先日、家を建てる時の注文先について3回シリーズでご説明すると告知しましたが、今日は3回目は、「ハウスメーカー編』です。過去の記事は下記からご覧頂けます。
2回目『工務店編』
1回目『設計事務所編』
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こんにちは!古民家専門の建築家 一級建築士の與那原浩です。築50年以上の古民家を中心とした耐震診断・耐震設計・耐震補強工事・古民家リノベーション工事を行っています。プロフィールはこちらをご覧下さい。
あなたは、ハウスメーカーというとどんなイメージを持っていますか?
・住宅が画一化されていて、個性がない
・テレビで見るCMのイメージがかなりある
・住宅展示場の住宅を見ると、あんな感じ
になるのかなとイメージしやすい
・大手メーカーだから信頼できそう
・耐震的に丈夫そう
・窓口が営業の人なので、異動で担当者が
変わることもあり、面倒臭そう
・建築以外のコストもかかっていそうで、
建築費が高そう
と聞く人によっては、イメージがまちまちなのがハウスメーカーです。そこで、私から見たハウスメーカーをご説明したいと思います。
■仕事内容・会社規模
自社で設計・施工体制が整っています。大量仕入し、規格部材を自社工場で製造しているため、原価コストはかなり抑えられています。全国組織の大手のメーカーもあれば、独自な個性をうちだした小さなメーカーもあります。
■コスト面
自社工場で製造・施工しているので、建築コストはかなり抑えられていますが、人件費・宣伝費・展示場の維持管理費など多額の経費が建築費に含まれているため、総じて工務店や設計事務所に依頼するより、建築費は高額になります。
■こだわり・デザイン力・自由設計度
自社工場で製造・規格化された仕様以外を希望するとオプションとなり、建築費が跳ね上がります。ハウスメーカーの提案するデザインに従わざるを得ないので、自由設計とはいえません。
■発注~完成までの工期
あらかじめ、建築部材を自社工場で製造しているので、早くて着工後3カ月ほどの短期間で竣工する場合もあります。
■品質
施工を下請けに任せている場合があり、現場監理での客観的な検証システムが必要と思われます。現場での油断やミスからの欠陥も報告されています。自社で耐震的な研究・開発が進んでいるので、品質は高いと思われます。
■保証
住宅瑕疵担保履行法が成立し、瑕疵保険加入保証金の供託が義務付けられることになったので、安心できます。総じて、どこに発注しても、保証的な部分は住宅瑕疵担保履行法で守られています。
■まとめ
ハウスメーカーの住宅は、研究が進み、耐震面の安全性は高くなっています。展示場でモデル住宅の見学ができることでイメージしやすく、発注するお客様も多いようです。また、各メーカー独自のデザインや差別化ができ、お客様の満足度も高くなっています。
一方、規格外仕様を希望した場合は、かなりのコスト高になるので、自分の希望と発注メーカーのデザインをよく確認してから発注するようにし、こんなはずではなかった!ということのないようにしましょう!
地方の場合は、営業所が遠隔地にしかなく、修繕などのアフターフォローが遅くなる場合もあります。
いかがでしたか?新築住宅を発注する参考となりましたでしょうか?
2回目『工務店編』
1回目『設計事務所編』
と新築住宅を発注する先として、3記事ご紹介してきました。
私は、発注先は、やはり設計事務所に依頼するのが一番いいと思います。住宅について、私の友人や周りの人の悩みや嘆きをたくさん聞いてきました。
動線が悪い
収納がなくて、物があふれてしまう
間取りが生活に即していない
日照や通気がとりこめていない
部屋が細かく分断されている
家族の集まる場所がない
段差が多くて、老後が心配
家が好きじゃないから家にいたくない
など・・・
高額なお金を払って建ててもらった家なのに、どうしてこんな悩みがあるのか、聞いている私も辛くなる事例も多いです。
建築士は、家を設計するプロです。
打ち合わせを何度も何度もすることで、お客様から多くの情報を得て、法的順守・環境・ライフスタイル・家族関係・嗜好・予算など様々な情報から、一番最適な設計を導き出します。
建築業界に女性が進出してきたと言っても、まだまだ男性社会です。間取りを男性中心で考えてしまうと、一家の主婦である女性の使い勝手が悪い家になってしまうのは無理もありません。
工務店は施工のプロです。最近は、工務店でも建築士を雇っているところもあるので、一概に言えませんが、大工さんしかいないような工務店に発注したところで、女性目線の動線には難しいと思われます。
住宅に自分達の生活を合わせるのではなく、自分達のライフスタイルに住宅を合わせるような設計ができるのは、設計事務所だけだと思います。
当事務所では、主婦でありインテリアコ-ディネーターである妻が動線を徹底的にチェックするようにしています。長く住み続けるためにも、外観のデザインだけでなく、動線や日照・通気などは非常に重要なポイントです。
建築するには、非常に多くの要件を考えなければなりません。俯瞰した視点が必要です。それには、設計事務所に依頼するのが一番よいと思います。
ただ、建築士も色々な特徴やレベル差もありますので、事務所サイトや公式ブログなどを見て頂き、その人となりもチェックした上で依頼して頂きますようお願いします。
住宅は、人生の中でも一番高額な買物となりますので、失敗のないよう、満足のいく心地よい家に家族仲良く暮らすためにも、発注先を間違えないようにして頂きたいと思います。
どこに発注したら、どんな家になるのかということが、少しでも皆様に伝わったら幸いです。
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【建築ワード説明】
住宅瑕疵担保履行法
平成21年10月1日より、住宅瑕疵担保履行法がスタートしました。この法律は、新築住宅を供給する事業者に対して、瑕疵の補修等が確実に行われるよう、保険や供託を義務付けるものです。万一、事業者が倒産した場合でも、2000万円までの補修費用の支払いが受けられます。
瑕疵保険加入
新築住宅に瑕疵があった場合に、補修等を行った事業者に保険金が支払われる制度です。事業者が保険に加入しているかどうかは、工事中に検査が行われます。
保険金の供託
新築住宅に瑕疵があった場合に、補修等を行った事業者が補修を行う責任がありますが、万一、その事業者が倒産した場合に責任を果たすことができなくなるために備えて、法律で定められた額の保証金を供託所に預けておく制度のこと。
リフォームや古民家再生だけでなく、新築のご相談や最初の見積もりも無料ですので、お気軽にご相談下さい。
今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。