地方自治法改正案が2月に閣議決定され、国会に上程されようとしています。

その核心は、「国民の安全に重大な影響を与える事態が発生し、又は発生するおそれがある場合」に、国が自治体に「指示」をできるようにしようとしていることです。地方自治権は戦後、戦争を繰り返さないための「歯止め」として制定されましたが、それを根底から解体するものです。政府は法案の提出理由を、自然災害やコロナ感染症への対処だと言っていますが、法緊急事態条項の新設であり、改憲そのものです。地方自治法を地方自治を破壊する真逆のものに変えてしまう暴挙です。

また、法案の「国民の生命、身体若しくは財産の保護のため」という文言は武力攻撃事態法と同じであり、むき出しの戦争法案です。国会も通さず閣議決定だけで「指示」ができ、自治体の戦争動員や徴兵名簿の提出強制もできる内容です。絶対反対で闘いましょう。

 

●すでに戦争のために国が地方を支配する動きが先行

 

 岸田政権は、辺野古基地建設強行のために地方自治法の代執行を戦後初めて発動し、1月10日には埋め立て着工を抜き打ちで強行しました。しかしここまで4年もかかったため、地方自治法そのものを改悪して「国の指示権」を創設しようということです。

またこれまで、地方自治の考え方から、地方のインフラの管理・運営権は地元自治体が持ってきました。しかし、2023年12月に港湾法を改正して「自治体の要請があれば国が港湾施設を管理代行できる」としました。その直後、能登半島震災が起きると政府は「今だ」と言わんばかりに、翌日1月2日から能登半島の港湾を直轄管理し、自衛隊が自由に乗り込む事態となったのです。他にも能登半島では、自衛隊が軍用の犬型ロボットを実験的に活用したり、米軍が能登空港へ派遣されるなど、岸田政権は震災対応に「遅れをとった」どころか、絶好の軍事演習の場として利用し尽くしたのです。

 

●全社会を戦争に投げ込む岸田政権

 

 2 年の安保3文書で岸田政権は、「敵基地攻撃能力」保有とそのために社会全体を軍事優先にすることを打ち出しました。「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」(座長:榊原元経団連会長)はその尻を叩く形で、「国力を総合した国全体の防衛体制の強化」を叫び、「防衛力の抜本的強化と経済成長の好循環」とまで言って軍需経済への道を隠しません。

 現在、三菱重工をはじめとした軍需産業が受注を急増させていますが、なんとこの会議には三菱重工の宮永俊一会長が参加しており、戦争を商品=武器を「消費」する絶好の機会としようとしているのです。

 

●連合・自治労本部は戦争に加担するな

 

重大なのは、この改悪案を答申した 33 次地方制度調査会の委員である、自治労出身の岸まきこ議員(立憲民主党)が、抵抗すらせずこれを承認し、自治労本部が全く反対の声をあげていないことです。 この改悪は、私たち自治体労働者を戦争の手先にするものです。現場から地方自治法改悪絶対反対の声を上げ、戦争をとめましょう!

反戦運動への大弾圧を許すな!

 

 2月28日、全国の反戦運動の先頭に立ってきた5名の仲間が逮捕されました。昨年8月6日の原爆ドーム前で行われた反戦集会で「広島市の職員を集団暴行した」というのです。さらに、集会を主催した8.6ヒロシマ大行動実行委員会の事務所を含む全国14箇所で家宅捜索が行われ、3月19日に5名は起訴されました。

 

 8月6日のデモには次々人が合流し600人に膨れ上がった

この弾圧の狙いははっきりしています。昨年5月、政府はわざわざ広島でG7サミットを開き、数万人の機動隊で威圧しながら「核抑止の核武装は必要」という決議を採択しました。サミットに向かう過程も、広島市長が劣化ウラン弾の記載をHPから削除、「はだしのゲン」を平和ノートから削除するなど、広島の反戦反核運動をつぶすためのサミットでした。しかし「サミット粉砕デモ」には多くの市民が合流し、G7の核武装を開き直る「広島ビジョン」に対し被爆者は次々と怒りを表明し、8月6日には被爆者を先頭にさらに大きな反戦の声になりました。

 

 弾圧の前日には広島市議会が、原爆ドーム周辺での反戦・反核集会の禁止を求める右翼の「請願」を、反対は6人だけで、なんと共産党も加わって賛成多数で決議したのです。

戦争はこうやって始まります。戦争のための広島反戦大弾圧に、全国から反対の声をあげましょう!