
四つ辻や淑気といひて振り返る
道なりに淑気を帯びてゐたるかな
縞をなし淑気は西を目指すなり
暗がりを開けば及ぶ淑気かな

★新春特別企画 遠藤バンドA to Z
 この一年半くらいに録音した練習を曲名のABC順に1テイクずつ並べてみました。ひとまずadam's appleからblue in greenまで10曲です。

http://www26.tok2.com/home/yondo/



 

久しぶりに句会。切れ字含有率100%である。

睫毛より太陽低き師走かな    四童
感情も落葉も系をなしにけり
落葉の遅速あらはに並木かな
濡れ落葉あらぬところに乾きけり
六畳の平年並みの寒さかな
 

秋麗創作料理金魚坂
金魚田の金魚流れをみな目指す
その金魚醜名によりて悠然と
赤門と楠のある秋の昼
秋蝉やいづかたよりか鬨の声
相輪をなぞり噴水秋天へ
遠近法もちゐ自転車せまる秋
白き風遠近法をよぎりけり
秋澄めり遺跡のごとく時計台
時計台秋の侵蝕正しかり
色鳥や怒髪のごとき避雷針
銅像に静脈あらは鰯雲
銅像の前に猫ゐて秋澄めり
蛮声を尋ね行きたる烏瓜
木の実降る下を坊主と印度人
二人して秋の電波を飛ばしけり
栃の実や蛮声徐々に歌をなし
攻めの曲知りをる釣瓶落しかな
試合果て応援も果つ秋茜
秋の夜のはじまつてゐる犬の舌
 

ひさしぶりに豆の木句会。
題詠は苦手である。

夕立の降りつくすまで降りにけり   四童
七年を経て今更の秋の蝉
たとうれば釈迦の生まるる前の蓮
美しき青きドナウのき立秋
風呂に浮く西瓜の秘密守りけり
今もなほ終戦記念日と呼ばれ
呼び交はす毛虫赤塚不二夫逝く
真つ青なゴム動力の夏行けり
夏料理攪拌すれば沈殿す
悉達多提婆達多と飛蝗採る
有蓋車無蓋車車掌車と晩夏
露西亜から色鳥と風邪来る途中
丸めたる排水管や蚯蚓鳴く
煩悩のひとつに秋の麒麟草
夜の秋の腿に毛穴のあまたなり
辣韭やかつて宮刑ありし国